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第3章 勇者たちの行方
5.
しおりを挟む水晶に近いクラスメイトから手を触れていく。
そして、姫様が指定するグループの先生の元へ向かう。
安藤は俺を適当なタイミングで戦士のグループの元へ連れて行き、スキルを解除した。そして自身もあたかもそこにいたかのようにして、水晶に触り隠密者のグループへ向かう。
(さーて、俺はどうなるかな?)
佐々木が、水晶に触れる。
呪いを解くのは治癒に入るのか魔術に入るのか、正直分からない。
姫様の気分次第ってことになる。
(これで治癒グループに入れたらラッキーだぜ)
「そうねぇ、あなたは魔術師かしらね!」
やっぱりそうきたか。
そうだよな、わざわざめんどくさい者を自身で処理する方法は選ばないだろうからな。
28名全員のステータス分類が完了した。
健二郎は戦士ということにさせた。
((((なんとか乗り切った…))))
何故あんなにも連携が取れていたのか健二郎には分からなかったが、佐々木、安藤、遠藤のお陰であることは間違いない。
(あとでお礼を言わなきゃな。)
(あれ、健二郎って測ってたっけ?)
持田洋子は疑問を抱いていた。
だが、基本的に水晶に触ってから、グループの元へ行っていた。
洋子が終える前に健二郎はすでに戦士のグループにいたのだ。
(私の勘違いかな?)
不思議に思う洋子の姿を見て、エリーゼはニヤリと笑った。
「皆様の訓練は2ヶ月間を予定しております。皆さまがまたここに集まる時、その時には魔王を倒せるほどの力を身につけてらっしゃると信じております」
ってことは、余命2ヶ月はあるってことだ。
それまでに国外逃亡の準備をする。
俺たち4人は各自身、改めて認識した。
健二郎と同じ戦士のグループにいる恭子は分かっていた。
(松本くんはズルしている…)
けど、ここで公にするのもなんだが気がひける。
彼にちゃんと話しを聞いてから、どうするか決めよう。
もしかしたら、国外逃亡の仲間に入れてもらえるかもしれない。
その後は、各グループごとに
メンバー同士の挨拶といったところか。
戦士グループも教えてもらうことになる騎士の人たちの自己紹介と自身の自己紹介でその日は終わった。
------------
治癒グループは
姫様専用の客間にてちょっとしたアフタヌーンティを楽しむ感じだった。
治癒グループはなんと女子5人でのみだったので、なんとも女子会としか思えなかった。
洋子は治癒師のステータスで良かったと心底思っていた。
だって、前線で戦うのも、隠密みたいな縁の下の力持ちみたいなものも嫌だったからだ。
魔術師も惹かれることがあったが、先生となる人が怖そうで嫌だった。
(異世界まで来て、好きじゃない勉強をするのだから、いいと思う人にしか教えてもらいたくないわ)
それにしても引っかかったのは健二郎のことだった。
健二郎は元々目立ちだかりやな部分もある、けど昨日のパーティもそうだが、変に目立たないようにしていたのが洋子は気になって仕方なかった….
(健二郎が勇者だったら絶対似合うと思ったんだけどなぁ。)
そして勇者健二郎が怪我をして私が治す。
健二郎は私に絶大な信頼を寄せてくれる。
もうハッピーエンドが待ってる感じね!
(せっかくアイツがいないんだもの。今のうちに健二郎の心をつなぎとめなきゃ)
「皆様は好きな方はいらっしゃるの?」
エリーゼ姫が紅茶カップ片手にこやかに聞いてきた。
「私、生まれてからほぼこの城から出たことが無くて、お茶会が出来てすごく嬉しくてつい、、、いけませんはね。私は皆様に魔力を教える立場。でも、今日だけは許してくださる??」
「そんなことないです、私たちも姫様とお話しできて嬉しいです」
「ほんと、光栄に思ってます」
洋子含め、5名全員が姫様の虜になっていた。
当たり前だ、言葉の呪いの他、彼女らの飲み物に少量の惚れ薬を使ったのだ。
惚れ薬と聞くと異性に使われると思うだろうがあくまで効果はその相手に使われるのだ、同性であってもそれは同じである。
「洋子は、健二郎の事が好きなのよね?」
とある女子生徒が口を滑らす。
「わ、私は別に…////」
恋愛話とは面白いもので、本人たちよりも周りが正直になることの方が多い。
そして、人間関係がよく分かる。
特に狭い人間関係だと余計に…
「人を愛するということは、素敵なことですわ。治癒の気持ちもそういった気持ちから生まれるのです。慈しみと愛情を持って治癒の力を高めましょう」
「そして、皆さんの愛する方を守るのですよ。それか皆様にとっての幸せになるのですから。」
エリーゼ姫は紅茶カップをテーブルに置く。
洋子含め、女子生徒たちは
半ば洗脳を受けているような感じだ。
(私はこの手で健二郎を守らないと…)
特に個人的な恋心を持つ子は、よく動く。それも想いが強ければ強いほど、、、
(いいカモが見つかったわ…)
エリーゼとしては満足のいく結果となった。
------------
俺たちはその日の夜も集まった。
健二郎により、安藤が気配消去を用いてみんなに連絡を回したのだ。
昨日と同様の広場へ集まる。
「今日はどうだった?」
「戦士のところは騎士団にお世話になるから自己紹介と階級とかの話をされたよ。正直興味がないから覚えてないな。」
「あの健二郎が覚える気がないなんて珍しいね笑」
安藤が笑う。
「単にライバルになり得る和田もいねーから手を抜いてるだけだろ?笑」
「そんなことはない!ゆくゆくは此処からいなくなるんだ、騎士の階級なんて関係ないと思ったまでさ」
佐々木の挑発に思わず乗ってしまった。。
「ふーん(笑」
「おれら魔術師のグループは自己紹介は勿論だけど、個々の魔力を確認されたよ」
「そして案の定先生を煽ってしまった俺が早速目をつけられたというね」
なにしてんだよ。。。
「だが、俺は思った。あの人を味方につけれたら多分国外逃亡は上手くいく!」
目をつけられたお前が何言ってんだよ。
「それは俺も思った。ただの感覚でしかないけど、あの人の魔力はなんか違うんだ。佐々木が煽って先生の魔力を見せろって言った時に出したあの魔力、、なんかおかしい」
遠藤までがそういうのか、ガルデリオ先生、、気になるな…
「私のところは早速訓練に入ったよー。気配探知っていうのをやった!あれ30分やるだけで相当な魔力使うんだけど、それを常に行えるようにしとけって、えぐい!エグすぎる!寝てる時もってことだよ!えぐいー!」
途中から愚痴になってるぞ、安藤。
「だーかーらー、気づいちゃったんだよね、そこの茂みにいる子は誰かなー??」
安藤は自身の目の前にある茂みにまっすぐ指をさした。
茂みからは何も聞こえてこない。
安藤の間違いか?
ガサッ
「ご、ごめんなさい」
出てきたのは三橋だった。
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