【R18】101回目の転生～天然無自覚少女は溺愛に気付かない～

22.

あっという間に4ヶ月が経ち、私はもうすぐ1歳の誕生日を迎える。

あれから魔法は使っていない。
というか、今でも私はラナン兄様が魔法を使ったんじゃないかと思っているし、もしかしたらサーラが？！とさえ考えていた。
私自身、魔法を使った自覚は無いし、第一使い方が解らない。しいて言えば『動け～』と願ったけれど、ぬいぐるみは直ぐには動かなかった。そんな時間差で発動する？えぇー？？
という訳で、良く解らず試すのも怖いので、とりあえず‘’心の中で強く願う‘’という事は止めている。

それに、あれから家族の様子がおかしい。
今まで通り優しく接してくれているんだけど、何か隠しているような…時々疎外感を感じるようになった…。

……。
ダメダメ。暗く考えないようにしなくちゃ。


「ミュラお嬢様、庭へお散歩しに参りましょうか。」
今日も優しいサーラの笑顔にほっとするなぁ。
私は『抱っこ～』のポーズで手を伸ばす。
生後11ヶ月の私はハイハイをマスターし、数秒なら一人で立つこともできるようになった。今は歩く練習中で、天気の良い日は庭の芝生の上でサーラに捕まりながらヨチヨチしているのだ。

サーラに抱っこしてもらい廊下を進んでいると、前から家令のハリーがやってくるのが見えた。

「ミュラお嬢様、ご機嫌麗しゅうございます。今日も庭で練習でございますか。ミュラお嬢様は頑張り屋さんで偉いですねぇ。」

ニコニコと笑顔で話しかけられ、流れる動作で手を取られ甲にチュッと唇を落とされる。
挨拶だと解っていても未だに慣れない。
ハリーは笑顔で優しいのに、何故か私の頭の中では危険信号が点滅する。

「サーラ、あちらの道から行きなさい。」

「あっ！！は、はい。かしこまりました」

「それではミュラお嬢様、失礼致します。」

笑顔のままのハリーだけれど、一瞬声のトーンが低くなった気がした。
それにサーラも焦った様に見えた…。

サーラは回れ右して進んでいた方向とは逆のルートで庭に向かう。こちらからだと遠回りななのに…。ハリーは何でこっちから行けって言ったのかな？

なんとなく心がざわざわしたけど、私はまた考えないように気持ちに蓋をする。