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158.~ハリーEND~3

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《ハリーside》

ミュラお嬢様が執務室から退室したのを確認し、大きくため息をつく。

「はぁ…ルイズ様、どういうおつもりですか?」

「ふっ、何か問題があったか?可愛い娘の初恋を応援するのは当然だろう。」

「何をおっしゃってるんですか、今まで散々邪魔してきたくせに…。」

「なぁハリー、ミュラも成人を迎えた。いつまでも子供じゃないんだ。でもな、俺は可愛い娘を嫁にやりたくはない。王家や他の公爵家に嫁がせてみろ、執着心の強い奴らはミュラをなかなか外には出さないだろう?そうなったら気軽に会えなくなってしまうからな。」

「だったら何故、協力するなどと…」

「相手がお前なら話は別だ。」

「はぁ?何を馬鹿な事を…」

「お前は我がロレイル公爵家の家令だ。身内同然のお前ならば、この先もミュラと一緒に過ごせるではないか。WinWinとは正にこの事だな。まぁ、我が息子どもは納得しないだろうがなぁ~。そこはミュラが誰を選んでも同じだから気にするな。」

「ルイズ様、俺は半獣ですよ?ミュラお嬢様と結婚など…。子供だって…獣の血が混ざってしまう。…俺はミュラお嬢様が大切です。愛していると…認めます。だからこそ、愛おしい彼女を不幸にはさせたくない。」

「ハリー、幸せかどうかはミュラ本人が決めることだ。」

「しかし……っ、怖いんです…。ミュラお嬢様を幸せにする自信がありません…。」

「じゃあ、ミュラに幸せにしてもらえ。レイラに似て思いやりのある子だから、お前の闇も照らしてくれるさ。まずは二人でよく話し合いなさい。あ、くれぐれも婚前だと言うことを忘れるなよ?解ったな?」

「はい…。」

ーーーーーーーーーーーーーー・・・
ーーーーーーーーーー・・・

コンコン。
「ハリー、あのっ…話が…したいんだけど…」

結局、あの後勇気が出ず…ウダウダと悩んでいたら夜になってしまい、今日はもうミュラお嬢様とお話するのは無理だなと思っていたのに…夜、ミュラお嬢様が俺の部屋に訪ねてきた。

ドアを開けると、シルクのナイトドレス姿で…サーラに就寝の準備をしてもらった後、部屋から脱け出して来たことがうかがえる。

「ちょっと…お待ちください。」
一度ドアを締め深呼吸する。
カイン様対策に、ミュラお嬢様のお部屋の監視カメラをダミー映像に切り替える事も忘れない。

「お待たせいたしました。どうぞ。」
「あ、ありがとう、ハリー。夜遅くにごめんなさい。」

膝丈のナイトドレスは胸元がV字に大きく開いたもので、中には下着をつけていないのだろう、豊満な谷間が覗き、薄手の生地の為ぷくりと立った乳首がその位置を主張していた。

「ミュラお嬢様、そのような格好で夜に男性の部屋を訪問してはいけません。お嬢様は危機感が無さすぎます。」
ついいつもの家令としての小言が口から出てしまう。

「危機感…は無いわ。ハリーになら何をされてもいいもの…。あのね、ハリー!あの、わ…わたしね、ハリーのこと…ぁ…ぅ……す………す………ぅぅ………」
真っ赤な顔でモゴモゴと言いよどむミュラお嬢様に、こちらまで赤面してしまう。そこまで言われたら『好き』の二文字が解らない馬鹿は居ない。

だいたい『何をされてもいい』だなんて大胆な事を言えるのに『好き』の一言に照れるって何なんだ…。あぁ、『何をされても…』に、俺が思ういやらしい行為など考えてもいないのか?

ミュラお嬢様は緊張からかナイトドレスのスカートの裾をギュッと握り締めてモジモジしている為、白く柔らかな太股がチラチラと見えてしまっている。

これ、『好き』って言われるまで待ってなきゃいけないのか?いや、無理だ。俺の理性が持たない。

「ミュラお嬢様、昨夜は『好き』だと言ってくださったではないですか。」

「えっ!?やっぱり夢じゃなかったのね…。」

「夢じゃありませんよ。昨日もキスしましたし、15歳の時にこの部屋でもキスしたでしょう?」

「し…したけど…ハリーの気持ちは一度も聞いた事が無いから……」

んん?あー…言われてみれば確かに…いつも気持ちを伝える前にミュラお嬢様は気を失っていたかもしれない。

「俺はミュラお嬢様が好きですよ。愛してます。…だけど、俺ではお嬢様に釣り合わない。」

「う…確かにそうね。私みたいな子供じゃ…ハリーはその…欲情?しないのかしら…??ん?欲情?興奮?…サーラに教えて貰ったんだけど…あってる?」

あの馬鹿侍女、何て言葉を教えてやがる。
はぁ~…釣り合わないって言われて、自分の方が価値が低いと思うなんて…ミュラお嬢様らしいというかなんというか…。

「俺は爵位も無いし、黒ヒョウの獣人の血が半分流れてる。親はどこにいるか解らない、親戚も身寄りも無い。何も持ってないんだ。…ミュラお嬢様を幸せにはしてあげられません。」

「わ…私だって何も持って無いわ!家族は居るけど、他には何も無い。こんな私だけど…ハリーの家族になる事はできると思うの。…だ…だめかしら?」

家族になりたいだなんて…
こんな素敵なプロポーズあるだろうか。
「俺で…いいのですか?後悔しても、嫌だって言っても、離してあげられませんよ?」

ミュラお嬢様はギュッと抱き付き、美しい笑顔を俺に向ける。
「ハリーがいいのよ。側に居てくれたら、それだけで私は幸せだわ。」

「ミュラお嬢様…。ありがとうございます。」

「ふふ、ではお付き合いするという事よね。嬉しい!明日からよろしくねハリー。じゃあ、おやすみなさい。」

「は?」
にこにこと部屋を出て行こうとするミュラお嬢様の腕を掴む。

「え?どうしたのハリー?」

「いや、いや、いや。どうしたの?じゃないでしょう。そんないやらしい格好で俺を誘惑しといて、おやすみって!『ハリーになら何をされてもいい』でしたっけ?お言葉に甘えて、たっぷり愛させてもらいますよ。」

「えぇ?!ちょっと待って…ハリー!!きゃぁぁ!!」

ミュラお嬢様を抱き上げてベッドに放り投げる。
「今回はキスだけで終わりませんからね、眠れないくらい激しくしてさしあげますから大丈夫ですよ。ふふふ」

「ハリー…何だか怖いわ…。」

「俺が欲情するのはミュラお嬢様だけなので、責任取っていただきますよ。」

ーーーーーーーーーー・・・
ーーーーーーーーーーーーーー・・・

《翌朝》
カイン「ハリー!ドアを開けろ!」
ロイ「変態オオカミ!」
ラナン「ロリコン!!!」

ガチャ

ハリー「朝からうるさいですねぇ。ミュラお嬢様は明け方やっと眠りについたばかりなんですよ。静かにしていただけますか?それと、私はオオカミではなく黒ヒョウです。」

カイン「ハリー!俺は絶対認めないからな!」

ハリー「はいはい。わたくし、本日はお休みをいただいておりますので、失礼いたします。」

バタン。

ロイ「あ!この野郎!ミュラを返せー!!」
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