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それから俺たちは数えきれないほどの魔物を倒し、喰らいながらダンジョンの最奥を目指して進んでいった。


「この先にボスがいるみたいですね」


ようやく俺たちはボス部屋までたどり着いた。目の前には、巨大な扉がある。


「ここにいるボスを倒せば、外に出れるんだよな?」


『ああ、ダンジョンには必ずボスが居て、それを倒せば外に出られる仕組みになっている』


「当然、強いんだよな?」


『ああ、ここのダンジョンのボスは強いぞ。Sランクの冒険者でも勝てるかどうか……』


「大丈夫です! 私とナオト様が力を合わせれば、どんな敵だって必ず勝てます!」


フィーナが自信満々に言う。


「そうだな」


俺は扉を開ける……。そこは無数の柱が建った大広間だった。そして中央には巨大な天使の像がそびえ立っていた……。


「ボスはどこでしょうか?」


すると、天使の目が赤く光り、雄たけびを上げる。そして翼を広げて飛び上がり、俺たちの前に立ち塞がった……。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


天使は獣を思わせる咆哮を上げる。その姿は神秘的で美しくもあった……。


「あれがここのボスか?」


『そうだ。あやつは傲慢の魔王が作り出した魔物だ』


「傲慢の魔王?」

『ああ、あいつは人間の負の感情から生み出された存在だ。天使の姿をしているが中身は悪魔そのものだ。こいつの強さは今までお前たちが倒した魔物の、さらに上をいく存在。今までのようにはいかんぞ』


「そんなこと分かってらぁ……」


俺はデュランダルを鞘から抜き、構える。


「はあっ!」


デュランダルを勢いよく振り、斬撃を飛ばす。斬撃は天使の体に直撃するが、傷一つ付かない。


「流石に硬いな……」


「私も行きます!」


フィーナが剣を構えて天使に向かって行く。天使の放った光の矢を軽やかな動きでかわし、懐に潜り込んで剣を振り下ろす。しかし、それも弾かれてしまった……。


「何という硬さでしょう……。私の攻撃が全く通用しません」


俺はデュランダルを握りしめた。そして天使に向かって走り出す。剣と拳、どちらが強いか勝負だ!


「グォオオオッ!!」


天使は雄たけびを上げて翼を広げ、羽を飛ばして攻撃をしてくる。俺はそれをかわして接近し、斬撃を飛ばすがまたも弾かれてしまった……。


「ならこれはどうだ?」


俺は空高く飛び上がり、天井を蹴って急加速する。そして勢いのまま体当たりした! しかしそれでも天使の体は傷つかない。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


天使は俺に向けて光の矢を放つ。俺はそれをかわして距離を取る……。


「ナオト様、大丈夫ですか?」


フィーナは心配そうな表情で俺に声をかける。


「問題ない」


そんなやり取りをしていると、またも天使が羽を飛ばす攻撃を放ってきた。俺とフィーナはそれをかわし、再び攻撃を仕掛ける! しかし何度やっても結果は同じだった……。


『このままでは埒が明かんな……。ナオト、あれを使ってみろ』


「あれってまさか……」


『そうだ、【真・覚醒】を使うのだ』


俺は一瞬ためらったが、覚悟を決めた。このままでは埒が明かない。俺の体内に眠る力を解放するしかない。


「フィーナ、少し下がってくれ」


「わかりました!」


フィーナは一歩後退し、俺の指示を待つ。俺は深呼吸し、集中力を高める。そして、心の中で力を呼び覚ます。


「【真・覚醒】!」


俺の体が眩い光に包まれ、エネルギーが溢れ出す。全身が熱くなり、力がみなぎるのを感じた。デュランダルもその力に応えるように輝きを増していく。


「これで終わりだ……!」


俺は天使に向かって一気に突進する。天使の目が赤く光り、再び羽を飛ばして攻撃を仕掛けてくる。しかし、今の俺にはその攻撃も通用しない。光の矢を軽々とかわし、天使の懐に潜り込んだ。


「これが……俺の全力だ!」


俺はデュランダルを振りかぶり、一撃を放つ。その瞬間、天使の体が光り輝き、凄まじい衝撃波が周囲に広がった。柱が次々と崩れ落ち、広間全体が揺れる。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


天使の雄たけびが響き渡るが、今度はその体が崩れ始めた。デュランダルの一撃が天使の核心を貫き、その存在を消し去る。


「ナオト様、やりましたね!」


「ああ……」


俺はデュランダルを鞘に納めた。すると体が光に包まれ、元の姿に戻る……。


『よくやったぞ、ナオト』


「これで外に出られるんだよな?」


『ああ、奥の部屋に地上への魔法陣がある』


次の瞬間、天使の残骸から光の球が現れる。それは人の形になり、やがて一人の男性になった……。


『君たちが天使を倒してくれたんだね』


「誰だ?」


『私はヘラク・レイオス。しがない冒険者さ』


「ヘラク・レイオスって……1000年前の勇者様!?」


フィーナは驚きの声を上げる。


『まさか本当に天使を倒すとはね……。君たちの勇気と強さに敬意を表しよう』


「あんた……もしかして地球人か?」


『そうだ。私も君と同じく、この異世界へと召喚された地球人だ』


「勇者様が異世界人だったなんて……」


『魔王を倒した後、私の力を恐れた王族たちは私に反逆罪の罪をかぶせ、この迷宮に封印した』


「だから封印が解けなかったのか……」


『ああ、だが君たちのおかげでようやく外に出られる。礼を言うよ』


「まあ、成り行きで倒しただけだから気にしないでくれ」


「そうですよ! ナオト様はすごいんですから!」


『君はこれからどうするつもりだ?』


「決まっている。俺を捨てた国への復讐だ!」


『ならばわが力、受け取るがよい』


ヘラクは俺たちに手をかざす。すると、俺たちの体に力が漲ってくるのを感じた……。


『私の力を君たちに分け与えた。その力をどう使うかは君たちの自由だ」


「すごいです! ナオト様が勇者様の力を受け継いだんですね!」


俺は自分の手のひらを見つめる。今まで以上の力を感じる……。


「この力を使えば……必ず、俺たちの目的を果たせる」


フィーナが嬉しそうに微笑む。


「ナオト様、これで復讐も果たせますね」


「ああ、必ずあいつらに屈辱を味わせてやる」


『もう一つ君たちに伝えたいことがある』


「何だ?」


『外に出た後、東の国にある聖なる山を目指すんだ。そこには古代の賢者が住んでいる。彼は君たちにとって大きな助けとなるだろう』


「賢者……了解した。ありがとう、ヘラク」


『健闘を祈る』


ヘラクの声が徐々に消えていく。そして、光の球も完全に消え去った。


「ナオト様、行きましょう。外の世界へ」


「ああ、行こう」


俺たちは奥の部屋へ進み、魔法陣に足を踏み入れた。目の前が眩しい光で満たされ、次の瞬間にはダンジョンの外に立っていた。広がる青空と草原が視界に飛び込んできた。新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。


「外の世界……やっと出られた」


「これからが本番ですね、ナオト様」


「ああ、ここからが俺たちの本当の戦いだ」


フィーナと俺は新たな冒険と復讐の旅に向けて、一歩を踏み出した。強力な敵が待ち受けるだろうが、ヘラクの力と共に、俺たちは必ず目標を達成するだろう。


「行くぞ、フィーナ」


「はい、ナオト様!」


俺たちは東の国に向けて進み始めた。険しい道のりが待っているだろうが、共に戦う仲間と共に、どんな困難も乗り越えていく。新たな冒険の幕が今、上がった。
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