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31 将軍閣下と研究者たちの独善

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 ハルとパーシヴァルがプロテアの特使たちが隔離されている小離宮に到着すると、大理石の優美な円柱が特徴的な瀟洒な建物の前に、物々しい様子の集団が待ち構えていた。
 全員が口元を布で覆って白衣を着ているのを見て、どうやら医学研究所の者たちらしいとハルは察しをつけた。
 何より一人とても目立つ人がいる。白衣を着ていても、あのぐるんぐるん巻いた髪は忘れもしない。
 馬車を見て駆けつけてくれたのは国王の侍医ハリスンだった。まだ三十歳代半ばと若いが、この国で医師の資格を得た後、異国で医術を学んで戻ってきたらしい。
「ようこそ。ハロルド殿。さっそく患者をご覧になりますか?」
「……お邪魔になりませんか?」
 無論容体を見てから薬を渡したいのでハルとしてはその方が嬉しい。けれどこの侍医がどういう立場の人なのか今ひとつわからないので、控えめに問いかけた。
「いえいえ。邪魔なのは他にたくさんいますからね」
 彼は声を落としてわざとらしく背後に目を向ける。
「噂を聞きつけて押しかけて来たんですよ。引き渡しの邪魔をされるのも困りますので、将軍閣下がいて下さるとありがたいなと」
 彼はちゃっかりパーシヴァルをあてにしているらしい。
 医学研究所の者たちはハルたちを追って、ぞろぞろと小離宮に入ろうとしたが警備兵に止められていた。文句を言う彼らにハリスンはくるりと向き直った。
「あなた方は出入り禁止です。感染の危険を考えると、最低限の出入りに制限するのが当たり前です。邪魔をしたら国王陛下に報告しますからね」
 すると、研究所の者たちの中から見覚えのあるロール髪の令嬢が歩み出てきた。
「お兄さま、私ならよろしいわよね?」
「ダメに決まっているだろう。キャサリン。先日こちらにご迷惑をおかけしたのを忘れたのか」
「迷惑などおかけしていません。私はただご質問しただけですわ」
 以前、ハルに言いがかりをつけてきたエルム伯爵令嬢。彼女はまったく悔い改めていないらしい。
「そうだな。非常に無礼で品のないくだらない質問をしただけだ。そんな者は身内だろうがお断りだ。話は終わりだ」
 ハリスンはまったく動じない様子だった。
 あのくるんくるんロール髪のご令嬢の「お兄さま」ということは……?
 ハルはパーシヴァルにこっそりと目を向けた。パーシヴァルはその目線に気づいて頷いた。
「ハリスンはあのジョセフの兄だ。エルム伯爵家は元々医者の家系なんだ」
 確かに髪色くらいは似ているけれど、まったく気づかなかった。キャサリン嬢はなおも食い下がろうとしていたが、ハリスンは妹に背を向けると二人に目配せした。
「申し訳ありません。まったく手間のかかる妹で」
 ハリスンはそう言いながらさっさと扉を閉めると、手を二回打ち鳴らした。
「さ、気分を変えて行きましょう。私は五年前は留学先にいたのでその薬の処方は初めてなんですよ。とても楽しみにしていました」
 さっきまでの騒ぎを忘れたかのように、にこやかに微笑むその顔を見てハルはやっぱりこの人あのジョセフと兄弟なんだと納得した。

 幸い使者たちの容態は重症化に至る前だったので薬を使うことができた。錆化病は全身にできた発疹が錆のような瘡蓋になって身体を覆い尽くす。そこまで至ったら今までの薬ではどうにもならない。
「……ただ、お一人だけあちらの部屋に寝かせているのですが、その方が問題で」
 ハリスンがそう言って案内してくれた部屋にはすでに初期症状ではない患者がいた。五十歳代後半くらいの厳めしい顔立ちの男性。おそらくこの人がレミントン宰相だ。
 年齢のせいなのか、他の患者より進行が早い。すでに瘡蓋ができはじめている。
「確かに難しいです」
 今までの薬だと効くかどうかは五分五分だ。処方して経過を見ていては助かる確率が減るだけだ。
 ハルはパーシヴァルが手にした箱を見た。その中には念のために新薬も入れてきている。
 五年かけてハルと師匠が開発した重症化した患者も治療できる薬。けれど、これはまだ量産の目処もついていないし、師匠に話さずに存在を明かしていいのかという迷いもある。
 でも……一人でも助けられるのなら。後悔はしたくない。
 ハルはパーシヴァルに振り向いた。
「パーシヴァル様。箱の中に赤い印のついた小瓶があります。それをいただけますか」
 パーシヴァルはハルの表情に何かを感じ取ったのか、黙って小瓶を差し出した。
「ハリスン様、この薬のことはひとまずご内密にお願いします」
「……待った。まさかこれ……」
 重症化した患者も治癒できる錆化病の特効薬だ。そんなものの存在が明らかになれば、どういうことになるか。彼はそれがわかったのだろう。
「国王陛下はこの人を助けるようにとおっしゃいました。ですから手を尽くすつもりです。この薬も完全ではありませんから効かない可能性もあります。……書類はなんか上手いこと誤魔化していただけますか?」
 ハルの言葉にハリスンは頷いた。
「わかりました。感謝します」
 全ての患者に投薬を終えてハリスンに経過観察を依頼すると、ハルたちは小離宮から出ようとした。パーシヴァルは先ほどのロール髪の令嬢のことを気にしているようだった。
「まだいるだろうか。あの連中」
 果たして扉を開けてみると、予想通りの光景だった。
 ……まだいた。
 目の前に医学研究所一同がずらりと並んでいる。敵意というより何か獲物を前にした獣のような雰囲気だ。
「余っていたら、どうかその薬を分けてもらえないか」
「我々では再現できなかったのだ。一体どうやったら……」
「あの論文の内容で質問があるのだが……」
 一斉に話しかけられてハルが困惑していると、パーシヴァルが持っていた箱をハルに渡すとそのままハルごと抱え上げた。
「我々の用件はすでに終わった。用件があれば国王陛下を通してもらおう」
 そう言って待たせていた馬車にハルを載せると追いかけてきた人々に向き直る。
「ラークスパー公爵夫人に言いたいことがあるならそれなりに手続きを踏むのが筋だろう? 言っておくがそちらが過去にしてくれた無礼は何一つ忘れていない」
 パーシヴァルが怒りを込めて睨むと彼らはしおしおと後ずさった。

「国王陛下は医学研究所を王立大学と併合させるおつもりだ。研究員も入所以来実績がない者は解雇する。医師の育成は大学に委ね、医薬品の承認は王宮に新たな部署を設けることになると。……今回の件でおそらくそれが早まるだろう」
 パーシヴァルは馬車の中でそう説明してくれた。国王陛下は医学や薬学に対することを全て医学研究所が独占している状況を即位以来改善しようとしていた。けれど権威主義的で閉鎖的な貴族たちの反発もあって上手く行かなかったらしい。
「……じゃあ、実績が欲しいから薬を欲しがっているんですか。ずっと承認しなかったのも、自分たちの実績にならないから?」
「そういうことだ」
「馬鹿馬鹿しいです。五年前、あの人たちに力を借りようとしたのは無駄だったんですね。そんな時間があったら一つでもたくさん薬を作れば良かった……」
 ハルの作った薬でも助けられなかった人はいる。全てを救えたはずだなどと傲慢な事は言わない。
 彼らは師匠とハルの作った薬を見もせずにゴミ扱いして、門前払いにした。
 今でも薬の増産ができていればもっと助けられたはずだ、あの時もっと何かできたのではと悔やむのに、彼らは……。
 パーシヴァルはハルの背中に手を回して抱き寄せる。
「私も時々考えることがある。戦場では一つ判断を間違えれば人の命や民の財産に関わる。あの時こういう策を取っていれば良かったのではないかと、後で反省することがある」
「パーシヴァル様……」
「生きていれば迷う事ばかりだ。ああしていれば、ああなっていれば。けれど、迷うからこそ次こそは、と思えるのだ。私は五年前の疫病騒ぎの時、王都にいなかったからハルの苦しみを全てわかってはいない。けれど、ハルが最善を尽くしたことだけは確信している。……彼らの過ちは彼らのものであって、ハルの責任ではない」
 ハルはその言葉に目頭が熱くなった。
 最善を尽くせただろうか。両親を救うことはできなかった。薬はずっと不足していて、毎日亡くなった人の合同葬儀がどこかで行われていた。
 ……でも最善だと信じてくれる人がいる。
「それに、お師匠から言われている。ハルに手出しする者がいたら精霊たちが黙っていないと」
「え?」
「先ほどの奴らに言いたい放題させていたら、精霊が怒るのではないかと気が気ではなかった。その……お師匠の言動が過激だから、精霊というのはそうしたものかと」
 パーシヴァルはそう言いながらハルの髪を撫でる。
 ……そうだった。王都に帰って来ても周りに精霊たちの気配が続いていた。どうやら精霊たちの一部がアルテアからそのままついてきてしまっているらしい。
 パーシヴァルがさっさとハルを彼らから引き離したのは、それもあってのことだったのだ。確かに何をするかわからない。
 今まで師匠の極端な行動を目にしているから、どんな悲惨なことになるかと思ったのだろう。
「確かに……」
「とにかくなるべくもめ事は避けるように。我が国では精霊についてあまり知られていないから、余計な騒動になりかねない」
「わかりました。気をつけます」
 パーシヴァルの心配の理由がわかったので、ハルは素直に頷いた。
 自分は守られている。パーシヴァルに。そして、師匠と精霊たちに。
 けれどそれに甘んじてはいけない。自分が考え無しに行動することで周りを傷つけたり、迷惑をかけることもある。
 ……パーシヴァル様にもご迷惑をかけてしまう。それはダメだろう。
 そして頭の中にふとよぎった言葉。
 最善を尽くす。
 ……今、僕は最善を尽くせているだろうか。
「……パーシヴァル様。女王陛下はまだ亡くなったわけではないのですよね?」
 遠い場所だから。容体がわからないから。
 そう思ってプロテア女王のことは諦めていなかっただろうか。
 女王イヴリンはハルにとって数少ない血縁者だ。ハルの祖父は彼女の弟だ。精霊を庇う言動で不興を買って処刑されてしまった。
 そして彼女はハルの母の祖国を滅ぼした。
 彼女は元々精霊に見放されていた国を統治しなくてはならなかった。そのためにしたことが今や全て裏目に出てしまっている。今、何を考えているのだろう。
 ……このままでは、一度も会うことなくあの人を失ってしまう。それは最善だろうか。
「……助けたいと思うか?」
「できることなら。けれどさすがに新薬でも末期症状になったら助かりません」
 この国にまで情報が届くからには発症してからかなり時間が経っている。あの宰相よりも早いはずだ。
「私はお師匠がおそらく女王に会いに行ったのではないかと思っている。ハルと同じ理由で。何度か面識があるようだったし、彼女とハルの因縁を全て知っているのも師匠だけだろう?」
 パーシヴァルが静かにそう告げた。
「……ハルの代わりに決着をつけて下さるおつもりではないか?」
「そう……かもしれません。僕としては一度本気で喧嘩してみたかったのですが、それは無理でしょうね」
 女王には精霊の存在がわからない。理解もできない。信仰対象であってもそれを信じるには現実主義的な考えの持ち主なのかもしれない。
 精霊は利用しようとしても協力してくれるわけではない。都合のいい存在ではない。彼らは人と違う理に生きていて、精霊が好むように大地を浄化する力を持つ巫女を通して恩恵を与える。他国を攻めても精霊は手に入らない。
 たとえ口論になっても、そのことを伝えたかった。
「喧嘩か。……なるほど。ハルは彼女と話してみたかったのか」
「血が繋がっていると聞いたから、少し情がわいたのかもしれません」
 パーシヴァルは困ったように微笑んだ。
「私は血の繋がりはいいことばかりではないと思うぞ。父も兄姉も悪い意味で貴族的で傲慢だったからな。ハルもあまり気に病むな。血縁だけでわかり合えるものではない」
 パーシヴァルは幼い頃から弱い立場だったと聞いている。腹違いの兄や姉からは虐められていて、父は末っ子に無関心だった。軍に入るために家を飛び出して戦地を転々としてきた。彼にとっては血縁は頼りにできるものではないのかもしれない。
「……だが、ハルのその情も愛おしいと思う」
  ハルはパーシヴァルの顔を見上げた。
 パーシヴァルは敵国の女王など放っておけとは言わない。ハルの気持ちを推しはかって理解してくれようとしている。

 ……まだ女王には死んで欲しくはない。そう思っていることを。

 けれど、屋敷に戻った二人を待っていたのはプロテア女王崩御の知らせだった。
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