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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、悪運の強さは伊達じゃない その拾漆
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蘆名氏・佐竹氏連合軍は撤退し、伊達氏老臣・鬼庭良直は無事。まあまあじゃないか。ただ、歴史的に見ればこの戦の終わり方は非常におかしい。
俺の記憶が正しければ、史実だと人取橋の戦いが終結する前に伊達軍本軍に敵方が突入し、伊達政宗は攻撃を受ける。そこで采配を任された鬼庭良直が敵方に突っ込んで数十人を討ち取るも戦死。
伊達成実は伊達政宗を逃がすために、自分が伊達政宗だと偽って名乗ることで攻撃を自分にだけ集中させた。そうして伊達政宗は本宮城へ逃げることが出来た。
その後、人取橋の戦いは蘆名氏・佐竹氏連合軍は撤退し、結果的に伊達軍が勝利した。
だが、人取橋の戦いが終わった後も伊達輝宗に関する戦いは続く。なぜならば、人取橋の戦いで二本松城を手中に収めることは出来なかったからだ。
しかし、歴史はかなり変わってきている。もしかすると、このまま二本松城に攻め入れば勝てるかもしれない。よし、まずは攻め入るだけ攻め入ってみるか。
「おい、小十郎。これから二本松城に攻め入る。伊達軍全隊に伝えてくれ」
「ああ、わかった」
二本松城に攻め入れば、歴史より早く手に入れられるかもな。まったく、予定通りにはいかないもんだ。
俺はウルトラウィークに乗ると、声を張り上げた。「おい、テメェら! 二本松城へ目指して進めぇ! 攻め落とすんだ!」
「「おおおぉぉ!」」
これからが人取橋の戦いのラストスパートだ。必ず二本松城を手に入れてやる。はっきり言って、良い手駒もそろっているし俺も成長しているから──。
「勝てるんじゃねぇか?」
馬を走らせると、毒ガスの入った容器が落ちないように配慮しながら突き進んだ。ジョーのお陰で手に入れた透明化の技もあるし、勝機はある。
二本松城が近くに見えてくると、敵方が待ち構えていた。死守する気が満々だぜ。
「降りろ、お前ら。遠距離射手部隊は遠くから支援、他の奴らは敵地に飛び込め!」
俺は馬から降りると、木刀を握って前を向いた。最初から本気で行くことにして、まずは毒ガスを投げ込むことにしよう。
容器を透明化させ、敵方には気付かれないように毒ガスを撒き散らした。
「ぐあああぁぁーーー!」
「苦しい! た、助けてくれ!」
「ゴホッゴホッ!」
そこへ俺が突撃し、木刀で急所を狙って攻撃した。一瞬で数人を倒したところで、背後から攻撃を受けて数メートル吹き飛んだ。
「イタタタタ! 痛えよ、誰がやったんだ」
「俺だ」
俺に攻撃した奴が名乗り出た。俺はそいつの人相や鎧などを見て、記憶を辿った。
木刀をそいつに向けて、まずは立ち上がった。「貴様、新城盛継か?」
「俺を知っているのか」
「まあな」
歴史が滅茶苦茶だ。新城盛継は人取橋の戦いでは名前が挙がっていないぞ。こいつが活躍するのは、人取橋の戦いのあとに伊達政宗が二本松城攻めを再開させた時だ。
少し悩んだが、歴史の軌道修正とかそういうのは後回しにしよう。
「そんな棒で敵うわけがない。違う武器を出したまえ」
「馬鹿か、お前? 木刀舐めんな。それに俺は神様の使者なもんでね、不思議な力をいろいろと使えるんだ。例えばこんなものとか」
俺は新城盛継の四方を防御壁で覆い、透明化させた。
「何だこれは......。見えない壁!?」
「そうだ、正解。壊すのは至難だよ」
もう一回は驚かせてやろうと、俺は全身を透明化させた。すると敵方は例外なく驚き、後ずさりをした。
透明化を解除し、防御壁も解除した。そして新城盛継の頭以外を透明化させ、笑みを浮かべた。
「お前は一生、生首として生きていくことになる。かわいそうだな」
「なっ!」
頭以外が透明となった自分の体を凝視し、慌てふためいた。そのスキに俺は新城盛継を倒し、縄で縛り上げた。これで強敵はいなくなった。一気に攻め落としてしまおう。
「進め、我が軍よ!」
残っていた毒ガスの容器を全て投げ込み、二本松城の周囲に毒ガスを充満させた。
それにひるんだスキに、敵方のほとんどを一掃した。それにしても、毒ガスは見かけ倒しだから効果が弱いな。今度は催涙剤みたいなのを作ってみたいな。催涙剤を詰めた弾丸、つまり催涙弾を火縄銃で発射したり攻撃の幅が広がるぞ。
催涙剤の作り方は知らないなあ。仁和なら知っているかもしれないし、この戦が終わったら聞いてみよう。
二本松城内部まで攻め込んだ伊達軍は、死者を出さずに勝利した。重傷者は出たものの、俺の薬学知識で止血などの応急処置をしたから悪化はしなかった。
俺は二本松城のてっぺんまで階段で上がると、周囲の景色を一望した。
「すげぇ」俺は息を飲み、身を乗り出した。「天下を手に入れたら、もっとすごい景色が見られるのか」
その景色には目を見張るものがあった。前世ではこれほど美しい景色は見たことがない。戦国時代は大気汚染とか森林伐採の問題がないから、ここまで綺麗な景色が残っているのだ。空気も澄んでいる。
「おい」小十郎は俺の横に並んで立った。「お前が見据えるのは天下統一だけじゃないんじゃないか?」
「フッ! 神辺の言うとおりだな。天下統一をしたら次はアジア統一、世界統一を目指す!」
「夢が大きいのは良いことだぜ」
「世界を統一するまで、お前は俺に着いてきてくれるか?」
小十郎はニヤリと笑って、垂れた前髪を掻き上げた。「愚問だな、僕はずっと着いていくさ。伊達政宗という名が、世界を席巻するその日まで!」
俺の記憶が正しければ、史実だと人取橋の戦いが終結する前に伊達軍本軍に敵方が突入し、伊達政宗は攻撃を受ける。そこで采配を任された鬼庭良直が敵方に突っ込んで数十人を討ち取るも戦死。
伊達成実は伊達政宗を逃がすために、自分が伊達政宗だと偽って名乗ることで攻撃を自分にだけ集中させた。そうして伊達政宗は本宮城へ逃げることが出来た。
その後、人取橋の戦いは蘆名氏・佐竹氏連合軍は撤退し、結果的に伊達軍が勝利した。
だが、人取橋の戦いが終わった後も伊達輝宗に関する戦いは続く。なぜならば、人取橋の戦いで二本松城を手中に収めることは出来なかったからだ。
しかし、歴史はかなり変わってきている。もしかすると、このまま二本松城に攻め入れば勝てるかもしれない。よし、まずは攻め入るだけ攻め入ってみるか。
「おい、小十郎。これから二本松城に攻め入る。伊達軍全隊に伝えてくれ」
「ああ、わかった」
二本松城に攻め入れば、歴史より早く手に入れられるかもな。まったく、予定通りにはいかないもんだ。
俺はウルトラウィークに乗ると、声を張り上げた。「おい、テメェら! 二本松城へ目指して進めぇ! 攻め落とすんだ!」
「「おおおぉぉ!」」
これからが人取橋の戦いのラストスパートだ。必ず二本松城を手に入れてやる。はっきり言って、良い手駒もそろっているし俺も成長しているから──。
「勝てるんじゃねぇか?」
馬を走らせると、毒ガスの入った容器が落ちないように配慮しながら突き進んだ。ジョーのお陰で手に入れた透明化の技もあるし、勝機はある。
二本松城が近くに見えてくると、敵方が待ち構えていた。死守する気が満々だぜ。
「降りろ、お前ら。遠距離射手部隊は遠くから支援、他の奴らは敵地に飛び込め!」
俺は馬から降りると、木刀を握って前を向いた。最初から本気で行くことにして、まずは毒ガスを投げ込むことにしよう。
容器を透明化させ、敵方には気付かれないように毒ガスを撒き散らした。
「ぐあああぁぁーーー!」
「苦しい! た、助けてくれ!」
「ゴホッゴホッ!」
そこへ俺が突撃し、木刀で急所を狙って攻撃した。一瞬で数人を倒したところで、背後から攻撃を受けて数メートル吹き飛んだ。
「イタタタタ! 痛えよ、誰がやったんだ」
「俺だ」
俺に攻撃した奴が名乗り出た。俺はそいつの人相や鎧などを見て、記憶を辿った。
木刀をそいつに向けて、まずは立ち上がった。「貴様、新城盛継か?」
「俺を知っているのか」
「まあな」
歴史が滅茶苦茶だ。新城盛継は人取橋の戦いでは名前が挙がっていないぞ。こいつが活躍するのは、人取橋の戦いのあとに伊達政宗が二本松城攻めを再開させた時だ。
少し悩んだが、歴史の軌道修正とかそういうのは後回しにしよう。
「そんな棒で敵うわけがない。違う武器を出したまえ」
「馬鹿か、お前? 木刀舐めんな。それに俺は神様の使者なもんでね、不思議な力をいろいろと使えるんだ。例えばこんなものとか」
俺は新城盛継の四方を防御壁で覆い、透明化させた。
「何だこれは......。見えない壁!?」
「そうだ、正解。壊すのは至難だよ」
もう一回は驚かせてやろうと、俺は全身を透明化させた。すると敵方は例外なく驚き、後ずさりをした。
透明化を解除し、防御壁も解除した。そして新城盛継の頭以外を透明化させ、笑みを浮かべた。
「お前は一生、生首として生きていくことになる。かわいそうだな」
「なっ!」
頭以外が透明となった自分の体を凝視し、慌てふためいた。そのスキに俺は新城盛継を倒し、縄で縛り上げた。これで強敵はいなくなった。一気に攻め落としてしまおう。
「進め、我が軍よ!」
残っていた毒ガスの容器を全て投げ込み、二本松城の周囲に毒ガスを充満させた。
それにひるんだスキに、敵方のほとんどを一掃した。それにしても、毒ガスは見かけ倒しだから効果が弱いな。今度は催涙剤みたいなのを作ってみたいな。催涙剤を詰めた弾丸、つまり催涙弾を火縄銃で発射したり攻撃の幅が広がるぞ。
催涙剤の作り方は知らないなあ。仁和なら知っているかもしれないし、この戦が終わったら聞いてみよう。
二本松城内部まで攻め込んだ伊達軍は、死者を出さずに勝利した。重傷者は出たものの、俺の薬学知識で止血などの応急処置をしたから悪化はしなかった。
俺は二本松城のてっぺんまで階段で上がると、周囲の景色を一望した。
「すげぇ」俺は息を飲み、身を乗り出した。「天下を手に入れたら、もっとすごい景色が見られるのか」
その景色には目を見張るものがあった。前世ではこれほど美しい景色は見たことがない。戦国時代は大気汚染とか森林伐採の問題がないから、ここまで綺麗な景色が残っているのだ。空気も澄んでいる。
「おい」小十郎は俺の横に並んで立った。「お前が見据えるのは天下統一だけじゃないんじゃないか?」
「フッ! 神辺の言うとおりだな。天下統一をしたら次はアジア統一、世界統一を目指す!」
「夢が大きいのは良いことだぜ」
「世界を統一するまで、お前は俺に着いてきてくれるか?」
小十郎はニヤリと笑って、垂れた前髪を掻き上げた。「愚問だな、僕はずっと着いていくさ。伊達政宗という名が、世界を席巻するその日まで!」
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