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番外編 とある伯爵令息の婚活(Sideジョセフ)⑪※
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いくらか酒が入っていて良かった。そうじゃなかったら羞恥で焼け死にそうだ。
恥じらっているうちにするすると衣服を解かれていく。
身体を見たら失望されるのではないかと思って一瞬身を硬くしていると、胸元にキスが触れる。
「わっ……」
「無駄のない鍛え上げた身体ですね。……とても綺麗だ」
ジャスティンが甘ったるい言葉を囁きながらジョセフの身体を暴いていく。
「綺麗なわけ……ない」
ゴツゴツした男の身体だ。それを愛おしげに撫で回して楽しいのか。
ジャスティンは文句を言おうとしたジョセフの唇をキスで塞いでから、正面から囁きかけた。
「将軍の副官なら最前線で戦う機会も少ないのに……あなたは鍛錬を欠かさなかったんですね。その努力が見える……綺麗な身体です」
そう言いながらなぞるように指が肌を伝う。
いや、そりゃ閣下の護衛もかねているんだから……必要ない努力じゃないけど、誰もそんなことで褒めてくれたりはしなかった。
「おだて上手だな……君は」
「いいえ。本気でそう思ってますよ。僕は商売のためになら嘘もつきますけど、あなたには嘘はつかない。あなたはとても綺麗です」
暖かい手に触られているだけなのにそれさえも快感になって身体が反応してしまう。
そして耳の中から蕩かすように囁かれる言葉に、逃れようもなく追い上げられていく。
「あ……っ。そこは……」
足の間ですでに頭をもたげ始めているものに手が触れた。先端を指でくすぐられて身を捩ると、もう一方の手ががっしりと腰を押さえ込むと、拡げた脚の間に相手の身体が割り込んできた。
「こんなになっているのに、逃げないでください。……全部見せて?」
耳元によく響く声が流れ込んできて、同時に指で熱を帯びた場所を愛撫されると身体の力が抜けてただただ翻弄されてしまう。
「あ……やっ……待って……」
このままでは自分ばかりみっともなく溶かされてしまいそうで、さすがにそれはダメだとジョセフは思わず相手の腕を掴んだ。
まだ彼は衣服を身につけたままで、余裕があるように見えるのも悔しい。
「……一緒に気持ち良くなりたいんだ……」
「あなたの望みのままに」
ジャスティンはそう言うと身を起こして服を脱ぎ始めた。淡い灯りの中露わになった若い身体は引き締まっていて、筋肉もしっかりついている。見つめていたら目線に気づいたのか下穿きにかけた手を止めた。
「……何か?」
「いや、部下にもこんないい身体してる奴はそんなにいないなと思って」
「お気に召しましたか?」
「……そりゃ……」
それは部下としてではなく、身体を重ねる相手としてという意味だろう。
「格好いいと思う……けど……」
「けど?」
「男としてはちょっと悔しい」
ジャスティンが小さく吹き出してから最後の一枚を脱ぎ捨てる。うっかりとそれを見てしまってからジョセフは思わず口元を手で押さえた。
……いや、そっちも立派というか……。
何をするのか知らないわけではなかったが、うっかりと意識してしまったのが顔に出てしまったのだろう。
「今日は気持ちいいことだけしましょうか」
ジャスティンはそう言いながら手を伸ばしてきた。腰を重ねてきて互いのものを擦り合わせるように寄せてきた。
肌が直接触れあう感触が心地良くてジョセフは目を伏せた。けれど、急に罪の意識がこみ上げてきた。
「……別にいいんだよ。君の好きにしたって」
「ええ。僕がそうしたいんです」
そう言いながら頬に唇を寄せる。熱を帯びて張り詰めた二人の中心に手を添えられて同時に刺激されると、快感がじわじわとこみ上げてくる。
もっと、彼のくれる熱が欲しい。
とろとろとあふれた先走りが滑りになって淫らな水音が響く。
自然に自分も腰が揺れているのを自覚した。身体の熱を共有して、昂ぶって溶け合うように。息が乱れて言葉にならない声が漏れる。
思わず伸ばした手で、相手の頭を抱え込んだ。自分から唇を重ねる。
「……気持ちいいですか? 溶けそうな顔してますよ」
腰全体が熱くて、頭まで快楽に支配されていく。ジョセフは夢中で頷いた。
「ホントに溶けそう……」
二人分の熱を揃えて等しくなったら、溶けて境界線がわからなくなりそうだ。
そんな馬鹿なことが頭をよぎって、やがて追い上げられるような衝動とともに、腰が大きく揺れた。
相手が小さく呻いて熱を放ったのがわかった。
彼も同じように感じてくれたんだろうか。物足りなかったんじゃないだろうか。
そんな思いが急速にこみ上げてきた。
「……ごめん……我慢させて……」
年下なのに気遣ってくれて、自分を甘やかしてくれて。
そう言いたかったのに、ジャスティンは強く抱きしめてきた。
「我慢なんてしてません」
「……ジャスティン……?」
「良かったらジャスと。親しい人はそう呼びますから」
「ジャス……じゃあ僕のことも名前で……愛称はここの家の犬と同じなんで、ややこしくなるから。あと、こういうときは敬語でなくてもいいよ」
そう答えると、ジャスティンはするりと足を絡ませてきた。
「……ジョセフ。もう少しだけ触れていい?」
「どうぞ」
そう答えたら、優しい口づけが触れてきた。自分を包むように抱きしめてくる身体にそっと手を伸ばしてからジョセフは思わず笑みが浮かんだ。
……男の身体なんて何とも思わなかったのに。彼の身体には触れたくなるなんて。
その夜、ジョセフは人生で初めてお姫さまのように大事に扱われる経験をしたのだった。
恥じらっているうちにするすると衣服を解かれていく。
身体を見たら失望されるのではないかと思って一瞬身を硬くしていると、胸元にキスが触れる。
「わっ……」
「無駄のない鍛え上げた身体ですね。……とても綺麗だ」
ジャスティンが甘ったるい言葉を囁きながらジョセフの身体を暴いていく。
「綺麗なわけ……ない」
ゴツゴツした男の身体だ。それを愛おしげに撫で回して楽しいのか。
ジャスティンは文句を言おうとしたジョセフの唇をキスで塞いでから、正面から囁きかけた。
「将軍の副官なら最前線で戦う機会も少ないのに……あなたは鍛錬を欠かさなかったんですね。その努力が見える……綺麗な身体です」
そう言いながらなぞるように指が肌を伝う。
いや、そりゃ閣下の護衛もかねているんだから……必要ない努力じゃないけど、誰もそんなことで褒めてくれたりはしなかった。
「おだて上手だな……君は」
「いいえ。本気でそう思ってますよ。僕は商売のためになら嘘もつきますけど、あなたには嘘はつかない。あなたはとても綺麗です」
暖かい手に触られているだけなのにそれさえも快感になって身体が反応してしまう。
そして耳の中から蕩かすように囁かれる言葉に、逃れようもなく追い上げられていく。
「あ……っ。そこは……」
足の間ですでに頭をもたげ始めているものに手が触れた。先端を指でくすぐられて身を捩ると、もう一方の手ががっしりと腰を押さえ込むと、拡げた脚の間に相手の身体が割り込んできた。
「こんなになっているのに、逃げないでください。……全部見せて?」
耳元によく響く声が流れ込んできて、同時に指で熱を帯びた場所を愛撫されると身体の力が抜けてただただ翻弄されてしまう。
「あ……やっ……待って……」
このままでは自分ばかりみっともなく溶かされてしまいそうで、さすがにそれはダメだとジョセフは思わず相手の腕を掴んだ。
まだ彼は衣服を身につけたままで、余裕があるように見えるのも悔しい。
「……一緒に気持ち良くなりたいんだ……」
「あなたの望みのままに」
ジャスティンはそう言うと身を起こして服を脱ぎ始めた。淡い灯りの中露わになった若い身体は引き締まっていて、筋肉もしっかりついている。見つめていたら目線に気づいたのか下穿きにかけた手を止めた。
「……何か?」
「いや、部下にもこんないい身体してる奴はそんなにいないなと思って」
「お気に召しましたか?」
「……そりゃ……」
それは部下としてではなく、身体を重ねる相手としてという意味だろう。
「格好いいと思う……けど……」
「けど?」
「男としてはちょっと悔しい」
ジャスティンが小さく吹き出してから最後の一枚を脱ぎ捨てる。うっかりとそれを見てしまってからジョセフは思わず口元を手で押さえた。
……いや、そっちも立派というか……。
何をするのか知らないわけではなかったが、うっかりと意識してしまったのが顔に出てしまったのだろう。
「今日は気持ちいいことだけしましょうか」
ジャスティンはそう言いながら手を伸ばしてきた。腰を重ねてきて互いのものを擦り合わせるように寄せてきた。
肌が直接触れあう感触が心地良くてジョセフは目を伏せた。けれど、急に罪の意識がこみ上げてきた。
「……別にいいんだよ。君の好きにしたって」
「ええ。僕がそうしたいんです」
そう言いながら頬に唇を寄せる。熱を帯びて張り詰めた二人の中心に手を添えられて同時に刺激されると、快感がじわじわとこみ上げてくる。
もっと、彼のくれる熱が欲しい。
とろとろとあふれた先走りが滑りになって淫らな水音が響く。
自然に自分も腰が揺れているのを自覚した。身体の熱を共有して、昂ぶって溶け合うように。息が乱れて言葉にならない声が漏れる。
思わず伸ばした手で、相手の頭を抱え込んだ。自分から唇を重ねる。
「……気持ちいいですか? 溶けそうな顔してますよ」
腰全体が熱くて、頭まで快楽に支配されていく。ジョセフは夢中で頷いた。
「ホントに溶けそう……」
二人分の熱を揃えて等しくなったら、溶けて境界線がわからなくなりそうだ。
そんな馬鹿なことが頭をよぎって、やがて追い上げられるような衝動とともに、腰が大きく揺れた。
相手が小さく呻いて熱を放ったのがわかった。
彼も同じように感じてくれたんだろうか。物足りなかったんじゃないだろうか。
そんな思いが急速にこみ上げてきた。
「……ごめん……我慢させて……」
年下なのに気遣ってくれて、自分を甘やかしてくれて。
そう言いたかったのに、ジャスティンは強く抱きしめてきた。
「我慢なんてしてません」
「……ジャスティン……?」
「良かったらジャスと。親しい人はそう呼びますから」
「ジャス……じゃあ僕のことも名前で……愛称はここの家の犬と同じなんで、ややこしくなるから。あと、こういうときは敬語でなくてもいいよ」
そう答えると、ジャスティンはするりと足を絡ませてきた。
「……ジョセフ。もう少しだけ触れていい?」
「どうぞ」
そう答えたら、優しい口づけが触れてきた。自分を包むように抱きしめてくる身体にそっと手を伸ばしてからジョセフは思わず笑みが浮かんだ。
……男の身体なんて何とも思わなかったのに。彼の身体には触れたくなるなんて。
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