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第43話 獅子の国 協力

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「つまりレーヴェの者が謀ったという事ですか?」

「その可能性はあるが、不可解な事がある。その兵士は兜を被り、顔が見えなかった。そして声も聞いたことがなくおかしいと思ったそうだが」
 その決定打として違法薬物の匂いだ。

 しかしそれはミューズだけがわかるくらいのもので、逆を言えば他の者は感じなかった。

 それ故に話をしてもなかなか信じてもらえず、やっとの思いで護衛を説得し、ティタンに知らせることが出来たそうだ。

「もう少し早ければ確保が出来たかもしれないな。今更言っても後の祭りだが」
 ティタンはぎりっと歯を食いしばり悔しそうにしている。

「しかしファルケの者達はどこに行ったのでしょう? 部屋から脱走したとしても王城から出ることは出来ないでしょうに」

「探させたが王城にいないし、目撃者もいない。妙なんだ。王城はそこまで簡単な造りではないし、あちこちに人もいるのだが。誰にも見られずに外に逃げるなんて、普通は出来ない。余程この城の造りに慣れてるものか」

「つまり、連れ出したの者以外にも協力者がいるという事でしょうか」

「そうだろうな。あまりにも手際が良過ぎる」
 内通者が複数いると考えるのが妥当だ。

 その内通者達が二コラ達を脱走したように見せかけ、どこかへと連れ去ってファルケとレーヴェを仲違いさせ、関係を悪化させようとしたのだろうが。

「使者が僕だったのは予想外だったことでしょう。生粋のファルケの者だけだったら、また対応は違ったでしょうから」
 話し合いというか、言い争いになった可能性もあるし、それと使者の対応が第二王子のティタンであったことも大きいだろう。

 これが厳格な国王や軟派な王太子だったらまた変わったかもしれない。

(感情に任せて動くように見えるけれど意外と慎重だものな)
 今も飛び出すことはなく、次にどう動くかを考えているようだ。

「エリック殿はどこまで見透かしていたのか、不思議だな。寄こされたのがリー殿で良かった、国の損得なく話をしてくれる」

「ですから僕を信じ過ぎないでくださいってば、今はファルケの使者なんですよ」

(この人本当に危なっかしい)
 無条件で信じる程の信用性はまだないはずなのに。

「もともとはファルケとレーヴェの関係性を悪くしないように来ただけなので、どちらの国が正しいとかは考えていませんでした。今の僕は後ろ盾がない状態なので、この問題を解決すればファルケがバックについてくれるという約束で来ました。そして二コラという者が僕の大切なマオの兄なのかを確認するために訪れたのです」
 マオは大きく頷き、期待の目をしている。

 名前と身体的特徴はあっているから九割九分間違いないと思うのだが、会うまではわからない。

「色々複雑な内情があるようだな。しかしファルケの使者としてここに居るのならば、ぜひこの問題の解決に乗り出して欲しい。恐らくエリック殿もそれを見越していたのではないかと思う」
 何となくリオンは嫌な予感がした。

「俺は今この国を離れられない、だからリー殿に頼む。この事件を解決してくれ」
 リオンはあからさまに嫌な顔を見せる。

 人前でのその表現はとても珍しいものだった。


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