140 / 177
134.~クロノスEND~1
しおりを挟む
*124.私の好きな人 の続きからのお話です。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
はぁ…泣いてばかりいてもダメだ。
それに悲しむべきなのは私じゃなくて、皆の方なんだから…。感情が私に向くように何らかの力が働いているとしたら…本当に申し訳ない。
そういえば、先日クロノス様が私の子宮に魔法がかけられていると言っていた。もしかしたらこれも何か関係があるのかもしれない…。
明日クロノス様に聞いてみよう。
ペチペチと頬に渇を入れる。
ーーーーーーーーー・・・
翌朝、早速クロノス様へ「お時間がある時に会いたい」とお手紙を送った所、その日の午後に会えることになり、私はシラー侯爵家を訪れていた。
「クロノス様、急なお伺いに対してご了承いただきありがとうございます。」
「ミュラの為ならいつでもいいよ。ちょっとこっち来て。」
ポンポンとクロノス様の座るソファーの横を指示される。
「?はい。」
私は言われるがままクロノス様の隣に腰をおろした。
「昨日泣いた?目が腫れてる。」
クロノス様の手が私の頬に触れ、顔が近づく。
ぎゅっと目を閉じると、瞼にキスをされたと同時にヒーリング魔法で腫れを引いてくれたのだと気付く。
「あ…ありがとうございます。」
「キスされるかと思った?」
間近でニヤリと微笑まれ、カァッと頬が熱くなる。
「違っ…ちょっとびっくりしただけです。」
「俺はキスしたい。ダメ?」
唇をぷにっと親指で押され、クロノス様の顔が近付き鼻がつきそうなくらい…。
「ぁ……あのっ!今日は話があって来たんです。」
慌ててクロノス様の唇を両手で塞ぎキスを防ぐ。
クロノス様はムッとした表情を一瞬したが、笑って「まぁ、いいよ。聞いてやる」と優雅に紅茶を口にする。
「私が…みんなに魅了魔法のようなものをかけていたりしますか?」
私の言葉が余りにも予想外だったのか、ポカンとした表情からクロノス様は一気に吹き出して笑う。
「ぷはっ、あはははは!何それ?真剣な顔して何を言うかと思えば…。何?あまりにも色んな人から好意を寄せられるから不安になった?」
「むっ…。私は真剣に相談してるんです。で、どうなんですか?知らず知らずに魔法を発動してるとかありますか?」
「答えはノーだ。ミュラがみんなに好かれてるのは産まれた時からずっとだぞ?16年間絶え間なく魅了魔法を複数人にかけ続けるのは無理だ。第一、お前魔法苦手だろ。この大魔術師のクロノス様でも出来ない事をお前が出来る訳ないだろう。冗談を言う暇があるなら毎日此処に来て魔法の練習しろ。」
うぅ…。反論できないのが辛い。
私は潜在的な魔力量は膨大らしいのだけれど、未だに全く使いこなせていない。(お兄様達が危ないからってあまり魔法を使わせないようにしているのもあるけど。)
そういう訳で、ママみたいに聖女認定される事もなく…、魔法の能力としては中の下がいいところだった。
「じゃあ魔法じゃなくて…産まれ持った魅力とか…。あっ!違うの!自分が可愛いとかそういう話じゃなくて!!うぅ~…なんて言えばいいのか…。」
クロノス様は呆れた様子でため息を一つ。
「あのなぁ、何があったか最初から全部話してみろ。お前が不安に思ってる事全部だ。いいか、お前より俺の方が何倍も頭がいい。俺が解決してやるから隠さず吐け。」
両頬をブニッとつままれてしまい、上手くしゃべれない。
「ふぁ…ふぁい(は…はい)」
「ぷはっ、ブサイク。」
「ひゃめてぇ~(やめて~)」
やっと頬を解放してもらい、私はほっぺをスリスリと撫でる。うぅ…。
「時間は沢山ある。さぁ、1からゆっくり聞いてやる。」
どうぞ、と目で促され、私は仕方無くこれまで自分に起きた出来事を1つずつ話していった。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
はぁ…泣いてばかりいてもダメだ。
それに悲しむべきなのは私じゃなくて、皆の方なんだから…。感情が私に向くように何らかの力が働いているとしたら…本当に申し訳ない。
そういえば、先日クロノス様が私の子宮に魔法がかけられていると言っていた。もしかしたらこれも何か関係があるのかもしれない…。
明日クロノス様に聞いてみよう。
ペチペチと頬に渇を入れる。
ーーーーーーーーー・・・
翌朝、早速クロノス様へ「お時間がある時に会いたい」とお手紙を送った所、その日の午後に会えることになり、私はシラー侯爵家を訪れていた。
「クロノス様、急なお伺いに対してご了承いただきありがとうございます。」
「ミュラの為ならいつでもいいよ。ちょっとこっち来て。」
ポンポンとクロノス様の座るソファーの横を指示される。
「?はい。」
私は言われるがままクロノス様の隣に腰をおろした。
「昨日泣いた?目が腫れてる。」
クロノス様の手が私の頬に触れ、顔が近づく。
ぎゅっと目を閉じると、瞼にキスをされたと同時にヒーリング魔法で腫れを引いてくれたのだと気付く。
「あ…ありがとうございます。」
「キスされるかと思った?」
間近でニヤリと微笑まれ、カァッと頬が熱くなる。
「違っ…ちょっとびっくりしただけです。」
「俺はキスしたい。ダメ?」
唇をぷにっと親指で押され、クロノス様の顔が近付き鼻がつきそうなくらい…。
「ぁ……あのっ!今日は話があって来たんです。」
慌ててクロノス様の唇を両手で塞ぎキスを防ぐ。
クロノス様はムッとした表情を一瞬したが、笑って「まぁ、いいよ。聞いてやる」と優雅に紅茶を口にする。
「私が…みんなに魅了魔法のようなものをかけていたりしますか?」
私の言葉が余りにも予想外だったのか、ポカンとした表情からクロノス様は一気に吹き出して笑う。
「ぷはっ、あはははは!何それ?真剣な顔して何を言うかと思えば…。何?あまりにも色んな人から好意を寄せられるから不安になった?」
「むっ…。私は真剣に相談してるんです。で、どうなんですか?知らず知らずに魔法を発動してるとかありますか?」
「答えはノーだ。ミュラがみんなに好かれてるのは産まれた時からずっとだぞ?16年間絶え間なく魅了魔法を複数人にかけ続けるのは無理だ。第一、お前魔法苦手だろ。この大魔術師のクロノス様でも出来ない事をお前が出来る訳ないだろう。冗談を言う暇があるなら毎日此処に来て魔法の練習しろ。」
うぅ…。反論できないのが辛い。
私は潜在的な魔力量は膨大らしいのだけれど、未だに全く使いこなせていない。(お兄様達が危ないからってあまり魔法を使わせないようにしているのもあるけど。)
そういう訳で、ママみたいに聖女認定される事もなく…、魔法の能力としては中の下がいいところだった。
「じゃあ魔法じゃなくて…産まれ持った魅力とか…。あっ!違うの!自分が可愛いとかそういう話じゃなくて!!うぅ~…なんて言えばいいのか…。」
クロノス様は呆れた様子でため息を一つ。
「あのなぁ、何があったか最初から全部話してみろ。お前が不安に思ってる事全部だ。いいか、お前より俺の方が何倍も頭がいい。俺が解決してやるから隠さず吐け。」
両頬をブニッとつままれてしまい、上手くしゃべれない。
「ふぁ…ふぁい(は…はい)」
「ぷはっ、ブサイク。」
「ひゃめてぇ~(やめて~)」
やっと頬を解放してもらい、私はほっぺをスリスリと撫でる。うぅ…。
「時間は沢山ある。さぁ、1からゆっくり聞いてやる。」
どうぞ、と目で促され、私は仕方無くこれまで自分に起きた出来事を1つずつ話していった。
0
お気に入りに追加
586
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
異世界転移した心細さで買ったワンコインの奴隷が信じられない程好みドストライクって、恵まれすぎじゃないですか?
sorato
恋愛
休日出勤に向かう途中であった筈の高橋 菫は、気付けば草原のど真ん中に放置されていた。
わけも分からないまま、偶々出会った奴隷商人から一人の男を購入する。
※タイトル通りのお話。ご都合主義で細かいことはあまり考えていません。
あっさり日本人顔が最も美しいとされる美醜逆転っぽい世界観です。
ストーリー上、人を安値で売り買いする場面等がありますのでご不快に感じる方は読まないことをお勧めします。
小説家になろうさんでも投稿しています。ゆっくり更新です。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
5人の旦那様と365日の蜜日【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
気が付いたら、前と後に入ってる!
そんな夢を見た日、それが現実になってしまった、メリッサ。
ゲーデル国の田舎町の商人の娘として育てられたメリッサは12歳になった。しかし、ゲーデル国の軍人により、メリッサは夢を見た日連れ去られてしまった。連れて来られて入った部屋には、自分そっくりな少女の肖像画。そして、その肖像画の大人になった女性は、ゲーデル国の女王、メリベルその人だった。
対面して初めて気付くメリッサ。「この人は母だ」と………。
※♡が付く話はHシーンです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる