【R18】101回目の転生～天然無自覚少女は溺愛に気付かない～

5.

101回の転生をはたし生まれてから早3ヶ月。
この世界の事や自分の状況を把握しようと、必死に人間観察を行い、家族や侍女の話に聞き耳をたてて少しずつわかってきた事がある。

まず第一に、今回のこの世界は異世界であるということ。
最初は部屋の造りや服装から中世ヨーロッパあたりの時代かな？と思っていたんだけど、侍女のサーラが部屋の明かりをつける時に魔法石を使用しているのを見たり、お母様が私をあやす為に魔法でぬいぐるみを動かしているのを見て、魔法が存在する世界だと気がついた。

魔法が存在する異世界も何度か体験済みだから、すんなり受け入れられたんだよね。

そして、この国は王政であり、大きく分けて王族、貴族、平民の階級に分かれているようだった。
貴族は公・侯・伯・子・男で分かれており、トップにあたる公爵家は4家あるらしい。そのうちの一つが我がロレイル公爵家のようだ。
これはお父様が「すごいだろ」と自慢気にお話してくれたんだけど、横で聞いていたお母様が「まだミュラちゃんにはわからないわよ」と呆れ顔だった。

対して私は、
え、待って。私が公爵家の娘？！
今まで異世界も貴族階級の世界も体験済みだけど、良くて平民、悪くて奴隷だったよ？
公爵家って…なんで？！
と動揺を隠せなかった。

私にとっては異世界転生よりも、よっぽど信じられない事態だったのだ。

もしかしたら今回の転生は‘’上げて落とす‘’的な人生なのかもしれない。今までもそういう展開は経験している。‘’今回は平凡でも幸せな暮らしが私を待っているわ！と思ったら、他殺や事故でThe End！！‘’って事があったもの。
うん、きっとそうだ。繰り返す転生に飽きた神様的な何かが趣向を凝らしてきたんだろう。
だから、期待したら負けだ。

それに、家族や侍女は私を見るたびに可愛いと言ってくれるけど、私はまだ自分の顔を見た事がない。だからいまいちピンとこない。
確かに肌は透き通るような白さで、つるつるもちもちだけど…

「まぁミュラお嬢様、お上手ですね」

ベッドに寝たまま腕を顔の上にあげ、手をぐーぱーしながらじっと見つめていると、侍女のサーラが誉めてくれた。

こんな事で誉めてくれるなんて…と私はさらに疑心暗鬼になるのだった。