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死人邪道
Resurgence/Shift
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“Something known that is unknown.”
何の準備もできていないのに、緊急な命令を果たすための道の途中、知られぬ既知の代行者がもう一度姿を派手に現した。
何のためなのか、街を破壊するためなら、そうじゃないと思う。そもそも謎に満ちた生き物だけど、正確に意志や動きが読めればいい。
真昼だから、偉大な姿がはっきりと見えている。故に沢山の人々が逃げて、他は安全なところで奴を見て、近いところから見たり撮影したりしているものもいる。
未知なその代行者、意志が読められないままに、ただ空に浮かんで、高いビルより少し高く、射す光を眩しく反射している。
目に遭った代行者、まだ謎だらけの代行者。姿は同じでも、感じられたものが全然違っている。同じものと分かりながらも、違うものと思っている。
こんな危うい状況であれば、どうすればいいと、まだ私には分からない。それを無視してオンファロスに行ったら、だめになるのか?それとも、それを急襲して倒そうとしているのもだめになるのか?
それぞれの選択肢には共通している意味がある。それは人を守るための志だ。同時に、同じような後先もある。それは誰を犠牲にする結果だ。
オンファロスからはまだ遠く、加えに既に沢山の死人が守っている。ならば、何故私がそこへ行かなければならないのか?そこにいる敵は無敵なのか?何の役に立つ情報を与えられずに、この命令が私に。
もうここにいるくせに、敵が目の前にも、それを無視するのもなんと悪いことじゃない?でも、力を尽くしてここで倒されたら、その命令が果たされない。
前にも全然倒されなかった敵だ。この街を守るどころか、自分を守る保証もなさそうだ。それでも、まだ奴を倒したい心が残っているものか?
オンファロスにいる敵はここにいる代行者より強いものなのか?それなら、そこへ行っても無駄に決まっているよね。
そう考えても、この命令が私に下すにはきっと論理的な理由がある。オンファロスに行かせるのは私を殺すためだけなら、そんな酷いことなんて、あの方なら不可能に決まっている。
私に倒される敵ならば、何故か死人協会にも倒されるはず気がしている。死人協会は弱いものじゃないと、私が知っている。死人協会を見下ろし過ぎて私に命令を下したのか?それとも、私の強さを見損なって命令を下したのか?
自身なんかない。そんなに弱くなってきたのか、私は?どこへ刃を向けることも知らずに、今の私がただ厄介な思いに飲み込まれている。
だけど、本当に考慮されていたものは力というものじゃなかった。力があるかないか話じゃない、これは正しさというものだ。
どっちの方が正しい。曖昧にあるそのものを考えて夢中して、結局何も決められなくっているだけ。
間違えるのが怖いから、どっちが最も正しいと長く考えている。一度汚れたこの手が汚れないように、「正しさ」を教わった私が捩じれる道から抜け出そうとしている。
こんなに変えてきた、私が。あなたに会えなかったら、多分こんな思いなんか最初からなかったよね。多分、私が死体を踏みながら、オンファロスに行ったかもしれない。
この出会いのおかげで、優しさを知って、強さを置き去りにすることもできた。そのため、正しい判断を決めることもできたんだ。
——ありがとう、歩美。
人の嘆きが聞こえてきて、それは代行者の怒りを共にする声である。その怒りが強烈な力になる頃に、目を開けた私が急襲する。
真昼の太陽が既に眩しく、射した光全てが奴の体に反射されて、高いビルのガラスも同じくしている。
目には厄介なものだとしても、意味のない美的なものに過ぎぬ、攻撃や被害をちっとも与えずに。だから、まだ進んでいる。
私が一つのことを信じている。どんなに大きな恐怖があっても、乗り越えられない限り、進めることが不可能になる。
だから、流れ続ける時のように、永遠の星屑のように、枯れない花のように、絶えない私という存在者がいつもと進んで、全力で戦って守っているのだ。
この世界がどんな真顔を隠しているのかな?その謎を解けるようには、どんなことが必要とされるのかな?知りたいんだ、落ちた前に。
……一石二鳥だ、失敗のことは。
“It is as meaningful as it is futile.”
何の準備もできていないのに、緊急な命令を果たすための道の途中、知られぬ既知の代行者がもう一度姿を派手に現した。
何のためなのか、街を破壊するためなら、そうじゃないと思う。そもそも謎に満ちた生き物だけど、正確に意志や動きが読めればいい。
真昼だから、偉大な姿がはっきりと見えている。故に沢山の人々が逃げて、他は安全なところで奴を見て、近いところから見たり撮影したりしているものもいる。
未知なその代行者、意志が読められないままに、ただ空に浮かんで、高いビルより少し高く、射す光を眩しく反射している。
目に遭った代行者、まだ謎だらけの代行者。姿は同じでも、感じられたものが全然違っている。同じものと分かりながらも、違うものと思っている。
こんな危うい状況であれば、どうすればいいと、まだ私には分からない。それを無視してオンファロスに行ったら、だめになるのか?それとも、それを急襲して倒そうとしているのもだめになるのか?
それぞれの選択肢には共通している意味がある。それは人を守るための志だ。同時に、同じような後先もある。それは誰を犠牲にする結果だ。
オンファロスからはまだ遠く、加えに既に沢山の死人が守っている。ならば、何故私がそこへ行かなければならないのか?そこにいる敵は無敵なのか?何の役に立つ情報を与えられずに、この命令が私に。
もうここにいるくせに、敵が目の前にも、それを無視するのもなんと悪いことじゃない?でも、力を尽くしてここで倒されたら、その命令が果たされない。
前にも全然倒されなかった敵だ。この街を守るどころか、自分を守る保証もなさそうだ。それでも、まだ奴を倒したい心が残っているものか?
オンファロスにいる敵はここにいる代行者より強いものなのか?それなら、そこへ行っても無駄に決まっているよね。
そう考えても、この命令が私に下すにはきっと論理的な理由がある。オンファロスに行かせるのは私を殺すためだけなら、そんな酷いことなんて、あの方なら不可能に決まっている。
私に倒される敵ならば、何故か死人協会にも倒されるはず気がしている。死人協会は弱いものじゃないと、私が知っている。死人協会を見下ろし過ぎて私に命令を下したのか?それとも、私の強さを見損なって命令を下したのか?
自身なんかない。そんなに弱くなってきたのか、私は?どこへ刃を向けることも知らずに、今の私がただ厄介な思いに飲み込まれている。
だけど、本当に考慮されていたものは力というものじゃなかった。力があるかないか話じゃない、これは正しさというものだ。
どっちの方が正しい。曖昧にあるそのものを考えて夢中して、結局何も決められなくっているだけ。
間違えるのが怖いから、どっちが最も正しいと長く考えている。一度汚れたこの手が汚れないように、「正しさ」を教わった私が捩じれる道から抜け出そうとしている。
こんなに変えてきた、私が。あなたに会えなかったら、多分こんな思いなんか最初からなかったよね。多分、私が死体を踏みながら、オンファロスに行ったかもしれない。
この出会いのおかげで、優しさを知って、強さを置き去りにすることもできた。そのため、正しい判断を決めることもできたんだ。
——ありがとう、歩美。
人の嘆きが聞こえてきて、それは代行者の怒りを共にする声である。その怒りが強烈な力になる頃に、目を開けた私が急襲する。
真昼の太陽が既に眩しく、射した光全てが奴の体に反射されて、高いビルのガラスも同じくしている。
目には厄介なものだとしても、意味のない美的なものに過ぎぬ、攻撃や被害をちっとも与えずに。だから、まだ進んでいる。
私が一つのことを信じている。どんなに大きな恐怖があっても、乗り越えられない限り、進めることが不可能になる。
だから、流れ続ける時のように、永遠の星屑のように、枯れない花のように、絶えない私という存在者がいつもと進んで、全力で戦って守っているのだ。
この世界がどんな真顔を隠しているのかな?その謎を解けるようには、どんなことが必要とされるのかな?知りたいんだ、落ちた前に。
……一石二鳥だ、失敗のことは。
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