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第三章『家督相続』
伊達政宗、脱出するのは伊達じゃない その弐
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俺は神力により、小十郎と仁和の会話を聞いた。と言っても、今俺がいる場所は神力ではわからないし、テレパシーなどは出来ない。
ただ、推理することによって場所は導き出せる。今は酉の刻。誘拐が実行されたのが申の刻だが、その間は二時間。
戦国時代の馬は人を乗せた状態で時速三十キロメートル程度。二時間なら六十キロメートルくらいは進める。俺が誘拐された場所を中心とする半径六十キロメートル以内に、俺が監禁されているということだ。
鷹狩りをした地域の地図を思い出せ。あそこから半径六十キロメートル以内......。建造物、あったっけ?
ないな、半径六十キロメートル以内に建造物。としたら、地下の可能性はより高くなったわけだ。
俺が監禁されている場所は、どこが出口だ? 脱出する方法は何だ?
「お前らは誰の手先だ?」
「言うとでも思ったか?」
「思った」
「舐めんなよ、若造!」
前世の年齢を含めたら、お前らよりはるかに年上だぞ!? この野郎共!
「俺を誘拐したのなら、すぐに仲間が助けに来るぞ」
「仲間を信頼してるってか? 笑えるな。ここの場所がわかるわけがない」
テレパシーが出来れば、半径六十キロメートル以内だと伝えられるのだが、難しいか。
「俺を誘拐した目的は?」
「何度言えば気が済むんだ? 目的を話して、俺達の利益になることは何もない」
それもそうだ。
それに自力で脱出するにしても、手と足を縛られている......。この縄をどうにか取ることが出来れば、成実から教わった体術でこいつらなど一撃で倒せる。
どうすれば縄を切れるか。仕込みナイフの一本や二本持っておけば良かった。
小十郎達の状態はどうだろう。
小十郎一行は一斉に馬を駆けて進んでいた。小十郎はどうやら、クロークにも救出のお願いをしたらしい。主力の中にクロークも混じっていた。
小十郎は声を張り上げた。「皆の者! 若様のために、全力を尽くしてください!」
一行が馬を止めたのは、それから数十分が経った頃だった。
仁和が馬から飛び降りると、何やら馬の足跡をじっと見た。何を計算しているのだろうか。それとも、俺の推理同様に半径六十キロメートル以内だということを計算しているのか?
どちらにしても、早く俺を助け出してくれ! 縄が窮屈で辛いんだ。
仁和は地図を取り出して、小十郎に見せた。「こことここのポイントが怪しい。急いで向かいましょう」
「はい!」
お! さすが仁和だ。もう俺が監禁されている場所がわかったのか。俺なんか、まだ半径六十キロメートル以内だということしか絞り込めていないのに。
これは期待出来る。早く来い!
仁和が指し示したポイントに到着すると、近くにあった建物等々を調べだした。違う! 地下が怪しいんだ!
いや、待てよ......。建物から隠し扉で地下に続いている可能性もあるのか。俺でも気付かなかったことを、仁和は気付いたのか。出来る家臣だ。
未来人衆は『旦那』のことを一生懸命に探していた。頑張ってはいるが、皆が今いる場所には俺はいない感じだ。次だ、次。早く、仁和の言う別の『ポイント』まで向かってくれ。
やっぱり、あいつらだけに任せてはおけない。俺も脱出するために力を発揮する。まずは何と言っても縄を切ることだ。腰に掛けていた刀は誘拐犯どもに盗られている。
なら、クローク直伝の力の操作! 急激に操作で力を底上げして、その力で縄を引き千切る。
筋肉強化オォー!
「んぎぎぎぃー!?」
千切れない! クローク直伝の筋肉強化で縄が千切れないだと!?
まあ、仕方ないか。筋肉強化は神力じゃなくて、ただの体技だから。
「ハッ! 見たか、お前ら? 伊達政宗、今縄を自力で引き千切ろうとしたぜ?」
「マジかよ! ダセぇ」
こいつら、調子に乗りやがって。もし縄が引き千切れたら、必ず腹にワンパンだぜ。
「テメェら、俺を舐めていると痛い目見るぜ」
「お前は勉強しないなぁ。俺らに逆らうなよ」
「俺はいついかなる時も外道には屈しない。自力で縄を千切ってやるよ」
「せいぜい頑張れよ。その縄は千切れないだろうが」
こいつらマジでムカつくな。年上は敬え!
この時代の縄はもろい。容易に引き千切れるはずだ。なのに引き千切れないのは、この縄は未来の物かな。未来の縄は頑丈だから、さすがに体技を駆使しても引き千切れないな。
なら、俺の監禁場所をもっと正確に推理しよう。仁和は馬の足跡を見ていたが、俺も視点を切り替えて、俺が誘拐された場所の馬の足跡を見てみよう。
馬の足跡や人間の足跡が入り混じっている。だが、未来の馬の足跡がはっきりとわかるぞ。その馬の足跡を辿れば良いわけだ。視点を進めて、辿る。
途中で草が生い茂っている。これじゃあ馬の足跡を辿ることは至難。仁和はどうやって俺が監禁されている場所の候補を出したんだ? 未来の馬の足跡は一頭のしかない。万策尽きた。
脱出するために縄を引き千切るしか、俺に出来ることはない。しかし、引き千切ることでさえ、俺には出来ない。八方塞がり。
これはもう、俺はとうとう死ぬかもしれない。
ただ、推理することによって場所は導き出せる。今は酉の刻。誘拐が実行されたのが申の刻だが、その間は二時間。
戦国時代の馬は人を乗せた状態で時速三十キロメートル程度。二時間なら六十キロメートルくらいは進める。俺が誘拐された場所を中心とする半径六十キロメートル以内に、俺が監禁されているということだ。
鷹狩りをした地域の地図を思い出せ。あそこから半径六十キロメートル以内......。建造物、あったっけ?
ないな、半径六十キロメートル以内に建造物。としたら、地下の可能性はより高くなったわけだ。
俺が監禁されている場所は、どこが出口だ? 脱出する方法は何だ?
「お前らは誰の手先だ?」
「言うとでも思ったか?」
「思った」
「舐めんなよ、若造!」
前世の年齢を含めたら、お前らよりはるかに年上だぞ!? この野郎共!
「俺を誘拐したのなら、すぐに仲間が助けに来るぞ」
「仲間を信頼してるってか? 笑えるな。ここの場所がわかるわけがない」
テレパシーが出来れば、半径六十キロメートル以内だと伝えられるのだが、難しいか。
「俺を誘拐した目的は?」
「何度言えば気が済むんだ? 目的を話して、俺達の利益になることは何もない」
それもそうだ。
それに自力で脱出するにしても、手と足を縛られている......。この縄をどうにか取ることが出来れば、成実から教わった体術でこいつらなど一撃で倒せる。
どうすれば縄を切れるか。仕込みナイフの一本や二本持っておけば良かった。
小十郎達の状態はどうだろう。
小十郎一行は一斉に馬を駆けて進んでいた。小十郎はどうやら、クロークにも救出のお願いをしたらしい。主力の中にクロークも混じっていた。
小十郎は声を張り上げた。「皆の者! 若様のために、全力を尽くしてください!」
一行が馬を止めたのは、それから数十分が経った頃だった。
仁和が馬から飛び降りると、何やら馬の足跡をじっと見た。何を計算しているのだろうか。それとも、俺の推理同様に半径六十キロメートル以内だということを計算しているのか?
どちらにしても、早く俺を助け出してくれ! 縄が窮屈で辛いんだ。
仁和は地図を取り出して、小十郎に見せた。「こことここのポイントが怪しい。急いで向かいましょう」
「はい!」
お! さすが仁和だ。もう俺が監禁されている場所がわかったのか。俺なんか、まだ半径六十キロメートル以内だということしか絞り込めていないのに。
これは期待出来る。早く来い!
仁和が指し示したポイントに到着すると、近くにあった建物等々を調べだした。違う! 地下が怪しいんだ!
いや、待てよ......。建物から隠し扉で地下に続いている可能性もあるのか。俺でも気付かなかったことを、仁和は気付いたのか。出来る家臣だ。
未来人衆は『旦那』のことを一生懸命に探していた。頑張ってはいるが、皆が今いる場所には俺はいない感じだ。次だ、次。早く、仁和の言う別の『ポイント』まで向かってくれ。
やっぱり、あいつらだけに任せてはおけない。俺も脱出するために力を発揮する。まずは何と言っても縄を切ることだ。腰に掛けていた刀は誘拐犯どもに盗られている。
なら、クローク直伝の力の操作! 急激に操作で力を底上げして、その力で縄を引き千切る。
筋肉強化オォー!
「んぎぎぎぃー!?」
千切れない! クローク直伝の筋肉強化で縄が千切れないだと!?
まあ、仕方ないか。筋肉強化は神力じゃなくて、ただの体技だから。
「ハッ! 見たか、お前ら? 伊達政宗、今縄を自力で引き千切ろうとしたぜ?」
「マジかよ! ダセぇ」
こいつら、調子に乗りやがって。もし縄が引き千切れたら、必ず腹にワンパンだぜ。
「テメェら、俺を舐めていると痛い目見るぜ」
「お前は勉強しないなぁ。俺らに逆らうなよ」
「俺はいついかなる時も外道には屈しない。自力で縄を千切ってやるよ」
「せいぜい頑張れよ。その縄は千切れないだろうが」
こいつらマジでムカつくな。年上は敬え!
この時代の縄はもろい。容易に引き千切れるはずだ。なのに引き千切れないのは、この縄は未来の物かな。未来の縄は頑丈だから、さすがに体技を駆使しても引き千切れないな。
なら、俺の監禁場所をもっと正確に推理しよう。仁和は馬の足跡を見ていたが、俺も視点を切り替えて、俺が誘拐された場所の馬の足跡を見てみよう。
馬の足跡や人間の足跡が入り混じっている。だが、未来の馬の足跡がはっきりとわかるぞ。その馬の足跡を辿れば良いわけだ。視点を進めて、辿る。
途中で草が生い茂っている。これじゃあ馬の足跡を辿ることは至難。仁和はどうやって俺が監禁されている場所の候補を出したんだ? 未来の馬の足跡は一頭のしかない。万策尽きた。
脱出するために縄を引き千切るしか、俺に出来ることはない。しかし、引き千切ることでさえ、俺には出来ない。八方塞がり。
これはもう、俺はとうとう死ぬかもしれない。
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