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本編

王子の独り言 sideルシアン②

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 食後に散歩へと誘う。
 自慢のバラ園などを案内していると、先ほどまで一緒にいたはずの姫の姿がない……。

 どこかではぐれて迷っているのではと慌てて探していると、魔法で戦闘している様な音が聞こえたため、音のする方へ急いで向かった。

 姫自身は魔法を使えないため、無事であることを祈りながら駆け付けると、姫付きの精霊が結界を張って防いでくれていて、ホッと胸を撫でおろした。
 姫付きの精霊は本当に優秀であるらしい。
 聞くところによると姫が母親の胎内にいる時分から見守り続けているというのだから頭が上がらない。

 姫を襲った犯人に心当たりはあった。
 これは姫に対する殺人未遂であり、到底許すことは出来ない。

 出てくるように呼び掛ければ、やはり犯人は従妹のキャサリンだった。
 事の重大さを分かっていない奴に魔力封じの腕輪を嵌めると、沙汰が決まるまで離れの棟に幽閉することにした。

 緊急で開かれた会議で、キャサリンの父親である叔父上が減刑を求めた。
 しかしいくら王族と言えども精霊姫様の殺人未遂は、やはり許されることではない。
 魔力を封じた上で、離れ小島にある修道院に入れるという意見で纏まったことを姫に告げる。
 すると姫は、自身が無傷であるというのに罪が重すぎるのではないかと言った。
 そして直接キャサリンから話が聞きたいと言うので、気は進まなかったが面会するために連れ立って離れの棟に向かった。

 案の定、謝りもせずに高飛車な態度をとるキャサリンを諌めると、姫にキャサリンと二人で話をさせて欲しいと言われ、部屋の外に出されてしまった。

 魔法を封じているとはいえ、二人きりにする訳にはいかないため、せめてポワソンだけは中に置いてもらえるようにお願いした。

 結果から言うと、姫はあの我が儘でどうしようもなかったキャサリンと打ち解け、謝罪させたと言う……。

 被害者である姫自身から15才であるキャサリンに、やり直すチャンスを与えて欲しいとお願いされ、魔法封じの腕輪は嵌めたままであるということを条件に許すことになった。

 事件があってからは、外出をしないように伝えていたので、ロイやポワソン、ましてやキャサリンとまで、私が執務で姫との交流を深められない中、着々と仲を深めていると聞いた。
 どす黒い感情が胸の中に渦巻いているのを感じ、初めて嫉妬という感情が芽生えたことを知る。
 そして今までの私では考えられない事なのだが、強い執着や独占欲というものも知った。

 どこか人間らしい感情に乏しかった私は、姫に出会ってから沢山の感情を知ることが出来た。
 やはり姫は私にとって必要不可欠な存在なのだと改めて実感し、決してわたしの元から逃がさないと心に決めた。

 そこから嫉妬に駆られた私は、伴侶である私にしか許されない行為を夜中に姫のベッドに忍び込んで行った。

 姫の匂いや味を知り、益々手放せなくなっていく。

 一刻も早く婚姻を結び、正式に伴侶になって子作りをしたい……。
 姫のかぐわしく愛らしい蕾に、この熱いほどに昂った屹立を捩じ込んで、孕むまで種付けをしたい……。

 そういうよこしな感情が抑えられない。 
 私は欲に感情を支配されたことなどただの一度もなく、自身の独占欲に思わず苦笑する。

 身体を舐めたり蜜を味わったり、自分でも少しだけ異常だとは思う。
 しかしそんなことをしたいと思うのは、姫だけなのだから、私は変態ではない。
 愛しく想う者の身体や体液に魅力を感じない方がどうかしている。

 それなのに、他の者たちどんどん姫と交流を深めているのが羨ましくて仕方なかった。
 執念で執務を数日先の分までこなすと、一日自由に出来る日を確保することが出来た。

 そこで私は、幼い頃から気に入っている湖に案内することにした。
 私の胸に姫が背中を預ける形で馬に乗れば、私の股間は図らずとも形のいい程よい弾力の姫の臀部に密着することになり、思わず私の中心は反応してしまうことになった。

 しかし馬上でふざけるのは危険なので耐えるしかない。
 細い腰に回した腕からは柔らかな腹部の感触が伝わるし、首筋からはとても良い香りが漂っている……。
 忍耐力には自身のあった私だが、これには抗う術を持たず屈してしまいそうになる。
 何とか馬を走らせることに集中して耐え抜くことが出来た。

 湖に着くと手早く食事を済ませた私たちは、湖に足をつけることにした。
 姫がブーツと靴下を脱ぐと、白くしなやかな足が私の瞳を釘付けにし、馬上で耐え抜いた私の理性はあっという間に飛ばされてしまった。

 思わず姫の足を掴むと、姫は湖に落ちそうで怖いと可愛らしいことを言う。
 それならばと、嬉々として昼食を摂った敷き布まで転移した。

 防音と認識阻害の結界を張ってあるため、声や音を気にする必要はない。

 まさか足の匂いに興奮し、指を舐めて感激するとは思ってもいなかった。
 姫を目の前にすると、私はすぐに理性が飛ばされてしまう。

 本来の私は、こんなに堪え性のない男だったのだろうか?
 

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