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6 謎の事件と聖人候補

919 新ダンジョン調査

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919

「こんにちは! おつかれさまです」

私はとくに荷物も持たず、いつもと変わらぬごく普通の姿でダンジョンの入り口に詰めている兵士のひとりに話しかけた。

ダンジョンの管理は冒険者ギルドの管轄なので、現在封鎖中のこの新ダンジョンの警備にあたっている兵士たちも当然ギルドから派遣されている。そしてここは危険が潜んでいる可能性のある、しかも調査団をひとつ飲み込んでいるかもしれない場所だ。
当然、兵士たちはピリピリしているし、全体の空気も重い。

そんな場所に、まるで散歩の途中のような軽装でにこやかに現れた私。皆さんに怪訝そうな様子全開で「誰だ、こいつ?」と思われても仕方ない。

だが、私は戦うわけでもないし、長くダンジョン内に留まるつもりもないので、近所の山歩きをするときぐらいの服装をしている。

ローブでも着れば、それっぽかったかな? と思わないでもないが、あれはあれで重いので今回は邪魔になると判断した。

それに私はただの偵察なのだという印象を持ってほしかった。最初から姿を見せないというのは、調査の報告をきっちりあげる必要がある今回の依頼では無理がある。姿は見せるが、それは本当に見てくるだけのお使いのようなものだと思って欲しいのだ

(ローブすら着ていない軽装の少女じゃ、驚かれるよね。でも、できるだけ侮ってくれるとちょうどいいんだよねぇ。どうも私が行動したあと、妙に派手な噂が立ちやすい傾向があるから、気をつけなくちゃ。

ともかく、あれこれ詮索されないうちに話を進めてしまおっと)

「ええと、こちらがギルドからの依頼状です。ダンジョンの中の様子をちょっと見せていただきますね」

私はユリシル皇子からの連絡ですぐに冒険者ギルドが用意した正式な依頼書を持ち、その日のうちにダンジョンへ移動してきた。徒歩では面倒な距離だが、アタタガに頼めば二時間とかからない距離だ。待つ理由もないので最速で済ませてしまおう。

「おふたりだけでございますか?」
「ええ、従者と私だけです。みられそうな場所をちょっとみてくるだけです。予備調査みたいなものですよ」

「予備調査ですか」

「そうです、そうです。では行ってきます」

私が提出した書類を見て確認した兵士の横を、スタスタと通り抜ける私に、他の兵士たちも唖然としているが、ここは平然と通ってしまうに限る。

いかつい調査隊がゾロゾロ入ったまま戻ってきていないダンジョンに、平然と入る私は変に見えるだろうが、ここは平然と進もう。

許可証はあるのだ。いらないことは言う必要はない。

簡易的にダンジョン入り口につけられた扉を開けてもらいダンジョンに入ったところで《暗視》と《静移迷彩術けはいなきいどう》の魔法をかける。不測の事態に備えるために《物理結界》も展開。

(これでなにか降ってきても大丈夫っと)

「ソーヤ、気は引き締めて行きましょう。慎重に、でも手早く三階層まで調べたら帰るわよ」
「承知いたしました。ご指示をお願いいたします」

私は《地形把握》のスキルを使い、周囲の状況をマッピングしていく。

(新ダンジョン調査開始!)

ーーーー

すいません、ここで風邪にて力尽きました。
次回はこの回を編集しつつ続きを書いていきます。

季節の変わり目、皆さんもお気をつけて。

やまなぎ
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