【R18】101回目の転生～天然無自覚少女は溺愛に気付かない～

4.

ーふわぁ…あたたかくて、いい香り…ー　

私は母レイラの腕の中に抱き締められて、意識を取り戻す。

…まずい、まずい、一瞬気を失ってたわ。
恐るべきイケメン3兄弟。攻撃力が高すぎる。

「父上、妹の名前は決めたのですか？」
長男のカインが、父ルイズに尋ねる。

「あぁ、レイラと一緒に考えたのだが‘’ミュラ‘’はどうだろうか」
ルイズはレイラと笑みを交わし合いながら答える。

「ミュラかぁ！僕の天使ちゃんにぴったりの名前だねっ♪」
ラナンは無邪気に笑う。
いや、ラナンお兄様の方が天使だからっ！と心の中でツッコミは忘れない。

「ミュラ、私の愛しい子。母様が幸せにしてあげるからね。」
「レイラ、私や息子達も居るのを忘れては駄目だよ。私達家族みんなでミュラを大切に育てよう。」


ーミュラ…私の名前…ー

過去100回の転生で、こんなにも愛情のこもった声で両親から名前を呼ばれた事があっただろうか。
いつも「おい」や「お前」と怒りのこもった声で呼ばれていた…。娘としてはおろか、一人の人間としても認められていなかった気がする。

じわりと涙が溢れ出す。
泣いたらダメだとぎゅっと手を握りしめたが、母レイラに優しく頭を撫でられて、私は涙を止められなくなってしまった。

「ふぇ…ふぇぇん」

「あらあら、ミュラちゃん、おねむかしら？それともお腹が空いたのかしら？」
「あぁ、私の娘は泣き声もなんて可愛らしいんだ。初めてパパに声を聞かせてくれたね、ありがとう。」

私が泣いても怒りもせず、優しい笑顔を向けてくれる両親に、私は今まで我慢していた分まで泣いてしまったのだった。