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「ハァ…ハァ…可愛いぃ…」
不意に後ろから聞こえる吐息混じりの声に背中がゾクリとする。びっくりして振り向けば、髪色がセンターで白と黒に分かれた可愛らしい女の子が頬を染めてハァハァしていた。
……これはどういう状況だろう??
「おい、変態ども。ミューに近付くな。」
カイ兄様、笑顔だけど声が恐い…。っていうか、変態どもって女の子に向かって酷くない?泣いちゃうんじゃ…
「なによ~!変態なのは私じゃなくて、ハァハァしてるシャルカでしょ。」
エレクトラ様はカイ兄様に向かってぷくりと頬を膨らませる。あ、いつものやり取りなのか全然気にしてないみたい?仲良しなのか…な?
「わた…私はただ…ミュラちゃんがあまりにも可愛らしいから…ハァ…ハァ。私はシャルカ・ド・シシリア。シシリア公爵家の長女よ。ミュラちゃん、あの…手を繋いでもいいかしら?」
ヒェッ!!なぜだろう…シャルカ様はとても可愛い女の子なのに、何故か恐い。ハァハァ吐息が荒く、目がハートになっているからだろうか…。
私が後ずさりしようとするより早くシャルカ様が私の両手を掴む。
「うふふ、かぁ~わいっ。」ちゅぱっ
ヒャァ!!!ゆびっ!指をしゃぶって…!!
指先を舐めとられ、生暖かいシャルカ様の舌の感触と、間近で絡み合う視線が私の動悸を早くさせる。人間驚き過ぎると声が出ないらしい。
ハクハクと声にならない息だけがこぼれる。
「シャルカ!!お前は何てことを!!」
フリーズしてしまった私をカイ兄様は慌てて引き寄せ、ハンカチで私の指先を優しく拭いてくれる。
「うふふ、美味しい…ハァ」
うっとりと呟くシャルカ様の耳にはカイ兄様の声は届いていないようだった。
「おい、ゼノン!妹のシャルカを何とかしろ。いつもより酷いぞ。」
カイ兄様は怒りの形相で、シャルカ様の後ろにいる男の子に声をかける。
シャルカ様と同じく白と黒の髪色をしていて、とても優しい笑顔をしている。
「あはは、ミュラちゃんごめんね。僕はゼノン・ド・シシリア。シシリア公爵家の長男で、シャルカは妹なんだ。シャルカは好きなものに対して感情が昂ると、こういった発作がでるんだ。今までは人形やぬいぐるみに対してだけだったんだけど…ミュラちゃんがお人形さんみたいに可愛いからかな。まぁ、危害を加えるような事はしないから大丈夫だよ。」
あはは、と何でもない事の様に話すゼノン様。
シャルカ様は何かブツブツ言っていて恐い。
「あ!そうだわぁ!ミュラちゃん、これ持ってみて!ねっ」
閃いた!とばかりのハイテンションで可愛らしい白いウサギのぬいぐるみを渡されたので、圧に押されながらも両手でぬいぐるみを抱っこする。
「くぅ~っ!さいっこうっ!!やっぱりウサギのぬいぐるみを誕生日プレゼントにして間違いなかったわぁ。ハァハァ…可愛いぬいぐるみを一生懸命抱き抱える天使…最高のコラボレーション!!」
妙なスイッチが入ったシャルカ様に圧倒されて口元がヒクヒクする…。
でも、私の為に用意してくれたプレゼントは素直に嬉しい。だって101回目の転生で、初めて女の子の友達(?)から貰えたプレゼントなんだもん。今まで同年代の友達など一人も居なかったし、言葉を交わす知り合いさえも居なかった。それほど孤独な転生だったのだから…。
ちょっと?…かなり?テンション高めなシャルカ様だけど、きっとぬいぐるみが好きな可愛らしい女の子なんだろう。
ちゃんとお礼を言わなくちゃ!
ありがとうって!
「しゃりゅかたま、しゅきっ!」
不意に後ろから聞こえる吐息混じりの声に背中がゾクリとする。びっくりして振り向けば、髪色がセンターで白と黒に分かれた可愛らしい女の子が頬を染めてハァハァしていた。
……これはどういう状況だろう??
「おい、変態ども。ミューに近付くな。」
カイ兄様、笑顔だけど声が恐い…。っていうか、変態どもって女の子に向かって酷くない?泣いちゃうんじゃ…
「なによ~!変態なのは私じゃなくて、ハァハァしてるシャルカでしょ。」
エレクトラ様はカイ兄様に向かってぷくりと頬を膨らませる。あ、いつものやり取りなのか全然気にしてないみたい?仲良しなのか…な?
「わた…私はただ…ミュラちゃんがあまりにも可愛らしいから…ハァ…ハァ。私はシャルカ・ド・シシリア。シシリア公爵家の長女よ。ミュラちゃん、あの…手を繋いでもいいかしら?」
ヒェッ!!なぜだろう…シャルカ様はとても可愛い女の子なのに、何故か恐い。ハァハァ吐息が荒く、目がハートになっているからだろうか…。
私が後ずさりしようとするより早くシャルカ様が私の両手を掴む。
「うふふ、かぁ~わいっ。」ちゅぱっ
ヒャァ!!!ゆびっ!指をしゃぶって…!!
指先を舐めとられ、生暖かいシャルカ様の舌の感触と、間近で絡み合う視線が私の動悸を早くさせる。人間驚き過ぎると声が出ないらしい。
ハクハクと声にならない息だけがこぼれる。
「シャルカ!!お前は何てことを!!」
フリーズしてしまった私をカイ兄様は慌てて引き寄せ、ハンカチで私の指先を優しく拭いてくれる。
「うふふ、美味しい…ハァ」
うっとりと呟くシャルカ様の耳にはカイ兄様の声は届いていないようだった。
「おい、ゼノン!妹のシャルカを何とかしろ。いつもより酷いぞ。」
カイ兄様は怒りの形相で、シャルカ様の後ろにいる男の子に声をかける。
シャルカ様と同じく白と黒の髪色をしていて、とても優しい笑顔をしている。
「あはは、ミュラちゃんごめんね。僕はゼノン・ド・シシリア。シシリア公爵家の長男で、シャルカは妹なんだ。シャルカは好きなものに対して感情が昂ると、こういった発作がでるんだ。今までは人形やぬいぐるみに対してだけだったんだけど…ミュラちゃんがお人形さんみたいに可愛いからかな。まぁ、危害を加えるような事はしないから大丈夫だよ。」
あはは、と何でもない事の様に話すゼノン様。
シャルカ様は何かブツブツ言っていて恐い。
「あ!そうだわぁ!ミュラちゃん、これ持ってみて!ねっ」
閃いた!とばかりのハイテンションで可愛らしい白いウサギのぬいぐるみを渡されたので、圧に押されながらも両手でぬいぐるみを抱っこする。
「くぅ~っ!さいっこうっ!!やっぱりウサギのぬいぐるみを誕生日プレゼントにして間違いなかったわぁ。ハァハァ…可愛いぬいぐるみを一生懸命抱き抱える天使…最高のコラボレーション!!」
妙なスイッチが入ったシャルカ様に圧倒されて口元がヒクヒクする…。
でも、私の為に用意してくれたプレゼントは素直に嬉しい。だって101回目の転生で、初めて女の子の友達(?)から貰えたプレゼントなんだもん。今まで同年代の友達など一人も居なかったし、言葉を交わす知り合いさえも居なかった。それほど孤独な転生だったのだから…。
ちょっと?…かなり?テンション高めなシャルカ様だけど、きっとぬいぐるみが好きな可愛らしい女の子なんだろう。
ちゃんとお礼を言わなくちゃ!
ありがとうって!
「しゃりゅかたま、しゅきっ!」
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