転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

9

ある日のこと、俺たちは依頼でパルという村に来ていた。この村では作物が育たず、困っているという話を聞いたので、俺たちはその問題を解決するためにやってきたのだ。


「ようこそおいでくださいました」


村長の老人が挨拶する。


「私はこの村の村長をさせてもらっている者です」


「俺はナオトだ。早速だが、村の作物が育たないというのは本当か？」


「はい、数年前から原因不明の不作が続き、村人も疲弊しています」


「なるほどな……まずは村を見て回らせてもらう」


俺たちは村の中を探索してみることにした。確かに畑は荒れており、作物は何一つ育っていないようだ。村の人によると、ここ数年は特に酷かったという。その話を聞いていると、突然地面が大きく揺れた。


「地震か！？」


俺たちは慌てて近くの物陰に隠れる。しばらくすると揺れは収まったようだ。だが、異変はすぐに訪れた。地面から植物の蔦のようなものが生えてきたのだ。それはまるで生き物のように蠢いている。


「なんですかあれは！？」


「わからないが、良くないものだというのは分かる」


俺は剣を構えると、向かってくる蔦を切り落とした。しかしいくら切っても次々と生えてくるためキリがない。


「バーニング・ブレイド！」


炎を纏った剣で触手を次々と切り落としていった。やがて全ての蔦を切り落とすことに成功する。


「これで大丈夫そうだな……」


そう思った直後、今度は地面から巨大な花が生えてきた。その花の中央には目玉のような模様がついている。


「こいつが不作の元凶のようだな」


俺が剣を構えると、花が攻撃を仕掛けてきた。触手を鞭のようにしならせると攻撃をしてくる。俺はそれを回避しながら反撃の機会を伺っていた。そして一瞬の隙を突き、一気に間合いを詰める。


「これで終わりだ」


俺は花の中央に剣を突き立てた。すると、花は断末魔のような叫び声を上げて消滅したのだ。それと同時に畑を覆っていた蔦も枯れ果てていったのだった。


「なんとかなったみたいだな……」


俺はホッと胸をなでおろすと村へと戻った。村人たちは喜びに溢れていた。特に村長はとても感謝してくれているようで何度も頭を下げてくれた。


「本当にありがとうございます。あなた方がいなかったらこの村は大変なことになっていました」


「気にしなくて良いさ。それより事件はまだ終わってはいない」


「どういうことですか？」


「さっきの植物を畑に植え付けた奴がいるはずだ。そいつを倒さない限りまた同じことが起こる」


「誰なのですか？」


「いい加減正体を現したらどうなんだ？」


俺の言葉に反応するように、村長の姿が変貌していった。その姿はまるで悪魔のような姿であった。


「俺はネロ。魔王軍の幹部の一人だ」


「魔王軍だと！？」


「ああ、俺はこの村の作物を枯らせて人間の絶望を楽しんでいた。だが、貴様がそれを邪魔した。だから俺は貴様の絶望を喰らうことにしたのだ！」


ネロはそう言うと、紫の霧のようなものを噴出させた。


「フハハ！ 0.1グラム吸い込んだだけでも死に至るポイズンミストだ！」


俺は息を吸い込み、ポイズンミストを全て吸い込んだ。


「バ、バカな！ なぜ効かんのだ！？」


「悪いが俺は毒や麻痺、呪いなど全て無効化する体質なんだ。だからお前の攻撃は効かない」


「そんな馬鹿なことがあるか！」


ネロは怒りに任せて触手で攻撃を仕掛けてきた。だが、その攻撃は全て俺の剣によって切り裂かれる。


「おのれぇ！ これでも喰らえ！」


今度は口から紫色の液体を吐き出してきた。溶解液のようだが、俺には通用しない。俺はそのまま突き進み、ネロの顔面を斬りつけた。


「ぐはっ！！」


ネロは大量の血を流しながら倒れ込んだ。それでもまだ意識はあるようで、必死に起き上がろうとしていた。だが、もはや戦う力は残っていないだろう。


「これで終わりだ」


俺は剣を振り下ろしとどめを刺したのだった。


「ナオトさん、お疲れ様です」


「ああ、これで依頼も達成できたな」


俺たちは村の人々に感謝されながら帰路についたのだった。