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本編
さすがにそこまでしちゃったら許せないよ③
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俺はわざとポワソン少年が傷つくようなことを言った。
本当の足手まといは、魔法一つ使えない非力な俺なのに……。
――きっと今ポワソン少年は泣きそうな顔をしているに違いない。
「早くしろっ‼」
怒鳴るように指示を出すと、俺の後ろで怯えているような気配を感じた。
怖がらせたくないのに……。
でも早くここから離れてもらわなければ、折角解放されたというのに、また捕まってしまうことになりかねない。
『お願いだから、早くポプラさんの方へ行ってくれ』
俺の祈りが通じたのか、ポワソン少年が歩き出したのが音で分かった。
しかしどうやらポワソン少年は、先ほどの爆発で足を痛めてしまっていたらしく、走ることが出来ないようだ。
ズッ……ズッ……と足を引きずりながら、怖い気持ちを押し殺してポプラさんの方へと向かう。
俺はポワソン少年の気配が遠のくのを感じると男たちの方に歩みを進めた。
腕と足を拘束されてからポワソン少年の方を向くと、ポワソン少年はポプラさんに拘束を解いてもらっていてホッとした。
――また怖い思いさせちゃったな。
こちらを見ているポプラさんも悔しそうな顔をしている……。
護ってくれるって言ってくれていてのに、自分から敵に捕まりに行ってゴメン……。
男たちは「そのまま動くな」とポプラさんたちに指示を出すと、俺を連れて破壊されたポワソン少年の部屋の外側の壁から外に出ようとした。
腕と足を拘束されている俺は歩くことが出来ないため、男のうちの一人に横抱きに抱えあげられた。
もう一人の男が近付いてきたと同時に、俺は強い光に包まれる。
その瞬間、男たちは強い力で跳ね飛ばされた。
光が放たれた一瞬の隙に、いつの間にか距離を詰めていたポプラさんが二人の男に切り掛かり、素早く魔法封じの魔具を取り付けた。
それでもうめき声を上げながら外へ通じる壁の穴の方に、這うようにして逃げようとする二人に拘束の魔法を掛けた。
騎士団の副団長を務めるほどの実力の持ち主であるポプラさんは、流石としか言いようのないくらいに無駄のない捕獲を見せてくれた。
男二人が拘束され俺の拘束が解かれるとほぼ同時にドアが開いて、ルシアンを筆頭とした騎士たちとセインがなだれ込んできた。
遮音の結界に気付いた時にセインに頼んで、ルシアンに知らせに行ってもらっていたんだ。
男たちを連行して数人の騎士が部屋を出て行った。
残りの騎士たちでこれから現場検証を行い、他にも敵が潜んでいないかを調査するらしい。
ポワソン少年はロイさんに付き添われて医務室に行き、俺とポプラさんはルシアンの部屋に行って、そこで詳しい話をすることになった。
ポプラさんは起事の些末を説明し終えると、俺たちに気を使って部屋を出て行ってくれた。
実はポワソン少年の部屋から大きな音がしてセインにポプラさんを呼んで来てもらった時には、ポワソン少年が人質に捕られるだろうと予想がついていた。
そこで遮音結界のことに考えが至って、このままでは応援の騎士たちは来ないだろうと考えた。
結界の中でも制限なく自由に行き来の出来るセインに姿を消してもらい、ルシアンに知らせに行くように頼んだのだ。
ポプラさんは反対したけれど、俺と引き換えにポワソン少年を解放するように交渉するから黙って行かせて欲しいとお願いしたんだ。
俺には秘密の最終兵器があるから大丈夫だと言って、渋々了承してもらった。
その上で俺が光を放った瞬間にこっちに突入してくれるよう頼んだんだ。
――本当に上手くいって良かった。
本当の足手まといは、魔法一つ使えない非力な俺なのに……。
――きっと今ポワソン少年は泣きそうな顔をしているに違いない。
「早くしろっ‼」
怒鳴るように指示を出すと、俺の後ろで怯えているような気配を感じた。
怖がらせたくないのに……。
でも早くここから離れてもらわなければ、折角解放されたというのに、また捕まってしまうことになりかねない。
『お願いだから、早くポプラさんの方へ行ってくれ』
俺の祈りが通じたのか、ポワソン少年が歩き出したのが音で分かった。
しかしどうやらポワソン少年は、先ほどの爆発で足を痛めてしまっていたらしく、走ることが出来ないようだ。
ズッ……ズッ……と足を引きずりながら、怖い気持ちを押し殺してポプラさんの方へと向かう。
俺はポワソン少年の気配が遠のくのを感じると男たちの方に歩みを進めた。
腕と足を拘束されてからポワソン少年の方を向くと、ポワソン少年はポプラさんに拘束を解いてもらっていてホッとした。
――また怖い思いさせちゃったな。
こちらを見ているポプラさんも悔しそうな顔をしている……。
護ってくれるって言ってくれていてのに、自分から敵に捕まりに行ってゴメン……。
男たちは「そのまま動くな」とポプラさんたちに指示を出すと、俺を連れて破壊されたポワソン少年の部屋の外側の壁から外に出ようとした。
腕と足を拘束されている俺は歩くことが出来ないため、男のうちの一人に横抱きに抱えあげられた。
もう一人の男が近付いてきたと同時に、俺は強い光に包まれる。
その瞬間、男たちは強い力で跳ね飛ばされた。
光が放たれた一瞬の隙に、いつの間にか距離を詰めていたポプラさんが二人の男に切り掛かり、素早く魔法封じの魔具を取り付けた。
それでもうめき声を上げながら外へ通じる壁の穴の方に、這うようにして逃げようとする二人に拘束の魔法を掛けた。
騎士団の副団長を務めるほどの実力の持ち主であるポプラさんは、流石としか言いようのないくらいに無駄のない捕獲を見せてくれた。
男二人が拘束され俺の拘束が解かれるとほぼ同時にドアが開いて、ルシアンを筆頭とした騎士たちとセインがなだれ込んできた。
遮音の結界に気付いた時にセインに頼んで、ルシアンに知らせに行ってもらっていたんだ。
男たちを連行して数人の騎士が部屋を出て行った。
残りの騎士たちでこれから現場検証を行い、他にも敵が潜んでいないかを調査するらしい。
ポワソン少年はロイさんに付き添われて医務室に行き、俺とポプラさんはルシアンの部屋に行って、そこで詳しい話をすることになった。
ポプラさんは起事の些末を説明し終えると、俺たちに気を使って部屋を出て行ってくれた。
実はポワソン少年の部屋から大きな音がしてセインにポプラさんを呼んで来てもらった時には、ポワソン少年が人質に捕られるだろうと予想がついていた。
そこで遮音結界のことに考えが至って、このままでは応援の騎士たちは来ないだろうと考えた。
結界の中でも制限なく自由に行き来の出来るセインに姿を消してもらい、ルシアンに知らせに行くように頼んだのだ。
ポプラさんは反対したけれど、俺と引き換えにポワソン少年を解放するように交渉するから黙って行かせて欲しいとお願いしたんだ。
俺には秘密の最終兵器があるから大丈夫だと言って、渋々了承してもらった。
その上で俺が光を放った瞬間にこっちに突入してくれるよう頼んだんだ。
――本当に上手くいって良かった。
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