26 / 30
26
しおりを挟む
翌日、私はライトニングとの待ち合わせ場所に向かうことにした。昨日のことを話さなければならないからだ。
「おはよう!」
私が元気よく挨拶すると、ライトニングも笑顔で応えてくれる。私達は昨日の出来事について話し合った後、怪獣を倒す方法を考えることにした。
「まずはあの魔物について知ろう」
ライトニングの提案で私たちは図書館へ行くことに決めた。そこでは様々な本を読むことができるのだ。私達は早速図書館に向かい中に入ると、受付の女性に声をかける。
「すみません」
女性は笑顔で対応してくれたが、少し表情が硬い気がした。何かあったのかな?
「どうしました?」
私は疑問に思いながら尋ねる。すると女性は緊張した面持ちで答えた。
「実は……最近魔物の被害が増えているんです」
予想外のことに私たちは驚く。まさかそんなことになっているとは思いもしなかったからだ。
「そうなんですか……」
私は思わず呟いてしまったが、すぐに気を取り直して質問をする。
「魔物ってどんな見た目をしているんですか?」
私が尋ねると、女性は少し考え込んだ後に答えてくれた。
「黒い鱗で覆われていて大きな翼と鋭い爪を持っています。そして口が大きく裂けていて鋭い牙が並んでいます」
「なるほど……」
私だけでなくライトニングも真剣な表情で聞いていた。二人は魔物を倒す方法を考え始めたようだ。しばらく沈黙が続いた後、ライトニングは口を開いた。
「まずは情報を集めることが必要だな」
彼女の提案に対して私は頷く。怪獣について知ることが重要なのは間違いないからだ。私達は図書館を出て町の中心へと向かうことにした。そこなら人も多く情報が集まるだろうと判断したのだ。私達は様々な人から魔物の目撃情報を聞き出すことに成功した。
「この町から南東の方角にある砂漠でよく見かけるみたいだ」
ライトニングが教えてくれた情報をメモしながら歩き続ける。そしてついに目的地へと辿り着いた。そこは見渡す限り砂しか広がっていない広大な砂漠である。
「ここに怪獣がいるかもしれないな……」
ライトニングが呟くと、私は不安を抱きながらも覚悟を決めた。ここから先は危険が伴う可能性が高いからだ。それでも私たちならきっと勝てるはず! そんな根拠のない自信を抱いていたのだが、現実はそう甘くはなかった。砂漠に入ると早速魔物の姿を目撃することになる。
「あれだ!」
私達の視線の先には黒い鱗に覆われた巨大な生物がいた。それは翼を羽ばたかせてゆっくりとこちらへ向かってくる。
「行こう!」
ライトニングが声を上げると、私も覚悟を決めて走り出した。魔物との戦いが始まったのだ! 私は杖を構えてサンダーボルトを放つ準備をした。相手は大きいので一撃で仕留められる魔法を使わなければ勝機はないと判断したからだ。しかし、そんな私の考えは甘かったようだ。魔物は口から炎を吐き出すと、サンダーボルトを打ち消してしまったのだ! 予想外の出来事に動揺してしまう。すると魔物はその隙を狙って突進してきた。私は間一髪で回避したが、体勢を崩して転倒してしまう。
「フィーナ!」
ライトニングが私を助けようとするが、魔物はそれを許さないかのように攻撃を続けた。このままではまずいと思った私は起き上がると同時に魔法を唱えた。
「サンダーボルト!!」
私の放った魔法は魔物に命中したかに見えたが、次の瞬間には霧散してしまう。どうやら防御力も高いようだ……。私は必死に対抗策を考えるが、何も思いつかないまま時間が過ぎていく。
「ライトニング、どうしたらいいんだろう……」
私は思わず弱音を吐いてしまう。すると彼は力強く答えた。
「諦めちゃダメだ! 必ず勝てる方法があるはずだから!」
その言葉に私は勇気づけられる。そうだ、私たちはまだ戦える! そう思った矢先のことだった──魔物は私たちに向かって突進してきたのだ。咄嵯に身を躱そうとしたが間に合わなかった。このままではやられてしまう……! しかしそうはならなかった。突如として目の前に現れた黒い渦のようなものに吸い込まれるように消えていく魔物の姿がそこにあったからだ……何が起きたのか理解できず呆然としていると、私たちの元に誰かが近づいてきた。
「君たち、大丈夫かい?」
それは黒いローブを纏った男性だった。どうやら彼は怪獣を倒したようだ。私は感謝の言葉を口にすると、男性は微笑みながら答えた。
「礼には及ばないさ」
そう言って立ち去ろうとする男性だったが、ふと思い出したかのように足を止めて振り返った。
「言い忘れていたけど……この辺りは危険な場所だからあまり近づかないようにね」
そう言い残して去っていく彼の後ろ姿を見つめながら、私たちは顔を見合わせた後、笑い合った。こうして私たちの初陣は幕を下ろしたのだった。
その後、私たちは無事に帰還することが出来た。しかし、魔物との戦いがこれから何度も続くことになるなんてこの時の私たちは想像もしていなかったのである……
「おはよう!」
私が元気よく挨拶すると、ライトニングも笑顔で応えてくれる。私達は昨日の出来事について話し合った後、怪獣を倒す方法を考えることにした。
「まずはあの魔物について知ろう」
ライトニングの提案で私たちは図書館へ行くことに決めた。そこでは様々な本を読むことができるのだ。私達は早速図書館に向かい中に入ると、受付の女性に声をかける。
「すみません」
女性は笑顔で対応してくれたが、少し表情が硬い気がした。何かあったのかな?
「どうしました?」
私は疑問に思いながら尋ねる。すると女性は緊張した面持ちで答えた。
「実は……最近魔物の被害が増えているんです」
予想外のことに私たちは驚く。まさかそんなことになっているとは思いもしなかったからだ。
「そうなんですか……」
私は思わず呟いてしまったが、すぐに気を取り直して質問をする。
「魔物ってどんな見た目をしているんですか?」
私が尋ねると、女性は少し考え込んだ後に答えてくれた。
「黒い鱗で覆われていて大きな翼と鋭い爪を持っています。そして口が大きく裂けていて鋭い牙が並んでいます」
「なるほど……」
私だけでなくライトニングも真剣な表情で聞いていた。二人は魔物を倒す方法を考え始めたようだ。しばらく沈黙が続いた後、ライトニングは口を開いた。
「まずは情報を集めることが必要だな」
彼女の提案に対して私は頷く。怪獣について知ることが重要なのは間違いないからだ。私達は図書館を出て町の中心へと向かうことにした。そこなら人も多く情報が集まるだろうと判断したのだ。私達は様々な人から魔物の目撃情報を聞き出すことに成功した。
「この町から南東の方角にある砂漠でよく見かけるみたいだ」
ライトニングが教えてくれた情報をメモしながら歩き続ける。そしてついに目的地へと辿り着いた。そこは見渡す限り砂しか広がっていない広大な砂漠である。
「ここに怪獣がいるかもしれないな……」
ライトニングが呟くと、私は不安を抱きながらも覚悟を決めた。ここから先は危険が伴う可能性が高いからだ。それでも私たちならきっと勝てるはず! そんな根拠のない自信を抱いていたのだが、現実はそう甘くはなかった。砂漠に入ると早速魔物の姿を目撃することになる。
「あれだ!」
私達の視線の先には黒い鱗に覆われた巨大な生物がいた。それは翼を羽ばたかせてゆっくりとこちらへ向かってくる。
「行こう!」
ライトニングが声を上げると、私も覚悟を決めて走り出した。魔物との戦いが始まったのだ! 私は杖を構えてサンダーボルトを放つ準備をした。相手は大きいので一撃で仕留められる魔法を使わなければ勝機はないと判断したからだ。しかし、そんな私の考えは甘かったようだ。魔物は口から炎を吐き出すと、サンダーボルトを打ち消してしまったのだ! 予想外の出来事に動揺してしまう。すると魔物はその隙を狙って突進してきた。私は間一髪で回避したが、体勢を崩して転倒してしまう。
「フィーナ!」
ライトニングが私を助けようとするが、魔物はそれを許さないかのように攻撃を続けた。このままではまずいと思った私は起き上がると同時に魔法を唱えた。
「サンダーボルト!!」
私の放った魔法は魔物に命中したかに見えたが、次の瞬間には霧散してしまう。どうやら防御力も高いようだ……。私は必死に対抗策を考えるが、何も思いつかないまま時間が過ぎていく。
「ライトニング、どうしたらいいんだろう……」
私は思わず弱音を吐いてしまう。すると彼は力強く答えた。
「諦めちゃダメだ! 必ず勝てる方法があるはずだから!」
その言葉に私は勇気づけられる。そうだ、私たちはまだ戦える! そう思った矢先のことだった──魔物は私たちに向かって突進してきたのだ。咄嵯に身を躱そうとしたが間に合わなかった。このままではやられてしまう……! しかしそうはならなかった。突如として目の前に現れた黒い渦のようなものに吸い込まれるように消えていく魔物の姿がそこにあったからだ……何が起きたのか理解できず呆然としていると、私たちの元に誰かが近づいてきた。
「君たち、大丈夫かい?」
それは黒いローブを纏った男性だった。どうやら彼は怪獣を倒したようだ。私は感謝の言葉を口にすると、男性は微笑みながら答えた。
「礼には及ばないさ」
そう言って立ち去ろうとする男性だったが、ふと思い出したかのように足を止めて振り返った。
「言い忘れていたけど……この辺りは危険な場所だからあまり近づかないようにね」
そう言い残して去っていく彼の後ろ姿を見つめながら、私たちは顔を見合わせた後、笑い合った。こうして私たちの初陣は幕を下ろしたのだった。
その後、私たちは無事に帰還することが出来た。しかし、魔物との戦いがこれから何度も続くことになるなんてこの時の私たちは想像もしていなかったのである……
3
お気に入りに追加
491
あなたにおすすめの小説
私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~
香木あかり
恋愛
「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」
貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。
カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。
ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……
「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」
クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。
負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。
カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。
そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。
「お前を虐げていた者たちに絶望を」
※念のためのR-15です
※他サイトでも掲載中
虐げられていた黒魔術師は辺境伯に溺愛される
朝露ココア
恋愛
リナルディ伯爵令嬢のクラーラ。
クラーラは白魔術の名門に生まれながらも、黒魔術を得意としていた。
そのため実家では冷遇され、いつも両親や姉から蔑まれる日々を送っている。
父の強引な婚約の取り付けにより、彼女はとある辺境伯のもとに嫁ぐことになる。
縁談相手のハルトリー辺境伯は社交界でも評判がよくない人物。
しかし、逃げ場のないクラーラは黙って縁談を受け入れるしかなかった。
実際に会った辺境伯は臆病ながらも誠実な人物で。
クラーラと日々を過ごす中で、彼は次第に成長し……そして彼にまつわる『呪い』も明らかになっていく。
「二度と君を手放すつもりはない。俺を幸せにしてくれた君を……これから先、俺が幸せにする」
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される
守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」
貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。
そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。
厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。
これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。
婚約破棄されて幽閉された毒王子に嫁ぐことになりました。
氷雨そら
恋愛
聖女としての力を王国のために全て捧げたミシェルは、王太子から婚約破棄を言い渡される。
そして、告げられる第一王子との婚約。
いつも祈りを捧げていた祭壇の奥。立ち入りを禁止されていたその場所に、長い階段は存在した。
その奥には、豪華な部屋と生気を感じられない黒い瞳の第一王子。そして、毒の香り。
力のほとんどを失ったお人好しで世間知らずな聖女と、呪われた力のせいで幽閉されている第一王子が出会い、幸せを見つけていく物語。
前半重め。もちろん溺愛。最終的にはハッピーエンドの予定です。
小説家になろう様にも投稿しています。
この度、青帝陛下の番になりまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
落ちぶれて捨てられた侯爵令嬢は辺境伯に求愛される~今からは俺の溺愛ターンだから覚悟して~
しましまにゃんこ
恋愛
年若い辺境伯であるアレクシスは、大嫌いな第三王子ダマスから、自分の代わりに婚約破棄したセシルと新たに婚約を結ぶように頼まれる。実はセシルはアレクシスが長年恋焦がれていた令嬢で。アレクシスは突然のことにとまどいつつも、この機会を逃してたまるかとセシルとの婚約を引き受けることに。
とんとん拍子に話はまとまり、二人はロイター辺境で甘く穏やかな日々を過ごす。少しずつ距離は縮まるものの、時折どこか悲し気な表情を見せるセシルの様子が気になるアレクシス。
「セシルは絶対に俺が幸せにしてみせる!」
だがそんなある日、ダマスからセシルに王都に戻るようにと伝令が来て。セシルは一人王都へ旅立ってしまうのだった。
追いかけるアレクシスと頑なな態度を崩さないセシル。二人の恋の行方は?
すれ違いからの溺愛ハッピーエンドストーリーです。
小説家になろう、他サイトでも掲載しています。
麗しすぎるイラストは汐の音様からいただきました!
【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる