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第4話『知らぬ間に解決?ワシは死にたい』
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『中継です!たった今、体長5メートル程のカマキリの姿に類似した怪物が、こちらの商店街に出現したとの情報が入ってきました!』
臨時ニュースにて、テレビに近所の商店街の光景が中継されており、美人キャスターの後ろには、怪物の攻撃を受けて無残にも崩された商店が並んでいる。
街の所々に鎌で切り裂かれたような痕が残り、怪我人も続出しているようだ。
『現場にいた買い物客の方々が無差別に攻撃を受けており、負傷者の手当ても間に合っていないような状態です!』
テレビの前にいるだけでも現場の緊迫感が伝わってくる程だ。
その頃ギルじいは布団を敷いて昼寝をしていた。
『きゃあぁぁぁ!!怪物がここまでやってきました!!きゃあぁぁぁ!!』
『美味そうな人間のメスだぁ~。キ~リキリキリキリキリ』
『うわあぁぁぁ!!やめろ!!!降ろせ!!誰か助けてくれぇぇ!!』
カマキリ型の怪物“キリキリバ”が再び現れ、美人キャスターとスタッフの一人を捕まえた。
テレビから流れてくる悲鳴や叫び声にギルじいが目を覚まし、テレビの方に目を向ける。
すると、逃げ惑うなかカメラマンがカメラを落とし、プツンッとそのまま中継が途絶えてしまった。
ギルじいはゆっくりと立ち上がり、腰をトンットンッと軽く叩いた。
「ちょうど肉を切らしてたわい。行ってくるか…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃、商店街ではキリキリバに捕まったキャスターとスタッフが助けを求めていた。
「きゃああ!!誰かぁぁ!!」
「助けてくれぇぇ!!!」
しかし、誰も近づけない。
警察が駆けつけ銃を向けるが、キリキリバが怯む様子はない。
「人質をすぐに降ろせ!さもないと、発砲するぞ!!」
警察官はキリキリバに解放するよう命じるが、キリキリバは全く動じない。
「あと10秒数える!それまでに解放しなければ…」
「…10秒?」
警察官の10秒という言葉に反応し、キリキリバがニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「悪いねお巡りさん。俺は生憎待つのが嫌いでね」
人質2人を掴んだまま、キリキリバはスッと両腕についた大きな鎌を構えた。
「10秒も、待ってらんねぇんだよぉ!!!」
「なっ!!?」
キリキリバは大きく鎌を振り、斬撃を飛ばした。
ザシュッ!と大きな音が鳴り響き、辺りいっぺんの商店と警察官数名が一瞬にして切り裂かれてしまった。
「ぐわぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁ!!」
攻撃を受けた警察官の叫び声が商店街中に響く。
誰も近寄れないような状況を作り、キリキリバは勝利を確信した。
「キ~リキリキリキリキリ。お前たちではこのキリキリバには敵わないと分かっただろう?よーし、それじゃ家に帰ってこの人質2人を美味しく…」
キリキリバがいただくと言おうとしたその時、ザッ、ザッと妙な足音が近づいてきた。
警察官の間を抜け、キリキリバの前にどんどん近づいてくる。
「おい!!貴様!!それ以上この俺に近づくな!!」
キリキリバが指差してそう命じると、その人物は素直にピタッと足を止めた。
「この俺に近づいてくるとは命知らずも甚だしいぞ!」
キリキリバの言葉にその人物は顔をふと上げた。
「貴様こそ…。拙者の通り道にいるとは、命知らずも甚だしい」
「…なに!?」
その人物は藁で作られた円形の笠を被り、上は赤、下は黒の袴を着ている。腰には刀をぶら下げ、わらじを履いている。
彼の名は大文字久秀。さすらいの侍だ。黒い長髪を後ろで結び、鋭い眼力が特徴である。
そんなことは御構い無しに、キリキリバは左手に持った人質のスタッフを投げつけた。
「うおらぁぁ!!」
ドゴォォン!!
おもいっきりブン投げられたスタッフは大文字の横をスレスレで通り、そのまま後ろのパトカーに突っ込んだ。
「…」
「なっ…!」
人質が投げ飛ばされたというのに、眉ひとつ動かさない大文字にキリキリバが少し動揺する。
「何か動きを見せるとでも思ったか?」
「思ったかって…!人質がおもいっきりブン投げられてるんだぞ!お前のとこに!少しは助けるなり何なりしろぉ!!」
敵であるはずのキリキリバの方が、何故かガミガミと怒鳴り散らす。
それでも大文字は全く動じる様子もなく口を開いた。
「…生憎だが俺は、女しか助けない」
……。
……。
……。
「は?」
キリキリバどころか、その場にいた警察官と人質の美人キャスターまでもが口をあんぐりさせた。
その時、全員が悟った。
こいつ…、ただの女好きだ…。
「ふざけた事を抜かしてんじゃねーぞぉ!!!」
キリキリバはおもいっきり鎌を振りかぶり、斬撃を飛ばした。
その斬撃は真っ直ぐ大文字の方へ。
大文字は刀を一瞬で抜き、斬撃を防いだ。ガキィィィィン!!!と大きな金属音が鳴り響き、…キュゥィィン…と耳に響くような小さな衝撃音がしばらく鳴り続いた。
「俺の斬撃を止めただと…」
「拙者の刀は頑丈さが売りなもんでな。あの程度じゃ、汚れひとつ付けられやしない」
「くっそ…!うぅおららららららら!!!!!!」
ムキになったキリキリバは両腕の鎌を振りかぶり、美人キャスターを手に掴んだまま高速で大量の斬撃を飛ばし始めた。
目にも止まらぬ速さで斬撃が飛び交う中、対する大文字は表情ひとつ変えず、全ての斬撃を高速な剣さばきで防いでいく。
ガガガガガキィーーン!!キィーーン!!!ガガガガガガ!!キィーーン!!!!と物凄い勢いで音が鳴り響き、戦闘の激しさから皆目を開けられないでいた。
「す、すごい!何がどうなってるんだ!?」
「目が開けられなくて、何も確認できませぇん!!」
「一旦ここを離れるぞ!!」
警察官らがその場を一旦引こうとした、その瞬間。
ザシュゥン!!!
大文字の一振りでキリキリバの右腕が斬り落とされた。ボトッ!と腕が地面に落ち、ひとまず人質の美人キャスターを救った。
しかし、キリキリバにはまだ左腕が残っている。
「こっのぉぉぉぉ!!!」
キリキリバが左腕を振りかぶった。が、左腕が無い。
「あ…あれっ!?」
キリキリバ本人すら気づかない間に、左腕も斬り落とされていた。
「レディをブンブン振り回すとは…、たとえ神様が許しても、拙者が貴様を許さない」
大文字は両手で刀を構えた。
とてつもない殺気を放ちながら。
「ま、待てっ!」
「死ね」
ザンッッ。
ほとんど音も無く、最後の一刀を振り下ろした。
両断されたキリキリバはその場に沈み、即死した。
「ご無事ですか、エンジェル?」
大文字は地面に座り込むキャスターに手を差し伸べ、ゆっくりと立ち上がらせる。
「あ、あなたは…いったい…」
「拙者は大文字久秀。さすらいの侍です」
「…ありがとう。…助けてくれて」
「当然のことをしたまで。大した事ではございません」
「ふふ…意外と謙虚なんですね」
「さっ、行きましょう」
大文字はこの後ちゃっかりお持ち帰りした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
数分後。
商店街のど真ん中に1人たたずむギルじい。どこか寂しげな表情を浮かべている。
「怪物もいない、肉屋も崩壊、ワシはなんのためにココまで来たんじゃ…。これだから死にたくなるんじゃ」
また死にたくなったギルじいは、その後すぐ家に帰った。
2秒ぐらいですぐ帰った。
何も考えずすぐ。
臨時ニュースにて、テレビに近所の商店街の光景が中継されており、美人キャスターの後ろには、怪物の攻撃を受けて無残にも崩された商店が並んでいる。
街の所々に鎌で切り裂かれたような痕が残り、怪我人も続出しているようだ。
『現場にいた買い物客の方々が無差別に攻撃を受けており、負傷者の手当ても間に合っていないような状態です!』
テレビの前にいるだけでも現場の緊迫感が伝わってくる程だ。
その頃ギルじいは布団を敷いて昼寝をしていた。
『きゃあぁぁぁ!!怪物がここまでやってきました!!きゃあぁぁぁ!!』
『美味そうな人間のメスだぁ~。キ~リキリキリキリキリ』
『うわあぁぁぁ!!やめろ!!!降ろせ!!誰か助けてくれぇぇ!!』
カマキリ型の怪物“キリキリバ”が再び現れ、美人キャスターとスタッフの一人を捕まえた。
テレビから流れてくる悲鳴や叫び声にギルじいが目を覚まし、テレビの方に目を向ける。
すると、逃げ惑うなかカメラマンがカメラを落とし、プツンッとそのまま中継が途絶えてしまった。
ギルじいはゆっくりと立ち上がり、腰をトンットンッと軽く叩いた。
「ちょうど肉を切らしてたわい。行ってくるか…」
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その頃、商店街ではキリキリバに捕まったキャスターとスタッフが助けを求めていた。
「きゃああ!!誰かぁぁ!!」
「助けてくれぇぇ!!!」
しかし、誰も近づけない。
警察が駆けつけ銃を向けるが、キリキリバが怯む様子はない。
「人質をすぐに降ろせ!さもないと、発砲するぞ!!」
警察官はキリキリバに解放するよう命じるが、キリキリバは全く動じない。
「あと10秒数える!それまでに解放しなければ…」
「…10秒?」
警察官の10秒という言葉に反応し、キリキリバがニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「悪いねお巡りさん。俺は生憎待つのが嫌いでね」
人質2人を掴んだまま、キリキリバはスッと両腕についた大きな鎌を構えた。
「10秒も、待ってらんねぇんだよぉ!!!」
「なっ!!?」
キリキリバは大きく鎌を振り、斬撃を飛ばした。
ザシュッ!と大きな音が鳴り響き、辺りいっぺんの商店と警察官数名が一瞬にして切り裂かれてしまった。
「ぐわぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁ!!」
攻撃を受けた警察官の叫び声が商店街中に響く。
誰も近寄れないような状況を作り、キリキリバは勝利を確信した。
「キ~リキリキリキリキリ。お前たちではこのキリキリバには敵わないと分かっただろう?よーし、それじゃ家に帰ってこの人質2人を美味しく…」
キリキリバがいただくと言おうとしたその時、ザッ、ザッと妙な足音が近づいてきた。
警察官の間を抜け、キリキリバの前にどんどん近づいてくる。
「おい!!貴様!!それ以上この俺に近づくな!!」
キリキリバが指差してそう命じると、その人物は素直にピタッと足を止めた。
「この俺に近づいてくるとは命知らずも甚だしいぞ!」
キリキリバの言葉にその人物は顔をふと上げた。
「貴様こそ…。拙者の通り道にいるとは、命知らずも甚だしい」
「…なに!?」
その人物は藁で作られた円形の笠を被り、上は赤、下は黒の袴を着ている。腰には刀をぶら下げ、わらじを履いている。
彼の名は大文字久秀。さすらいの侍だ。黒い長髪を後ろで結び、鋭い眼力が特徴である。
そんなことは御構い無しに、キリキリバは左手に持った人質のスタッフを投げつけた。
「うおらぁぁ!!」
ドゴォォン!!
おもいっきりブン投げられたスタッフは大文字の横をスレスレで通り、そのまま後ろのパトカーに突っ込んだ。
「…」
「なっ…!」
人質が投げ飛ばされたというのに、眉ひとつ動かさない大文字にキリキリバが少し動揺する。
「何か動きを見せるとでも思ったか?」
「思ったかって…!人質がおもいっきりブン投げられてるんだぞ!お前のとこに!少しは助けるなり何なりしろぉ!!」
敵であるはずのキリキリバの方が、何故かガミガミと怒鳴り散らす。
それでも大文字は全く動じる様子もなく口を開いた。
「…生憎だが俺は、女しか助けない」
……。
……。
……。
「は?」
キリキリバどころか、その場にいた警察官と人質の美人キャスターまでもが口をあんぐりさせた。
その時、全員が悟った。
こいつ…、ただの女好きだ…。
「ふざけた事を抜かしてんじゃねーぞぉ!!!」
キリキリバはおもいっきり鎌を振りかぶり、斬撃を飛ばした。
その斬撃は真っ直ぐ大文字の方へ。
大文字は刀を一瞬で抜き、斬撃を防いだ。ガキィィィィン!!!と大きな金属音が鳴り響き、…キュゥィィン…と耳に響くような小さな衝撃音がしばらく鳴り続いた。
「俺の斬撃を止めただと…」
「拙者の刀は頑丈さが売りなもんでな。あの程度じゃ、汚れひとつ付けられやしない」
「くっそ…!うぅおららららららら!!!!!!」
ムキになったキリキリバは両腕の鎌を振りかぶり、美人キャスターを手に掴んだまま高速で大量の斬撃を飛ばし始めた。
目にも止まらぬ速さで斬撃が飛び交う中、対する大文字は表情ひとつ変えず、全ての斬撃を高速な剣さばきで防いでいく。
ガガガガガキィーーン!!キィーーン!!!ガガガガガガ!!キィーーン!!!!と物凄い勢いで音が鳴り響き、戦闘の激しさから皆目を開けられないでいた。
「す、すごい!何がどうなってるんだ!?」
「目が開けられなくて、何も確認できませぇん!!」
「一旦ここを離れるぞ!!」
警察官らがその場を一旦引こうとした、その瞬間。
ザシュゥン!!!
大文字の一振りでキリキリバの右腕が斬り落とされた。ボトッ!と腕が地面に落ち、ひとまず人質の美人キャスターを救った。
しかし、キリキリバにはまだ左腕が残っている。
「こっのぉぉぉぉ!!!」
キリキリバが左腕を振りかぶった。が、左腕が無い。
「あ…あれっ!?」
キリキリバ本人すら気づかない間に、左腕も斬り落とされていた。
「レディをブンブン振り回すとは…、たとえ神様が許しても、拙者が貴様を許さない」
大文字は両手で刀を構えた。
とてつもない殺気を放ちながら。
「ま、待てっ!」
「死ね」
ザンッッ。
ほとんど音も無く、最後の一刀を振り下ろした。
両断されたキリキリバはその場に沈み、即死した。
「ご無事ですか、エンジェル?」
大文字は地面に座り込むキャスターに手を差し伸べ、ゆっくりと立ち上がらせる。
「あ、あなたは…いったい…」
「拙者は大文字久秀。さすらいの侍です」
「…ありがとう。…助けてくれて」
「当然のことをしたまで。大した事ではございません」
「ふふ…意外と謙虚なんですね」
「さっ、行きましょう」
大文字はこの後ちゃっかりお持ち帰りした。
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数分後。
商店街のど真ん中に1人たたずむギルじい。どこか寂しげな表情を浮かべている。
「怪物もいない、肉屋も崩壊、ワシはなんのためにココまで来たんじゃ…。これだから死にたくなるんじゃ」
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