【R18】101回目の転生～天然無自覚少女は溺愛に気付かない～

11.

「ミュリィ。一緒に遊ぼう」

私がモブだと再確認している所に、ラナン兄様が部屋に訪ねてきてくれた。

ロレイル家の三男であるラナン兄様は、毎日昼食後に遊びに来てくれる。

ゆるいウェーブがかったゴールドの髪はショートボブで、ブルートパーズの瞳はぱっちり大きい。カイ兄様やロイ兄様もイケメンだけど、4歳のラナン兄様はまだ幼さも残る顔立ちも相まって、本当に天使みたい。

ラナン兄様は私の事を「ミュリィ」と呼んでくれる。「僕だけの呼び方だから、他の人には呼ばせたらダメだからね」と笑っていたけれど、目が本気だった気がする。
カイ兄様が「ミュー」呼びだから、対抗してるのかな？うんうん、よくあるよね。お兄さんに張り合って「僕も！」となった感じかな。
ふふ、今までの転生では兄弟が居なかったから、こんなやり取りでさえ微笑ましい。


「今日も猫のぬいぐるみで遊んでいたの？」

「あぃ！」

ラナン兄様が側に座ってくれたので、私は『はい、どうぞ』と猫のぬいぐるみをラナン兄様に向けた。

ピョン！トテテ…

ぬいぐるみの猫が私の手をすり抜け、まるで生きているかの様に動き出す。

すごい！！ラナン兄様魔法でぬいぐるみを動かす事ができるんだ！！
私は尊敬の眼差しで、ラナン兄様に満面の笑みを向ける。

「っ…！！サーラ！直ぐに父上と母上を呼んで！」
ラナン兄様は目を見開き、焦ったように叫ぶ。

「は、はいっ！承知いたしましたっ！」
バタバタと急いで部屋を出ていくサーラ。


私は突然の出来事に、何が起きたのかわからず、開け放たれたままのドアを呆然と見つめた。

そんな私を、恍惚とした表情でラナン兄様が見つめていた事に知る由もない。