転生したらやられ役の悪役貴族だったので、死なないように頑張っていたらなぜかモテました

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それから数週間後、武道大会の決勝トーナメントが始まろうとしていた。


「いよいよですわね」


「絶対に優勝しなさいよ」


「ゲルドフ様なら優勝できますわ」


観客席ではエリザベータ、セレナ、アシュリーが応援してくれている。彼女たちのためにも必ず勝たなければ！


「それではこれより、第11回武闘大会決勝トーナメントの開催を宣言します！」


司会の人が宣言すると会場は大歓声に包まれた。いよいよ戦いが始まるのだ……


「それでは最初はAブロックの試合を行います！！」


早速呼ばれたので、俺は闘技場に上がる。


「おいおい！ 一回戦の相手がこんな弱っちいガキかよ！」


対戦相手はかなり大柄で筋肉質な男だった。


「てめえみたいなカス野郎がどうやって武闘大会に参加したんだ？ どうせ金でも積んだんだろぉ？」


男は俺に近づいて、ニヤニヤとした笑みを浮かべる。


「雑魚ほどよく喋るとはよく言ったものだな」


「ああっ！？ なんだとぉ！！」


俺の言葉に腹を立てたのか、ビキッと青筋を立てる。


「だって見るからに弱そうだし、あんた」


「殺す！ てめぇは絶対殺す！」


男は上着を脱ぎ捨てると、上半身裸になった。そして両手を広げて構えを取る。


「死ねぇぇっ！！」


男が突進してくるがその動きはあまりにも遅すぎる。俺は軽々と避けた後で回し蹴りを放った！


「ぐぼあっ！！」


男は勢いよく吹っ飛ばされ、壁に激突する。


「殺してやる！」


男は立ち上がると、再び襲いかかってきた。


「ふんっ」


地面に拳を叩きつけると、クレーターのような大きな穴が開いた。


「まだやるか？」


「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ！ ママぁああああああああああああああああああああああああっ！」


男は悲鳴を上げると、一目散に逃げていった。


「勝者！ ゲルドフ選手！」


それからも試合は一撃で勝負が決まり、ついに決勝戦となった。


「決勝戦はゲルドフ選手とレイン選手の戦いとなります！」


レインはこの学園の生徒会長で、端正な顔立ちをした美男子だ。


「ゲルドフ君、まさか君がここまで勝ち進むとは思わなかったよ」


「それはどうも」


俺は軽く会釈をする。


「しかし、決勝ではそうはいかない。覚悟したまえ！」


レインが構えを取ると、周囲の空気が変わったような気がした。俺もそれに合わせて構える。そして試合開始の合図と共に動き出した！


「うおりゃああっ！！」


レインの鋭い拳が飛んでくるが、それを軽々と避けていく。そしてカウンター気味に蹴りを入れるが、レインはそれを腕でガードした。


「なかなかやるね！」


その後も何度も攻撃するが全て防がれてしまう。どうやらかなりの実力者のようだ。俺は一旦距離を取ることにした。


「おや？ もう終わりかな？」


余裕の表情を浮かべているレインに対して、俺はニヤリと笑う。


「いや、これからが本番だ」


そう言って再び攻撃を仕掛ける！今度は拳ではなく蹴りを繰り出すことにした。しかし、レインはそれすらも軽々と避けてしまう。


「その程度かい？」


「まだまだこれからさ！」


俺は次々と攻撃を繰り出していくが全て防いでくる。さすが生徒会長を務めるだけあるな……だが、俺も負けるわけにはいかない！


「うおおっ！！」


渾身の力を込めて拳を突き出すと、ついに攻撃が届いたようだ！ レインはよろめきながら後退する。


「くっ……まさかここまでの強さを持っていたとはね……」


「降参するか？」


「……いや、まだだ！」


レインは立ち上がると、再び構えを取った。どうやらまだ戦うつもりのようだ。それなら俺もとことん付き合ってやろうじゃないか！ 俺は再び攻撃を仕掛ける。しかし今度は避けられてしまう。そしてカウンター気味に蹴りを食らってしまった。


「ぐっ……！」


「どうだい？ 少しは効いたかな？」


「まだまだこれからさ！」


その後も何度も攻撃を繰り出すが、全て防がれてしまう。さすがは生徒会長といったところか……


「なかなかやるね！」


「あんたこそな」


お互いに睨み合う。そして同時に動き出した！


「うおりゃああっ！！」


レインの拳を避け、そのまま腕を掴むと背負い投げを食らわせた！


「ぐはっ……！」


地面に叩きつけられたレインは苦しそうに呻く。俺は笑みを浮かべたまま近づいていく。


「なっ！？ 何を笑っているんだ！！」


俺の顔を見た途端、彼は動揺し始めたようだ。そんな様子を気にせずに話を続けることにする。


「あんた、弱いな」


「なっ！？」


俺の一言にレインは言葉を失っていた。どうやら図星だったようだ。


「そんなんでよく生徒会長なんかやってるよな？ 恥ずかしくないのか？」


俺が煽ると、レインの顔が真っ赤に染まっていく。そしてついにキレてしまったようだ。彼は怒りに任せて殴りかかってきた！


「このクソガキがぁあああっ！！」


そんな攻撃を避けると、そのまま足を引っかけて転ばせる。レインは地面に倒れ込みそうになったが何とか踏ん張ったようだ。しかし、体勢を立て直す前に蹴りを入れる。レインはそれを腕で防ごうとしたが間に合わず、もろに食らって吹き飛んでいった。


「ぐっ……」


レインはそのまま倒れ込んでしまう。どうやら気絶してしまったようだ。審判が駆け寄り、容態を確認してから勝者を告げた。


「勝者！ ゲルドフ選手！」


こうして俺は武闘大会の優勝を勝ち取ったのだった。


「おめでとうございます！ ゲルドフ様！！」


観客席にいたエリザベータ達が駆けつけてくると、俺を祝福してくれた。


「ありがとう」


俺は礼を言うと、アシュリーの方を見る。彼女は満面の笑みを浮かべながらこちらを見ている。そんな彼女を見ていると自然と笑みがこぼれてきた。


「ゲルドフ様、優勝おめでとうございますわ！」


アシュリーはそう言って俺に抱きついてくる。彼女の大きな胸が押し付けられてきて少しドキッとしたが、平静を装って答えることにした。


「ありがとう」


俺は優しく頭を撫でると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべる。そんな光景を見ていたのか他の女の子たちも近づいてきて抱きついてきた！


「ゲルドフ様！ 優勝おめでとうございます！」


エリザベータが言うと、他の子たちも次々とお祝いの言葉をかけてくれる。こうして俺の武闘大会は幕を下ろすのだった……