55 / 69
傭兵団をわからせます。
しおりを挟む
傭兵たちは雪崩になってリションに飛び掛かる。
しかしリションは、今度は防御すらしなかった。
襲いくる刃にその身を晒したままだ。
「おらぁ、思い知れやクソ女ぁ!」
先頭の男が野太い声で叫んだ。
それと同時にいくつもの刃がリションの細い首筋に振り下ろされる。
槍の穂先が腹を突く。
傭兵たちは殺ったと確信した。
しかし直後、驚愕する。
「な、なんだぁ⁉︎ 斬れねえ! こ、こいつ、何で斬れねえんだ⁉︎」
攻撃はひとつも届いていなかった。
薄皮一枚分の空間を隔てて止められている。
これはリションが常時その身に纏う防御障壁『超高位物理遮断障壁』が、攻撃を遮断した為だ。
末の妹で、七座天使メイド隊に於いては――姉たちに可愛がられながらも――未熟者と評されるリション。
しかしリションとて歴とした座天使である。
座天使は九つからなる天使の位階における第三位。
天上位階論により上位階に分類された上位天使だ。
超弩級の存在なのである。
人間からすれば、まさに次元の異なる生命体。
もしリションの防御障壁を本気で貫きたいのであれば、最低限でも山を砕き大地に大穴を穿つほどの攻撃が必要となろう。
ちょっと斬ったり突いたりした所で、どうにか出来るものではないのだ。
しかし傭兵たちはそんなことは知らない。
理解も出来ない。
だから狂ったように叫ぶ。
「こんなの、何かの間違いだ! 俺たちぁ歴戦の傭兵団だぞ! いくつもの死線を潜ってきた!」
「その通りだ! バカみたいに強え戦士だって倒してきた!」
「なのに何で、こんな小娘ひとりが倒せねえ! こんなバカな話があるか!」
傭兵たちは懲りずに何度も剣を振り下ろした。
汗を流し、絶叫しながら槍で突く。
けれども届かない。
リションの澄まし顔をほんのわずかに乱すことすら叶わない。
「畜生……! 何なんだ……本当に、何なんだよ、お前ぇ……」
傭兵たちの矜持は粉々に砕かれた。
自信を喪失した彼らはやがて息を切らし、ひとり、またひとりと武器を手放していく。
攻撃を諦めたのだ。
地に落ちた剣や槍が、カランと乾いた音を立てた。
リションは尋ねる。
「気はお済みになりましたか? これでお分かり頂けましたでしょう。貴方様方はか弱い。途方もなく脆弱で儚い人間。私ども天使とは存在価値が根本から異なる下等種なのです」
「……天……使……? あんた、天使なの? ホントに? は、ははは……」
傭兵たちは呆けながら笑った。
◇
「クソがぁ!」
怒声と同時にドカンと大きな音がする。
傭兵団長バザックが、近くにあった岩に拳を振り下ろしたのだ。
殴られた岩は大きくひび割れた。
拳ひとつで岩を破壊するとは大した怪力である。
バザックは言う。
「……何が天使だ、この詐欺師が! 俺は騙されねえぞ。攻撃が通んねえのも、大方そういう能力が付与された神代遺物でも隠し持ってるだけだろうが」
バザックは額に青筋を立てながら歩き出した。
「どけ!」と声を張りながら腑抜けた傭兵たちを掻き分け、リションの前に立つ。
傭兵たちのなかでも飛び抜けて巨漢のバザックである。
対してリションの背丈は標準的な女性程度しかない。
まるで大人と子供だ。
バザックがリションを見下ろす。
「おい、ペテン師! もしお前がペテン師じゃねえってんなら、俺と力比べでもしてみるか? 出来ねえだろ? 誰だって捻り潰されたくはないもんなぁ!」
バザックは上腕二頭筋に力こぶを作って見せつけた。
筋骨隆々だ。
「どうだ、俺様の筋肉は! その細っこい腕で俺様をどうこうできるか? 出来ねえだろ!」
バザックは得意顔になった。
リションはため息をつく。
「……ふぅ。これほどに愚かとは、理解の範疇を超えてしまいます。まったく人間の教育とは骨が折れるものにございますね」
まだ教育が行き届かないことにリションは呆れる。
少しくたびれてきた。
しかしルシフェルのためにも教育は継続せねばならない。
なにせこの傭兵団にはルシフェルが加入を希望しているのだ。
リションは言う。
「力比べにございますね。よいでしょう。これも教育の一環なれば、承知致しました。さぁ、どうぞお好きになさいませ」
リションが右手を差し出した。
「ふん、馬鹿が! 虚勢を張りやがって!」
バザックはリションと手のひらを合わせる。
思い切り握った。
そのまま押し潰そうと力を込める。
しかしビクともしない。
逆にリションは、ほんの少し力を込めて手のひらを握り返した。
バザックから悲鳴があがった。
「ぎゃあ! は、離せ!」
「……離せ? これはまた異なことを言われるのですね。力比べをしようと申し出られたのは、他ならぬ貴方様にございましょう。さ、遠慮なくお力をお試しくださいませ」
リションはもう少しだけ力を込めた。
バザックの指が潰れた。
リションの握力が強すぎるためだ。
「――ぐぁぁ! ……ぐ、ぐぎぎ……!」
バザックが歯を食いしばる。
口の端から泡を吹いている。
「ぐ、ぐおお! こんなバカなことがあるか!」
バザックは空いた方の手で拳を握った。
狂ったようにリションを殴りつける。
しかし効かない。
ひとつも届かない。
「畜生……畜生……!」
バザックはついに膝をついた。
リションは言う。
「それでは仕上げの教育です。先ほど貴方様は背丈ほどの小さな岩を叩き割って力を誇示されていましたね。ならば私も貴方様の流儀に倣いましょう」
リションはバザックを解放して、背を向けた。
淑やかな歩調で歩きだす。
向かった先には大岩があった。
それは全高10メートルはあろうかという大岩だ。
バザックが割った岩とは比べものにならない。
リションは岩の前で構える。
「……えいっ」
軽い呼気を吐いて正拳突きを繰り出した。
拳が岩を打つ。
するとその直後、縦横無尽に亀裂が走り、大岩はガラガラと音を立てて粉々に崩壊した。
「――ッ⁉︎ なっ、なっ……⁉︎」
傭兵団長バザックを含む傭兵たちは、言葉を無くして混乱する。
「ご理解頂けましたか? このように岩など少し叩けば崩れるのです。しかしこの程度の児戯すら皆様には難しい。つまり貴方様方はどうしようもなくか弱い人間なのでございます。人間は人間らしく、私ども天使にお従い下さいませ」
リションがお辞儀をしてみせた。
これぞまさに慇懃無礼というものだ。
こき下ろされた傭兵たちは、ただぽかんと口を開けてリションを眺めていた。
しかしリションは、今度は防御すらしなかった。
襲いくる刃にその身を晒したままだ。
「おらぁ、思い知れやクソ女ぁ!」
先頭の男が野太い声で叫んだ。
それと同時にいくつもの刃がリションの細い首筋に振り下ろされる。
槍の穂先が腹を突く。
傭兵たちは殺ったと確信した。
しかし直後、驚愕する。
「な、なんだぁ⁉︎ 斬れねえ! こ、こいつ、何で斬れねえんだ⁉︎」
攻撃はひとつも届いていなかった。
薄皮一枚分の空間を隔てて止められている。
これはリションが常時その身に纏う防御障壁『超高位物理遮断障壁』が、攻撃を遮断した為だ。
末の妹で、七座天使メイド隊に於いては――姉たちに可愛がられながらも――未熟者と評されるリション。
しかしリションとて歴とした座天使である。
座天使は九つからなる天使の位階における第三位。
天上位階論により上位階に分類された上位天使だ。
超弩級の存在なのである。
人間からすれば、まさに次元の異なる生命体。
もしリションの防御障壁を本気で貫きたいのであれば、最低限でも山を砕き大地に大穴を穿つほどの攻撃が必要となろう。
ちょっと斬ったり突いたりした所で、どうにか出来るものではないのだ。
しかし傭兵たちはそんなことは知らない。
理解も出来ない。
だから狂ったように叫ぶ。
「こんなの、何かの間違いだ! 俺たちぁ歴戦の傭兵団だぞ! いくつもの死線を潜ってきた!」
「その通りだ! バカみたいに強え戦士だって倒してきた!」
「なのに何で、こんな小娘ひとりが倒せねえ! こんなバカな話があるか!」
傭兵たちは懲りずに何度も剣を振り下ろした。
汗を流し、絶叫しながら槍で突く。
けれども届かない。
リションの澄まし顔をほんのわずかに乱すことすら叶わない。
「畜生……! 何なんだ……本当に、何なんだよ、お前ぇ……」
傭兵たちの矜持は粉々に砕かれた。
自信を喪失した彼らはやがて息を切らし、ひとり、またひとりと武器を手放していく。
攻撃を諦めたのだ。
地に落ちた剣や槍が、カランと乾いた音を立てた。
リションは尋ねる。
「気はお済みになりましたか? これでお分かり頂けましたでしょう。貴方様方はか弱い。途方もなく脆弱で儚い人間。私ども天使とは存在価値が根本から異なる下等種なのです」
「……天……使……? あんた、天使なの? ホントに? は、ははは……」
傭兵たちは呆けながら笑った。
◇
「クソがぁ!」
怒声と同時にドカンと大きな音がする。
傭兵団長バザックが、近くにあった岩に拳を振り下ろしたのだ。
殴られた岩は大きくひび割れた。
拳ひとつで岩を破壊するとは大した怪力である。
バザックは言う。
「……何が天使だ、この詐欺師が! 俺は騙されねえぞ。攻撃が通んねえのも、大方そういう能力が付与された神代遺物でも隠し持ってるだけだろうが」
バザックは額に青筋を立てながら歩き出した。
「どけ!」と声を張りながら腑抜けた傭兵たちを掻き分け、リションの前に立つ。
傭兵たちのなかでも飛び抜けて巨漢のバザックである。
対してリションの背丈は標準的な女性程度しかない。
まるで大人と子供だ。
バザックがリションを見下ろす。
「おい、ペテン師! もしお前がペテン師じゃねえってんなら、俺と力比べでもしてみるか? 出来ねえだろ? 誰だって捻り潰されたくはないもんなぁ!」
バザックは上腕二頭筋に力こぶを作って見せつけた。
筋骨隆々だ。
「どうだ、俺様の筋肉は! その細っこい腕で俺様をどうこうできるか? 出来ねえだろ!」
バザックは得意顔になった。
リションはため息をつく。
「……ふぅ。これほどに愚かとは、理解の範疇を超えてしまいます。まったく人間の教育とは骨が折れるものにございますね」
まだ教育が行き届かないことにリションは呆れる。
少しくたびれてきた。
しかしルシフェルのためにも教育は継続せねばならない。
なにせこの傭兵団にはルシフェルが加入を希望しているのだ。
リションは言う。
「力比べにございますね。よいでしょう。これも教育の一環なれば、承知致しました。さぁ、どうぞお好きになさいませ」
リションが右手を差し出した。
「ふん、馬鹿が! 虚勢を張りやがって!」
バザックはリションと手のひらを合わせる。
思い切り握った。
そのまま押し潰そうと力を込める。
しかしビクともしない。
逆にリションは、ほんの少し力を込めて手のひらを握り返した。
バザックから悲鳴があがった。
「ぎゃあ! は、離せ!」
「……離せ? これはまた異なことを言われるのですね。力比べをしようと申し出られたのは、他ならぬ貴方様にございましょう。さ、遠慮なくお力をお試しくださいませ」
リションはもう少しだけ力を込めた。
バザックの指が潰れた。
リションの握力が強すぎるためだ。
「――ぐぁぁ! ……ぐ、ぐぎぎ……!」
バザックが歯を食いしばる。
口の端から泡を吹いている。
「ぐ、ぐおお! こんなバカなことがあるか!」
バザックは空いた方の手で拳を握った。
狂ったようにリションを殴りつける。
しかし効かない。
ひとつも届かない。
「畜生……畜生……!」
バザックはついに膝をついた。
リションは言う。
「それでは仕上げの教育です。先ほど貴方様は背丈ほどの小さな岩を叩き割って力を誇示されていましたね。ならば私も貴方様の流儀に倣いましょう」
リションはバザックを解放して、背を向けた。
淑やかな歩調で歩きだす。
向かった先には大岩があった。
それは全高10メートルはあろうかという大岩だ。
バザックが割った岩とは比べものにならない。
リションは岩の前で構える。
「……えいっ」
軽い呼気を吐いて正拳突きを繰り出した。
拳が岩を打つ。
するとその直後、縦横無尽に亀裂が走り、大岩はガラガラと音を立てて粉々に崩壊した。
「――ッ⁉︎ なっ、なっ……⁉︎」
傭兵団長バザックを含む傭兵たちは、言葉を無くして混乱する。
「ご理解頂けましたか? このように岩など少し叩けば崩れるのです。しかしこの程度の児戯すら皆様には難しい。つまり貴方様方はどうしようもなくか弱い人間なのでございます。人間は人間らしく、私ども天使にお従い下さいませ」
リションがお辞儀をしてみせた。
これぞまさに慇懃無礼というものだ。
こき下ろされた傭兵たちは、ただぽかんと口を開けてリションを眺めていた。
0
お気に入りに追加
1,771
あなたにおすすめの小説
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
異世界ハンターライフ
新川キナ
ファンタジー
日本のハンターが異世界で狩りをする物語。
地方公務員の加瀬(40才、バツイチ。ベテランハンター)と大学四年生の立花遥(通称ハル21才。新人ハンター)が、北海道で銃猟の最中に青銅製の扉を発見。潜ってみると未知なる存在に異世界に拉致されてしまった。
最初は元の世界に戻るために活動していた二人だったが、しかし地球とは違う世界で、スキルを駆使して、魔物という未知なる生物を狩る魅力に取りつかれてしまう。
そんな二人の物語。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
引退したオジサン勇者に子供ができました。いきなり「パパ」と言われても!?
リオール
ファンタジー
俺は魔王を倒し世界を救った最強の勇者。
誰もが俺に憧れ崇拝し、金はもちろん女にも困らない。これぞ最高の余生!
まだまだ30代、人生これから。謳歌しなくて何が人生か!
──なんて思っていたのも今は昔。
40代とスッカリ年食ってオッサンになった俺は、すっかり田舎の農民になっていた。
このまま平穏に田畑を耕して生きていこうと思っていたのに……そんな俺の目論見を崩すかのように、いきなりやって来た女の子。
その子が俺のことを「パパ」と呼んで!?
ちょっと待ってくれ、俺はまだ父親になるつもりはない。
頼むから付きまとうな、パパと呼ぶな、俺の人生を邪魔するな!
これは魔王を倒した後、悠々自適にお気楽ライフを送っている勇者の人生が一変するお話。
その子供は、はたして勇者にとって救世主となるのか?
そして本当に勇者の子供なのだろうか?
【R18】異世界に転移して創造魔法チートを手に入れた男が女体化してエッチな日常をおくる話
第三世界
ファンタジー
社畜のアラサーであるおっさんはある日、異世界召喚に巻き込まれてしまう。自分の授かったチート能力が創造魔法であることをいち早く理解したおっさんは、ステータス隠蔽により無能を演じて様子見を試みるが、勇者としてチート召喚された10代の若者の中に、なぜかスキル無しのおっさんが混じっているという場違い感も合わさり、その場で追放を宣言される。追放をされ早速、自分が授かったチートである創造魔法を使って女体化を果たした元おっさんこと、美少女ハルナが、同じく勇者召喚に巻き込まれた元アラサー、現美魔女アキナと共に好き勝手に生きていく話 ※ノクターンノベルズ、pixivにも投稿しています
神様お願い!〜神様のトバッチリを受けた定年おっさんは異世界に転生して心穏やかにスローライフを送りたい〜
きのこのこ
ファンタジー
突然白い発光体の強い光を浴びせられ異世界転移?した俺事、石原那由多(55)は安住の地を求めて異世界を冒険する…?
え?謎の子供の体?謎の都市?魔法?剣?魔獣??何それ美味しいの??
俺は心穏やかに過ごしたいだけなんだ!
____________________________________________
突然謎の白い発光体の強い光を浴びせられ強制的に魂だけで異世界転移した石原那由多(55)は、よちよち捨て子幼児の身体に入っちゃった!
那由多は左眼に居座っている神様のカケラのツクヨミを頼りに異世界で生きていく。
しかし左眼の相棒、ツクヨミの暴走を阻止できず、チート?な棲家を得て、チート?能力を次々開花させ異世界をイージーモードで過ごす那由多。「こいつ《ツクヨミ》は勝手に俺の記憶を見るプライバシークラッシャーな奴なんだ!」
そんな異世界は優しさで満ち溢れていた(え?本当に?)
呪われてもっふもふになっちゃったママン(産みの親)と御親戚一行様(やっとこ呪いがどうにか出来そう?!)に、異世界のめくるめくグルメ(やっと片鱗が見えて作者も安心)でも突然真夜中に食べたくなっちゃう日本食も完全完備(どこに?!)!異世界日本発福利厚生は完璧(ばっちり)です!(うまい話ほど裏がある!)
謎のアイテム御朱印帳を胸に(え?)今日も平穏?無事に那由多は異世界で日々を暮らします。
※一つの目的にどんどん事を突っ込むのでスローな展開が大丈夫な方向けです。
※他サイト先行にて配信してますが、他サイトと気が付かない程度に微妙に変えてます。
※昭和〜平成の頭ら辺のアレコレ入ってます。わかる方だけアハ体験⭐︎
⭐︎第16回ファンタジー小説大賞にて奨励賞受賞を頂きました!読んで投票して下さった読者様、並びに選考してくださったスタッフ様に御礼申し上げますm(_ _)m今後とも宜しくお願い致します。
【完結】何度時(とき)が戻っても、私を殺し続けた家族へ贈る言葉「みんな死んでください」
リオール
恋愛
「リリア、お前は要らない子だ」
「リリア、可愛いミリスの為に死んでくれ」
「リリア、お前が死んでも誰も悲しまないさ」
リリア
リリア
リリア
何度も名前を呼ばれた。
何度呼ばれても、けして目が合うことは無かった。
何度話しかけられても、彼らが見つめる視線の先はただ一人。
血の繋がらない、義理の妹ミリス。
父も母も兄も弟も。
誰も彼もが彼女を愛した。
実の娘である、妹である私ではなく。
真っ赤な他人のミリスを。
そして私は彼女の身代わりに死ぬのだ。
何度も何度も何度だって。苦しめられて殺されて。
そして、何度死んでも過去に戻る。繰り返される苦しみ、死の恐怖。私はけしてそこから逃れられない。
だけど、もういい、と思うの。
どうせ繰り返すならば、同じように生きなくて良いと思うの。
どうして貴方達だけ好き勝手生きてるの? どうして幸せになることが許されるの?
そんなこと、許さない。私が許さない。
もう何度目か数える事もしなかった時間の戻りを経て──私はようやく家族に告げる事が出来た。
最初で最後の贈り物。私から贈る、大切な言葉。
「お父様、お母様、兄弟にミリス」
みんなみんな
「死んでください」
どうぞ受け取ってくださいませ。
※ダークシリアス基本に途中明るかったりもします
※他サイトにも掲載してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる