49 / 177
45.~クロノスside~⭐
しおりを挟む
クロノス・フォン・シラー(7歳)
シラー侯爵家 長男
シラー侯爵家は代々魔力が強く、当主が魔術団長を務め王家に仕えてきた。例に漏れず父は魔術団長をしており、俺と妹のエレクトラも魔法に長けている。
魔法のコントロールや精度は鍛練により向上するが、魔力そのものの質は生まれた時にほぼ決まってしまう。親からの遺伝も色濃く出るため、シラー侯爵家の長男として生まれた俺には暗黙の了解で強い魔力を持つ配偶者が求められていた。
まぁ俺自身、人の容姿にアレコレ好みがあるわけではないし、そもそも魔力の乏しい者には心惹かれる事が無いので、容姿より魔力重視で妻を選ぶのには全然問題ない。
ミュラが生まれた日、特別な魔力を感じた。
清らかで、温かく、優しい魔力。
今まで、父に付いて聖女様にお会いする機会もあったが、それとは全然質が違う。
今感じている魔力が光輝く宝石だとすると、聖女様の魔力が質の悪いイミテーションの玩具のように感じる程、天と地の差がある。
そして離れた場所でも感じる程強い魔力。
慌てて父に伝えれば「この魔力を感じる事ができるなら、お前は合格だ。」と頭をポンと撫でられた。妹のエレクトラも同じタイミングで父に伝えに来ていたので、どうやら二人とも魔術師としての第一歩はクリアしたらしい。
俺も妹も魔力の出所までは特定出来なかったが、父には解るようだった。「魔力を辿れる様になるのには、まだまだ修行が足りないな」と笑われてしまい悔しい思いをした。
しかし、魔力を特定できるきっかけは案外直ぐにやってきた。幼なじみのロイに会いにロレイル公爵家に行った時の事、魔力を色濃く感じる事ができたのだ。
「ロイ、最近生まれた妹のミュラに会わせろ。」
「はぁ?無理だ。ミュラはまだ小さい。」
「別に見るだけなら問題ないだろ。」
「駄目だ。どうせ魔力馬鹿の好奇心だろ?そんなクロノスにミュラは会わせられない。」
ロイに何度頼んでも了解は得られず、妹のエレクトラはラナン経由で頼み込んだ様だったが、そちらも断られたようだった。
それから俺は、頻繁にロレイル公爵家を訪ねるようになった。ミュラに会えずとも同じ屋敷にいれば魔力をより強く感じられる。
ミュラの魔力は面白い。感情でコロコロ色や温度が変わるようでとても興味深い。いつしか姿が見えなくともミュラと一緒に居るような気になり居心地が良くなっていた。
今まで他人に興味がなかった俺が、初めて一緒に居たいと思えた人。それほどミュラは特別な魔力を持っていた。
誕生パーティーでミュラを初めて見て、素直に美しいと思えた事に自分でも驚いた。女の外見なんてどうでもいいと思っていた俺が?
初めての感情に心がむず痒い。なんだこれ。
ミュラの魔法は素晴らしかった。
花を一斉に開花させる…植物魔法か、それとも時間を操っているのか?花びらを舞い降らせるのは風魔法だよな。1歳の子が混合魔法を使った?なんだよそれ。
それにこの魔力の心地良さはなんなんだ。
包み込むような優しさで、キラキラと輝いて…。マジか…。ヤバイな。
チラリと父上の顔を伺えば、手で口元を覆っていたがこれは絶対ニヤケてるな。面白い玩具を見つけた時の顔してる。隣に居た妹のエレクトラも目を輝かせている。
シラー侯爵家に目を付けられたら終わりだ。
狙った獲物は絶対に逃がさない。
俺のモノにしたい。
俺だけのモノにしたい。
その顔を近くで見てみたい。
もっと側で魔力を感じたい。
そう思ったら、ミュラを風魔法で浮かせ引き寄せ、抱き締めていた。
「捕まえた。」
絶対逃がさない。
シラー侯爵家 長男
シラー侯爵家は代々魔力が強く、当主が魔術団長を務め王家に仕えてきた。例に漏れず父は魔術団長をしており、俺と妹のエレクトラも魔法に長けている。
魔法のコントロールや精度は鍛練により向上するが、魔力そのものの質は生まれた時にほぼ決まってしまう。親からの遺伝も色濃く出るため、シラー侯爵家の長男として生まれた俺には暗黙の了解で強い魔力を持つ配偶者が求められていた。
まぁ俺自身、人の容姿にアレコレ好みがあるわけではないし、そもそも魔力の乏しい者には心惹かれる事が無いので、容姿より魔力重視で妻を選ぶのには全然問題ない。
ミュラが生まれた日、特別な魔力を感じた。
清らかで、温かく、優しい魔力。
今まで、父に付いて聖女様にお会いする機会もあったが、それとは全然質が違う。
今感じている魔力が光輝く宝石だとすると、聖女様の魔力が質の悪いイミテーションの玩具のように感じる程、天と地の差がある。
そして離れた場所でも感じる程強い魔力。
慌てて父に伝えれば「この魔力を感じる事ができるなら、お前は合格だ。」と頭をポンと撫でられた。妹のエレクトラも同じタイミングで父に伝えに来ていたので、どうやら二人とも魔術師としての第一歩はクリアしたらしい。
俺も妹も魔力の出所までは特定出来なかったが、父には解るようだった。「魔力を辿れる様になるのには、まだまだ修行が足りないな」と笑われてしまい悔しい思いをした。
しかし、魔力を特定できるきっかけは案外直ぐにやってきた。幼なじみのロイに会いにロレイル公爵家に行った時の事、魔力を色濃く感じる事ができたのだ。
「ロイ、最近生まれた妹のミュラに会わせろ。」
「はぁ?無理だ。ミュラはまだ小さい。」
「別に見るだけなら問題ないだろ。」
「駄目だ。どうせ魔力馬鹿の好奇心だろ?そんなクロノスにミュラは会わせられない。」
ロイに何度頼んでも了解は得られず、妹のエレクトラはラナン経由で頼み込んだ様だったが、そちらも断られたようだった。
それから俺は、頻繁にロレイル公爵家を訪ねるようになった。ミュラに会えずとも同じ屋敷にいれば魔力をより強く感じられる。
ミュラの魔力は面白い。感情でコロコロ色や温度が変わるようでとても興味深い。いつしか姿が見えなくともミュラと一緒に居るような気になり居心地が良くなっていた。
今まで他人に興味がなかった俺が、初めて一緒に居たいと思えた人。それほどミュラは特別な魔力を持っていた。
誕生パーティーでミュラを初めて見て、素直に美しいと思えた事に自分でも驚いた。女の外見なんてどうでもいいと思っていた俺が?
初めての感情に心がむず痒い。なんだこれ。
ミュラの魔法は素晴らしかった。
花を一斉に開花させる…植物魔法か、それとも時間を操っているのか?花びらを舞い降らせるのは風魔法だよな。1歳の子が混合魔法を使った?なんだよそれ。
それにこの魔力の心地良さはなんなんだ。
包み込むような優しさで、キラキラと輝いて…。マジか…。ヤバイな。
チラリと父上の顔を伺えば、手で口元を覆っていたがこれは絶対ニヤケてるな。面白い玩具を見つけた時の顔してる。隣に居た妹のエレクトラも目を輝かせている。
シラー侯爵家に目を付けられたら終わりだ。
狙った獲物は絶対に逃がさない。
俺のモノにしたい。
俺だけのモノにしたい。
その顔を近くで見てみたい。
もっと側で魔力を感じたい。
そう思ったら、ミュラを風魔法で浮かせ引き寄せ、抱き締めていた。
「捕まえた。」
絶対逃がさない。
0
お気に入りに追加
586
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
異世界転移した心細さで買ったワンコインの奴隷が信じられない程好みドストライクって、恵まれすぎじゃないですか?
sorato
恋愛
休日出勤に向かう途中であった筈の高橋 菫は、気付けば草原のど真ん中に放置されていた。
わけも分からないまま、偶々出会った奴隷商人から一人の男を購入する。
※タイトル通りのお話。ご都合主義で細かいことはあまり考えていません。
あっさり日本人顔が最も美しいとされる美醜逆転っぽい世界観です。
ストーリー上、人を安値で売り買いする場面等がありますのでご不快に感じる方は読まないことをお勧めします。
小説家になろうさんでも投稿しています。ゆっくり更新です。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
5人の旦那様と365日の蜜日【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
気が付いたら、前と後に入ってる!
そんな夢を見た日、それが現実になってしまった、メリッサ。
ゲーデル国の田舎町の商人の娘として育てられたメリッサは12歳になった。しかし、ゲーデル国の軍人により、メリッサは夢を見た日連れ去られてしまった。連れて来られて入った部屋には、自分そっくりな少女の肖像画。そして、その肖像画の大人になった女性は、ゲーデル国の女王、メリベルその人だった。
対面して初めて気付くメリッサ。「この人は母だ」と………。
※♡が付く話はHシーンです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる