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送ってもらいました。
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同期で友人の彩華に社内メールを送る。
やはり1人で社外を歩くのは不安だから。
アラサーの女の子が不安がるのはオカシイと自分でも思うけど。
彩華から了解のメールがきた。
定時は17時半。
まとめた書類は各々に社内メールで送る。
あたしは荷物を持って更衣室に行き、カバンに荷物を入れ替える。
携帯を確認すると大樹からメールが着ていた。
駅前のカフェにいるらしい。
あたしは同期にそこまで一緒に行くとメールを送る。
「行こうか?」
先に更衣室に来ていた彩華が声をかけ、あたし達は更衣室を出た。
「聞きたい事がいくつかあるんですが。」
彩華に言われてあたしは頷く。
「足のこと。あと今日のデートの相手。それから今日現れたコピー?のアメリカ支社の人。」
あたし達は上がってきたエレベーターに乗る。
「足は一昨日の同窓会で階段から落ちた時にやった。
今日のデートの相手は原本。
それから最後に言ってた人こそ原本その人です。」
エレベーター内にはあたし達以外にも人がいるからはっきりとは言えなかった。
階段から落ちた時の具体的なことも。
原本と呼んでる人の名前も。
でも彩華にはそれだけで満足したふうだった。
ひょっとするとこの場ではこれ以上聞けないことだと理解しているのかもしれない。
エレベーターを降りると相原と出くわした。
「また、いるぞ。」
また、ですか。
「どうする?」
大樹をカフェで待たせている以上、さっさと行かないと。
「時間がない。出るよ。」
「神村、まだ来てないみたいだけど?」
相原が言う。
「うん、大樹から買い物に付き合えって。」
相原はあたしの言葉を聞いて苦笑する。
「必死だなぁ。
途中までオレも一緒に行くか?」
あたしは首を振った。
「大丈夫。相原、まだ仕事残ってるでしょ?」
「そうだけどさ。」
「ありがとう。彩華もいるし大丈夫だよ。」
「…気をつけて行けよ。」
「うん。」
自動ドアを抜ければそこにはビジネスバッグを持った元婚約者がいた。
「深和っ。」
今にも泣きそうな顔にあたしはひいた。
「御用件は弁護士を通してお願いします。」
「やり直したいんだっ。」
「御用件は弁護士を通してお願いします。」
「深和、どうしてそんな事言うの?」
それはこっちのセリフだ!
「婚約破棄された相手と話をしたくないからです。
人と約束してますので。」
「待って!」
肩を掴まれてあたしは思わず彩華の腕を掴んだ。
「いい加減にしてくれませんか?彼女嫌がってるの分からないんですか?
一方的に婚約破棄して、彼女が弁護士を依頼したら執拗に追い回しておいて、何を今更寄りを戻そうとしているんですか?」
「それはっ…。」
「言い訳を聞きたいんじゃないんですよ。彼女の立場にたったら、仕事ごときで浮気するような男と寄りを戻したところでまた浮気されるのが関の山です。行くわよ。」
あたしは唖然と彩華を見ていたが、引きずられるようにしてその場を去った。
「なんなのよ、あの男。馬鹿じゃないの。」
「うん…。」
馬鹿でどうしようもない男だ。
どうしてあたしはあんな男と付き合っていたのか分からない。
「待ち合わせはどこ?」
尋ねられてあたしは駅前のカフェの名前を告げる。
「わかった。」
その後は黙って2人で歩いた。
やはり1人で社外を歩くのは不安だから。
アラサーの女の子が不安がるのはオカシイと自分でも思うけど。
彩華から了解のメールがきた。
定時は17時半。
まとめた書類は各々に社内メールで送る。
あたしは荷物を持って更衣室に行き、カバンに荷物を入れ替える。
携帯を確認すると大樹からメールが着ていた。
駅前のカフェにいるらしい。
あたしは同期にそこまで一緒に行くとメールを送る。
「行こうか?」
先に更衣室に来ていた彩華が声をかけ、あたし達は更衣室を出た。
「聞きたい事がいくつかあるんですが。」
彩華に言われてあたしは頷く。
「足のこと。あと今日のデートの相手。それから今日現れたコピー?のアメリカ支社の人。」
あたし達は上がってきたエレベーターに乗る。
「足は一昨日の同窓会で階段から落ちた時にやった。
今日のデートの相手は原本。
それから最後に言ってた人こそ原本その人です。」
エレベーター内にはあたし達以外にも人がいるからはっきりとは言えなかった。
階段から落ちた時の具体的なことも。
原本と呼んでる人の名前も。
でも彩華にはそれだけで満足したふうだった。
ひょっとするとこの場ではこれ以上聞けないことだと理解しているのかもしれない。
エレベーターを降りると相原と出くわした。
「また、いるぞ。」
また、ですか。
「どうする?」
大樹をカフェで待たせている以上、さっさと行かないと。
「時間がない。出るよ。」
「神村、まだ来てないみたいだけど?」
相原が言う。
「うん、大樹から買い物に付き合えって。」
相原はあたしの言葉を聞いて苦笑する。
「必死だなぁ。
途中までオレも一緒に行くか?」
あたしは首を振った。
「大丈夫。相原、まだ仕事残ってるでしょ?」
「そうだけどさ。」
「ありがとう。彩華もいるし大丈夫だよ。」
「…気をつけて行けよ。」
「うん。」
自動ドアを抜ければそこにはビジネスバッグを持った元婚約者がいた。
「深和っ。」
今にも泣きそうな顔にあたしはひいた。
「御用件は弁護士を通してお願いします。」
「やり直したいんだっ。」
「御用件は弁護士を通してお願いします。」
「深和、どうしてそんな事言うの?」
それはこっちのセリフだ!
「婚約破棄された相手と話をしたくないからです。
人と約束してますので。」
「待って!」
肩を掴まれてあたしは思わず彩華の腕を掴んだ。
「いい加減にしてくれませんか?彼女嫌がってるの分からないんですか?
一方的に婚約破棄して、彼女が弁護士を依頼したら執拗に追い回しておいて、何を今更寄りを戻そうとしているんですか?」
「それはっ…。」
「言い訳を聞きたいんじゃないんですよ。彼女の立場にたったら、仕事ごときで浮気するような男と寄りを戻したところでまた浮気されるのが関の山です。行くわよ。」
あたしは唖然と彩華を見ていたが、引きずられるようにしてその場を去った。
「なんなのよ、あの男。馬鹿じゃないの。」
「うん…。」
馬鹿でどうしようもない男だ。
どうしてあたしはあんな男と付き合っていたのか分からない。
「待ち合わせはどこ?」
尋ねられてあたしは駅前のカフェの名前を告げる。
「わかった。」
その後は黙って2人で歩いた。
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