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序章

仲間

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「なにせ不意打ちでやられたものでな、永井と保能も連れ出すのに苦労したものだ。本部の周辺は異能者達の町もあるし、他の局もあるから心配なんだが」
「お、おい。ならそいつらは大丈夫なのか? そこには学校もあるんじゃないのか。それに残りの隊長の部下達はどうした」
それは予想外だ。予想外すぎる。
異能者達の法律とも言える場所が、テロリスト共に占拠されているなんて誰が予想できる。
「待て待て。一気に質問をするな一つずつ答えていくぞ」
はぁと呆れたようにため息をつく風切さん。
いや、呆れているのはこっちの方なんだが。
「まずそんな事態になったのは、ほかの隊長達が殆ど不在の時に狙われたからだ。私達が急いで帰還したときにはもう遅かった。残った隊員達は抵抗はしたようだが、全滅を避けるため撤退したそうだった。他局のものはそもそも一部のものしか戦闘技術をもっていなしな。おかげで今は他の隊長達と連絡するすべがない。ちっ、せめて局長と連絡がつけば……。あと、他局や住民達や生徒達のことだが恐らく殺されていることはないだろう」
「……なぜそんなことが言い切れる」
「奴らにとってもあそこが機能しなくなるのは、最も避けたい事態の筈だ。生徒達はいくらでも利用価値があると考えるだろう。育てて兵士にでもするとか」
兵士って、そいつらは戦争でも起こす気なのか? と冗談を言おうとしたが、それは最早冗談の域を出ていることに気付き、言うのをやめる。
「なるほど分かった。……そういえばさっき言っていた局長とは誰だ?」
他の情報に耳がいってしまい思わず聞き流してしまっていた。
「ん? ああ、局長は私達隊長の指揮監督のような者だ。つまり隊長の隊長と言うことだな。その時は出張していて不在だったのだが」
さっきの紹介では誰が指揮しているのか謎だったがそんな人がいたのか。
「それでだ、光。今までの話で分かると思うが、情け無いことに
今私達はボロボロだ。ボロボロでさらにバラバラだ。だから、大きな戦力がいる」
言われなくても分かっている。訳のわからないいざこざに巻き込まれて腹も立っているし、両親が死んだなどにわかに信じられないことを言われて戸惑っている。だがここまで聞いたらこいつらの言いたいことは分かる。
「私達に力を貸してくれ」
と、言いペコリと頭を下げる風切さん。
あぐらのままだが。しかし、俺は即答する。
「当たり前だ」
「……そうか。ありがとう」
「もし、風切さんの話が本当なら、俺の親はそいつらに殺されたことになる。それを聞いて黙ってられる訳がない。真相を知りたいし、本当ならそいつらは殺す。俺は復讐のために戦うことになるぞ。それでも良いのか?」
「もちろんだ。復讐は何も生まないなんて、きれい事を言うつもりはないし、復讐は達成したらちゃんと相手の不幸を生んでいるからな」
言われてみれば、そうだなと感心してしまう。その発想はなかったな。
「じゃっ、光は私達の仲間になったってことで良いんだね-?」
パンっと、手を叩き顔を突き出して尋ねてくる。
顔の距離が異様なほどに近いし、こいつもいきなり名前呼びか。
「ま、まぁそういうことだな」
「やったぜーー! てってれー! 光が仲間になったー!」
「光さん、これからよろしくお願いします」
「……よろしく」
さっきまで黙っていた3人も喋りだす。こいつらも意外と空気は読めるらしい。仲間と言うことで良いのだろう。やはり、こいつらも一緒に戦うのだな。
「ああ…よろしく」
「では、決まりだな」
「あの、それと、……偉そうなことを言っといてなんだが、俺まだ戦い方とか、力の使い方とか全くの素人なんだが……戦力になるのか?」
それを聞くと風切さんはニヤァと悪人のような笑みを浮かべた。
「安心しろ。全てを骨の髄まで叩き込んでやる」
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