106 / 177
101.【ミュラ8歳】~ロイside~
しおりを挟む
「ミュ~ラ~」
「ふふふ、どうしたんですか?ロイお兄様。」
小言を言うサーラを追い出し、ミュラの部屋に二人きりの時間を勝ち取った。今日はカイン兄様もラナンも居ない。そう、邪魔者は誰も居ないのだ!
ミュラが王宮に通うようになって2年が過ぎた。当然の如くミュラは皆に愛されるようになり、ミュラもまた交流を深めていっている。
以前は部屋を伺えば必ずミュラが居たけれど、最近は不在にしている事も多く、こうして二人きりで過ごせる時間は久しぶりだった。
ソファーで股の間にミュラを座らせ、後ろから抱き締める。ミュラの後頭部に頭をグリグリと押し付ければ、クスクス笑うミュラの声が心地良い。
「最近ミュラが構ってくれないから拗ねてるだけ。」
「えぇ~?そうかな??」
「そうだよ。昨日だってクロノスの所に行ってただろ。」
「あれは魔法の練習で…」
と言い淀むミュラの頬がポッと赤くなったのを俺は見逃さなかった。
「なに?…何かあった?」
「魔力の流れの練習で…ちょっとからかわれただけっ。」
「ふうん?」
その時、下を向いたミュラの髪がハラリと動き、白いうなじに赤いキスマークが見えた。
「ねぇ、これ何?」
赤い跡をトンと指で押し、左手はミュラをギュッと抱き締めた。
「え?何かある?」
「…ここ、クロノスにキスされた?」
自分でも分かるくらい低い声になった。
「ぅえっ?!な…なんで知って…?!」
「チッ…あいつ…」
クロノスの奴、絶対殴る。
俺だってまだキスマークつけた事無いのに。
ラナンといい、クロノスといい、己の欲望をミュラに押し付け過ぎだ。
キスマークに上書きしてやりたい。
だけど、それじゃあいつらと一緒だ。
ポールの件で俺は誓ったはずだ。もう二度とミュラを傷つけないって。
ぐっと我慢し、ミュラのキスマークをヒーリング魔法で消す。
「はぁ……。」
ミュラの後頭部に頭をグリグリと押し付ける。
「ロイお兄様??さっきから本当にどうしたの?大丈夫?」
「大丈夫じゃない…。でも、大丈夫。」
「えぇ~??」
「なぁ、ミュラ。もうちょい危機感持ってくれ。」
「危機感?」
「色んな奴にキスされ過ぎ。」
「クロノス様のは…魔力の流れの練習で…キスとかそういうのじゃないと思うけど?」
「それがダメ。男はみんなオオカミだと思いなさい。下心が無い奴なんて居ないんだから。」
「うーん…?ロイお兄様もオオカミ?」
クルッと振り向き上目遣いでじっと見つめてくるの…それ反則だから。そういうのどこで覚えてくんの?はぁ…無自覚でやってんだろうな。
「はぁ…俺もオオカミ。だから、食べられないように気を付けて。」
「食べられるの?痛いのはやだなぁ。」
「だから…。はぁ、もうお前はぁー。」
俺の気も知らないで…。ホント勘弁してくれ。
ぎゅうぅときつく抱き締めれば「きゃー」と笑いながら足をバタバタさせて喜んでるミュラに、惚れた俺の負けだなぁと思う。
「好きだよ、ミュラ。」
「私もロイお兄様大好き!」
迷うことなく言ってくれるミュラの『好き』は家族のなんだろうなと思う。
「俺の方が好きだから。」
「えー、私も大好きだもん。ロイお兄様の好きな所たくさん言えるよ。」
「恥ずかしいから言わないで…。」
何それ、俺を殺す気?
好き過ぎて胸が苦しくて死にそう。
「ロイお兄様照れてるの?可愛い。ふふ」
「ミュラの方が可愛い。可愛すぎてお兄さんは心配です。」
「あ、知ってる?こういうのシスコンって言うんだって。私はブラコン?」
「もー何でもいい。妹じゃなくても好きだし。どんなミュラでも好き。」
「愛の告白みたいだね。」
「そうだよ。」
童話に出てくる王子様みたい!と笑うミュラを抱き締めながら、いつになったらこの想いが伝わるのかな…と何度目か分からないため息をはいた。
「ふふふ、どうしたんですか?ロイお兄様。」
小言を言うサーラを追い出し、ミュラの部屋に二人きりの時間を勝ち取った。今日はカイン兄様もラナンも居ない。そう、邪魔者は誰も居ないのだ!
ミュラが王宮に通うようになって2年が過ぎた。当然の如くミュラは皆に愛されるようになり、ミュラもまた交流を深めていっている。
以前は部屋を伺えば必ずミュラが居たけれど、最近は不在にしている事も多く、こうして二人きりで過ごせる時間は久しぶりだった。
ソファーで股の間にミュラを座らせ、後ろから抱き締める。ミュラの後頭部に頭をグリグリと押し付ければ、クスクス笑うミュラの声が心地良い。
「最近ミュラが構ってくれないから拗ねてるだけ。」
「えぇ~?そうかな??」
「そうだよ。昨日だってクロノスの所に行ってただろ。」
「あれは魔法の練習で…」
と言い淀むミュラの頬がポッと赤くなったのを俺は見逃さなかった。
「なに?…何かあった?」
「魔力の流れの練習で…ちょっとからかわれただけっ。」
「ふうん?」
その時、下を向いたミュラの髪がハラリと動き、白いうなじに赤いキスマークが見えた。
「ねぇ、これ何?」
赤い跡をトンと指で押し、左手はミュラをギュッと抱き締めた。
「え?何かある?」
「…ここ、クロノスにキスされた?」
自分でも分かるくらい低い声になった。
「ぅえっ?!な…なんで知って…?!」
「チッ…あいつ…」
クロノスの奴、絶対殴る。
俺だってまだキスマークつけた事無いのに。
ラナンといい、クロノスといい、己の欲望をミュラに押し付け過ぎだ。
キスマークに上書きしてやりたい。
だけど、それじゃあいつらと一緒だ。
ポールの件で俺は誓ったはずだ。もう二度とミュラを傷つけないって。
ぐっと我慢し、ミュラのキスマークをヒーリング魔法で消す。
「はぁ……。」
ミュラの後頭部に頭をグリグリと押し付ける。
「ロイお兄様??さっきから本当にどうしたの?大丈夫?」
「大丈夫じゃない…。でも、大丈夫。」
「えぇ~??」
「なぁ、ミュラ。もうちょい危機感持ってくれ。」
「危機感?」
「色んな奴にキスされ過ぎ。」
「クロノス様のは…魔力の流れの練習で…キスとかそういうのじゃないと思うけど?」
「それがダメ。男はみんなオオカミだと思いなさい。下心が無い奴なんて居ないんだから。」
「うーん…?ロイお兄様もオオカミ?」
クルッと振り向き上目遣いでじっと見つめてくるの…それ反則だから。そういうのどこで覚えてくんの?はぁ…無自覚でやってんだろうな。
「はぁ…俺もオオカミ。だから、食べられないように気を付けて。」
「食べられるの?痛いのはやだなぁ。」
「だから…。はぁ、もうお前はぁー。」
俺の気も知らないで…。ホント勘弁してくれ。
ぎゅうぅときつく抱き締めれば「きゃー」と笑いながら足をバタバタさせて喜んでるミュラに、惚れた俺の負けだなぁと思う。
「好きだよ、ミュラ。」
「私もロイお兄様大好き!」
迷うことなく言ってくれるミュラの『好き』は家族のなんだろうなと思う。
「俺の方が好きだから。」
「えー、私も大好きだもん。ロイお兄様の好きな所たくさん言えるよ。」
「恥ずかしいから言わないで…。」
何それ、俺を殺す気?
好き過ぎて胸が苦しくて死にそう。
「ロイお兄様照れてるの?可愛い。ふふ」
「ミュラの方が可愛い。可愛すぎてお兄さんは心配です。」
「あ、知ってる?こういうのシスコンって言うんだって。私はブラコン?」
「もー何でもいい。妹じゃなくても好きだし。どんなミュラでも好き。」
「愛の告白みたいだね。」
「そうだよ。」
童話に出てくる王子様みたい!と笑うミュラを抱き締めながら、いつになったらこの想いが伝わるのかな…と何度目か分からないため息をはいた。
0
お気に入りに追加
586
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
異世界転移した心細さで買ったワンコインの奴隷が信じられない程好みドストライクって、恵まれすぎじゃないですか?
sorato
恋愛
休日出勤に向かう途中であった筈の高橋 菫は、気付けば草原のど真ん中に放置されていた。
わけも分からないまま、偶々出会った奴隷商人から一人の男を購入する。
※タイトル通りのお話。ご都合主義で細かいことはあまり考えていません。
あっさり日本人顔が最も美しいとされる美醜逆転っぽい世界観です。
ストーリー上、人を安値で売り買いする場面等がありますのでご不快に感じる方は読まないことをお勧めします。
小説家になろうさんでも投稿しています。ゆっくり更新です。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
5人の旦那様と365日の蜜日【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
気が付いたら、前と後に入ってる!
そんな夢を見た日、それが現実になってしまった、メリッサ。
ゲーデル国の田舎町の商人の娘として育てられたメリッサは12歳になった。しかし、ゲーデル国の軍人により、メリッサは夢を見た日連れ去られてしまった。連れて来られて入った部屋には、自分そっくりな少女の肖像画。そして、その肖像画の大人になった女性は、ゲーデル国の女王、メリベルその人だった。
対面して初めて気付くメリッサ。「この人は母だ」と………。
※♡が付く話はHシーンです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる