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「ミュラ、入るよ。」
「クロノス様…。突然どうしたんですか?」
部屋で読書をしていると、突然クロノス様が入ってきた。今日は誰とも会う約束はしていなかったはずなのに…。
「誕生パーティーでミュラを見てから、どうしても確認したい事があって…。ロイに頼み込んで話す時間を貰ったんだ。」
「確認したい事ってなんですか?」
クロノス様はとても鋭い目付きで私の顔を見てから、視線をゆっくり下におろして行き、お腹の辺りを凝視している。
スタスタと近づいてきて私のお腹を指差した。
「コレどうした?」
「え…?…ちょっと太ったかな?」
誕生パーティーもあったし、少し甘いものを食べ過ぎた自覚はある…。
「はぁ?違う。コレだよ、コレ!」
呆れ顔でクロノス様は言うけれど、コレとは…どれの事なのか??
「ごめんなさい。ちょっとよくわからないんだけど…?」
「はぁ…。最近、誰かとシた?」
赤紫色の瞳がギロリと私を睨む。
「したって…何を??」
意味が解らず聞き返せば、チッ!と盛大に舌打ちされる。…クロノス様が何に怒っているのか本当にわからない。
「セックス!ココに誰か入った?」
クロノス様の指がお腹からツーッと下におりる。
「へ?!なっ…!何言ってるの!?」
シたってエッチの事?ようやく意味がわかり、ボッ!と顔が赤くなるのがわかる。
「…で、どうなんだ?」
苛々した様子で下腹部をツンツンするのはやめて欲しい。服の上からといえど非常に恥ずかしいです!
「してないよ!!どうしてそんな事聞くの?」
慌てて否定すると、クロノス様は少し考え込んだ様子で再び私の下腹部をじっと見つめる。
「じゃあ…何か入れられたりしてない?魔法薬とか…指で直接触れたら…それもアリかも」
「なっ!?ないですっ!!」
ひぃぃ!もう何なのこの尋問はっ!!
「自覚がないって事は…ミュラが寝ている時か…?」ふむ、とまたクロノス様は考え込んでしまう。
「もぉ…いったい何なの?クロノス様が何を言いたいのかよくわからない…。」
「ミュラの子宮の入り口に魔法がかけられてる。」
しきゅう…至急、支給、シキュウ……子宮?!
「えっっ!?」
「普通の人なら気付かないくらい上手く隠されてる。コレを仕込んだ奴は相当な手練れだな。」
子宮に魔法…。
子宮に!!?魔法っ!?!
「えっっ?!!」
「うるさいっ!」
ツンとおでこを人差し指で押される。
うぅ…。
「だってぇ…。」
うぅ…。それ、どういう状態??大丈夫なの?
ウルウルと目に涙がたまっていく。
「泣くな。大丈夫だから。」
ポンポンと頭を撫でてくれる手は優しい。
「私、どうなっちゃうの?」
「ミュラの身体に害のある魔法じゃない。どちらかといえば守る為にかけられてる。」
「死なない?」グスッ
「死なないっ!守る為って言ったろ?」
ワシャワシャと頭を撫でられて、私、犬みたいになってます…。
「守るってどういうこと?」
「まぁ、簡単に言えばコンドームだな。」
「コン…何??」
「…ミュラって閨の教育とかしてないの?」
クロノス様が本日二度目の呆れ顔で私を見る。
「閨の教育って何??習ってない。」
「はぁ、過保護というか何ていうか…。お前も大変だな。」
なんだかよくわからないけど、同情されてる?
「さっきの、コン…ドーム?って何?」
「お前、二度とその言葉を口にするなよ。上目遣いでそんなこと言ったら襲われるぞ。」
「えぇ…?クロノス様が言ったのに…。」
「つまりな、精子が子宮に入るのを防ぐ役割だ。わかるか?」
「…っ!?」
「お、その反応だとセックスの仕方はわかってるんだな。」じゃあなんで避妊具について知らないんだよ、とクロノス様が本日三度目の呆れ顔を向ける。
「どうしてそんな魔法が…。」
「オオカミからお姫様を守る為だろ?お前すぐ食べられそうだもんな。その点はこの魔法をかけた奴と同意見だ。ただ、勝手にミュラに魔法をかけたのは気に入らない。」
お前も危機感なさ過ぎ、何で魔法かけられて気付かないの?と最早可哀相な子を見るような視線を向けられる。
「魔法、とけないの?ずっとこのまま?」
「うーん…ミュラが本当に好きになった奴とシたら解除できるかもな。試してみるか?」
ニヤリと笑う顔はいじめっこの様だ。
「たっ…試さないっ。」
「ま、見た所このままにしても大丈夫そうだから。俺もちょっと調べてみるし。本当にヤバかったら、観念して俺に抱かれろ。」
冗談交じりにかけられた言葉と、優しい瞳に私は胸がキュッとした。
「クロノス様…。突然どうしたんですか?」
部屋で読書をしていると、突然クロノス様が入ってきた。今日は誰とも会う約束はしていなかったはずなのに…。
「誕生パーティーでミュラを見てから、どうしても確認したい事があって…。ロイに頼み込んで話す時間を貰ったんだ。」
「確認したい事ってなんですか?」
クロノス様はとても鋭い目付きで私の顔を見てから、視線をゆっくり下におろして行き、お腹の辺りを凝視している。
スタスタと近づいてきて私のお腹を指差した。
「コレどうした?」
「え…?…ちょっと太ったかな?」
誕生パーティーもあったし、少し甘いものを食べ過ぎた自覚はある…。
「はぁ?違う。コレだよ、コレ!」
呆れ顔でクロノス様は言うけれど、コレとは…どれの事なのか??
「ごめんなさい。ちょっとよくわからないんだけど…?」
「はぁ…。最近、誰かとシた?」
赤紫色の瞳がギロリと私を睨む。
「したって…何を??」
意味が解らず聞き返せば、チッ!と盛大に舌打ちされる。…クロノス様が何に怒っているのか本当にわからない。
「セックス!ココに誰か入った?」
クロノス様の指がお腹からツーッと下におりる。
「へ?!なっ…!何言ってるの!?」
シたってエッチの事?ようやく意味がわかり、ボッ!と顔が赤くなるのがわかる。
「…で、どうなんだ?」
苛々した様子で下腹部をツンツンするのはやめて欲しい。服の上からといえど非常に恥ずかしいです!
「してないよ!!どうしてそんな事聞くの?」
慌てて否定すると、クロノス様は少し考え込んだ様子で再び私の下腹部をじっと見つめる。
「じゃあ…何か入れられたりしてない?魔法薬とか…指で直接触れたら…それもアリかも」
「なっ!?ないですっ!!」
ひぃぃ!もう何なのこの尋問はっ!!
「自覚がないって事は…ミュラが寝ている時か…?」ふむ、とまたクロノス様は考え込んでしまう。
「もぉ…いったい何なの?クロノス様が何を言いたいのかよくわからない…。」
「ミュラの子宮の入り口に魔法がかけられてる。」
しきゅう…至急、支給、シキュウ……子宮?!
「えっっ!?」
「普通の人なら気付かないくらい上手く隠されてる。コレを仕込んだ奴は相当な手練れだな。」
子宮に魔法…。
子宮に!!?魔法っ!?!
「えっっ?!!」
「うるさいっ!」
ツンとおでこを人差し指で押される。
うぅ…。
「だってぇ…。」
うぅ…。それ、どういう状態??大丈夫なの?
ウルウルと目に涙がたまっていく。
「泣くな。大丈夫だから。」
ポンポンと頭を撫でてくれる手は優しい。
「私、どうなっちゃうの?」
「ミュラの身体に害のある魔法じゃない。どちらかといえば守る為にかけられてる。」
「死なない?」グスッ
「死なないっ!守る為って言ったろ?」
ワシャワシャと頭を撫でられて、私、犬みたいになってます…。
「守るってどういうこと?」
「まぁ、簡単に言えばコンドームだな。」
「コン…何??」
「…ミュラって閨の教育とかしてないの?」
クロノス様が本日二度目の呆れ顔で私を見る。
「閨の教育って何??習ってない。」
「はぁ、過保護というか何ていうか…。お前も大変だな。」
なんだかよくわからないけど、同情されてる?
「さっきの、コン…ドーム?って何?」
「お前、二度とその言葉を口にするなよ。上目遣いでそんなこと言ったら襲われるぞ。」
「えぇ…?クロノス様が言ったのに…。」
「つまりな、精子が子宮に入るのを防ぐ役割だ。わかるか?」
「…っ!?」
「お、その反応だとセックスの仕方はわかってるんだな。」じゃあなんで避妊具について知らないんだよ、とクロノス様が本日三度目の呆れ顔を向ける。
「どうしてそんな魔法が…。」
「オオカミからお姫様を守る為だろ?お前すぐ食べられそうだもんな。その点はこの魔法をかけた奴と同意見だ。ただ、勝手にミュラに魔法をかけたのは気に入らない。」
お前も危機感なさ過ぎ、何で魔法かけられて気付かないの?と最早可哀相な子を見るような視線を向けられる。
「魔法、とけないの?ずっとこのまま?」
「うーん…ミュラが本当に好きになった奴とシたら解除できるかもな。試してみるか?」
ニヤリと笑う顔はいじめっこの様だ。
「たっ…試さないっ。」
「ま、見た所このままにしても大丈夫そうだから。俺もちょっと調べてみるし。本当にヤバかったら、観念して俺に抱かれろ。」
冗談交じりにかけられた言葉と、優しい瞳に私は胸がキュッとした。
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