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第四章『輝宗の死』
伊達政宗、悪運の強さは伊達じゃない その陸
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覆面のその青年は、俺が刀を抜いたことに反応した。「貴様には戦う意志があると言うのか?」
「どういうことだ!」
「戦いを終わらせるにはどちらか一方が死ぬしかない。つまり、貴様が刀を抜いた時点で貴様の死は決まっているのだ!」
「何を言ってやがる!」
「それが俺の世界のルールなのだ」
こいつ、もしかすると......。いや、今は戦いに集中だ。まずは燭台切で牽制をする。
「そのような構え方では俺に負けるだけだ」
青年は腰の袋から剣を取り出した。刀とは違って真っ直ぐと伸びた剣だ。
「刀をなめるな!」
俺が間合いを詰めて刀を横向きに斬ったが、青年がそれを防いで腹に蹴りを入れてきた。
「うがっ!」
「弱き者よ、貴様の負けだ!」
とっさに受け身をとり、ある程度のダメージに押さえられた。腹を押さえつつ立ち上がり、肩の力を抜いた。
「テメェ、急に蹴るなよ」
「......」
「無視は良くないな。久々に本気を見せてやるよ」
「今のが本気ではないとでも言うのか? 笑わせるなよ」
チッ! ムカつく野郎だ。俺は空中に防御壁で足場を築き、落下しながら攻撃をした。剣で攻撃を防がれるから、バリツを応用した突き技で力押しをする。
「なっ! 剣聖の俺がここまで歯が立たないだと!?」
剣聖? やはり、こいつはホームズのような異世界からの者のようだ。剣も日本のものではないし、彼の世界ではどちらかが死ぬまで戦いは続くということか。
圧倒的力の差を見せつけて、奴から降参させる必要がありそうだ。刃先を防御壁で覆い、一気にたたみ掛けよう。
「いけえええぇぇ!」
燭台切で彼の刀を破壊し、俺も刀を捨てる。すかさず拳を握り、腹に一発打ち込んだ。
「ぐはぁ!」
「さっきのお返しだぜ」
異世界で剣聖だとしても、剣がなければザコに等しいはずだ。これで完璧の──。
「いぢぃ!」
「剣聖だからと言って体術に優れていないわけじゃない!」
一旦距離を取った俺は、彼をじっと観察した。筋肉はあるから力は強いはずだ。体術にも優れているのは嘘じゃないだろう。
なら、動きを封じてみよう。間接の部分を防御壁で覆って、俺が防御壁を解除するまでは身動きを取れなくした。
「何だこれは! 動けない!!」
「間接を封じれば動けるわけがないだろ?」
安心して青年に近寄り、とどめの一撃を食らわせようと片手を振りかぶったら、奴は動き出した。俺は焦りつつ後退した。
「なぜ動けるんだ!」
俺の声には反応せずに動いている。どうやら、関節を外している。体を壊しながらでも、ちゃんと動いているのだ。奴をここまでさせる原動力は、戦いの勝利だ。
青年は勝利へ執着しているように見受けられる。それをどうにかすれば良いわけだ。どうすれば良いかわからんが、まずは体を壊させないように関節を封じていた防御壁を解除。俺はホームズから貰ったステッキを握る。
「こうなったら関節を直接破壊してやる!」
関節を破壊、いや骨のほとんどを破壊すればさすがに動けないはずだ。彼には悪いが、そうするしかない。そういう場合、バリツはうってつけだ。突き技の威力で骨を粉砕出来るからだ。バリツとは何と素晴らしいものなのだ。
ステッキを突き、俺の体重を乗せた一撃で片足の骨を破壊。もう片方も破壊し、両手とまども粉砕。これぞまさに粉骨砕身だ。
「おーい、生きてるか?」
「......俺は死んだんだな──さらばだ、強者よ」
「ちょ、待ってくれ! 三途の川だけは渡らないでくれよ!」
急いで防御壁を青年の体で展開させ、骨の変わりにした。すると青年は起き上がったが、かなり痛そうにしている。
「なぜ俺を助けたんだ?」
「あんた異世界から来た剣聖なんだろ?」
「まあ、そうだが」
「俺の仲間に加わってほしいんだ」
「貴様ほど強いのに俺の仲間として欲するのか?」
「まあな」
「クックックッ! クッ! クハハハハハ! 面白い奴だな、お前」
「お前の方が面白い奴だと思うんだが。それより、骨を破壊しちまったが、無事か?」
「自己回復スキルというものを持っている。一時間もすれば完治するだろうよ」
なるほど、青年の住む世界には魔法のようなものがあるようだな。ホームズの世界とはまったく別種のようだ。
「剣聖さん、あんた名前は?」
「名前? ウィリアム=ヘルダーだ。いや、正しくは第二十三代剣聖であり竜殺しの異名を持つジョセフ・ウィリアム=ヘルダーと申す!」
「じょ、ジョセフ・ウィリアム=ヘルダー?」
「そうだ」
「ウィリアム=ヘルダーが苗字でジョセフが名前だ」
「長いな......。ジョーで良いか?」
「構わないさ。俺はすでに死んでいるも同然なんだからな」
「あ、そのことについてくわしく教えてね」
ジョーがどのようにしてこの世界に来たのかが知りたい。まずはそれを聞いてから仲間にしよう。この強さなら幹部クラスに引き立ててやれる。
まさか二本松城に向かっている途中で優秀な手駒を手に入れられるとは思わなかった。ここまではうまくいっている。史実通りになることは出来るはずだ。犬死にすることもない。よし、死の恐怖から解放されたな。
「どういうことだ!」
「戦いを終わらせるにはどちらか一方が死ぬしかない。つまり、貴様が刀を抜いた時点で貴様の死は決まっているのだ!」
「何を言ってやがる!」
「それが俺の世界のルールなのだ」
こいつ、もしかすると......。いや、今は戦いに集中だ。まずは燭台切で牽制をする。
「そのような構え方では俺に負けるだけだ」
青年は腰の袋から剣を取り出した。刀とは違って真っ直ぐと伸びた剣だ。
「刀をなめるな!」
俺が間合いを詰めて刀を横向きに斬ったが、青年がそれを防いで腹に蹴りを入れてきた。
「うがっ!」
「弱き者よ、貴様の負けだ!」
とっさに受け身をとり、ある程度のダメージに押さえられた。腹を押さえつつ立ち上がり、肩の力を抜いた。
「テメェ、急に蹴るなよ」
「......」
「無視は良くないな。久々に本気を見せてやるよ」
「今のが本気ではないとでも言うのか? 笑わせるなよ」
チッ! ムカつく野郎だ。俺は空中に防御壁で足場を築き、落下しながら攻撃をした。剣で攻撃を防がれるから、バリツを応用した突き技で力押しをする。
「なっ! 剣聖の俺がここまで歯が立たないだと!?」
剣聖? やはり、こいつはホームズのような異世界からの者のようだ。剣も日本のものではないし、彼の世界ではどちらかが死ぬまで戦いは続くということか。
圧倒的力の差を見せつけて、奴から降参させる必要がありそうだ。刃先を防御壁で覆い、一気にたたみ掛けよう。
「いけえええぇぇ!」
燭台切で彼の刀を破壊し、俺も刀を捨てる。すかさず拳を握り、腹に一発打ち込んだ。
「ぐはぁ!」
「さっきのお返しだぜ」
異世界で剣聖だとしても、剣がなければザコに等しいはずだ。これで完璧の──。
「いぢぃ!」
「剣聖だからと言って体術に優れていないわけじゃない!」
一旦距離を取った俺は、彼をじっと観察した。筋肉はあるから力は強いはずだ。体術にも優れているのは嘘じゃないだろう。
なら、動きを封じてみよう。間接の部分を防御壁で覆って、俺が防御壁を解除するまでは身動きを取れなくした。
「何だこれは! 動けない!!」
「間接を封じれば動けるわけがないだろ?」
安心して青年に近寄り、とどめの一撃を食らわせようと片手を振りかぶったら、奴は動き出した。俺は焦りつつ後退した。
「なぜ動けるんだ!」
俺の声には反応せずに動いている。どうやら、関節を外している。体を壊しながらでも、ちゃんと動いているのだ。奴をここまでさせる原動力は、戦いの勝利だ。
青年は勝利へ執着しているように見受けられる。それをどうにかすれば良いわけだ。どうすれば良いかわからんが、まずは体を壊させないように関節を封じていた防御壁を解除。俺はホームズから貰ったステッキを握る。
「こうなったら関節を直接破壊してやる!」
関節を破壊、いや骨のほとんどを破壊すればさすがに動けないはずだ。彼には悪いが、そうするしかない。そういう場合、バリツはうってつけだ。突き技の威力で骨を粉砕出来るからだ。バリツとは何と素晴らしいものなのだ。
ステッキを突き、俺の体重を乗せた一撃で片足の骨を破壊。もう片方も破壊し、両手とまども粉砕。これぞまさに粉骨砕身だ。
「おーい、生きてるか?」
「......俺は死んだんだな──さらばだ、強者よ」
「ちょ、待ってくれ! 三途の川だけは渡らないでくれよ!」
急いで防御壁を青年の体で展開させ、骨の変わりにした。すると青年は起き上がったが、かなり痛そうにしている。
「なぜ俺を助けたんだ?」
「あんた異世界から来た剣聖なんだろ?」
「まあ、そうだが」
「俺の仲間に加わってほしいんだ」
「貴様ほど強いのに俺の仲間として欲するのか?」
「まあな」
「クックックッ! クッ! クハハハハハ! 面白い奴だな、お前」
「お前の方が面白い奴だと思うんだが。それより、骨を破壊しちまったが、無事か?」
「自己回復スキルというものを持っている。一時間もすれば完治するだろうよ」
なるほど、青年の住む世界には魔法のようなものがあるようだな。ホームズの世界とはまったく別種のようだ。
「剣聖さん、あんた名前は?」
「名前? ウィリアム=ヘルダーだ。いや、正しくは第二十三代剣聖であり竜殺しの異名を持つジョセフ・ウィリアム=ヘルダーと申す!」
「じょ、ジョセフ・ウィリアム=ヘルダー?」
「そうだ」
「ウィリアム=ヘルダーが苗字でジョセフが名前だ」
「長いな......。ジョーで良いか?」
「構わないさ。俺はすでに死んでいるも同然なんだからな」
「あ、そのことについてくわしく教えてね」
ジョーがどのようにしてこの世界に来たのかが知りたい。まずはそれを聞いてから仲間にしよう。この強さなら幹部クラスに引き立ててやれる。
まさか二本松城に向かっている途中で優秀な手駒を手に入れられるとは思わなかった。ここまではうまくいっている。史実通りになることは出来るはずだ。犬死にすることもない。よし、死の恐怖から解放されたな。
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