婚約者を選ぶことができるみたいです

決意

今まで自信に溢れ、威厳にみちていたその彼の努力をしっている。今は優しく思慮深いが、もともとは短慮で怒りっぽかった頃を知っている。私だって辛いことも挫折もいっぱいあったけど、責任感の人一倍強くなった彼の裂けるような気持ちを感じた。
小さくなった背中、傷の痛さを誰よりも我慢しながら自分自身と闘っているのをこっそりみていた。
愛おしく感じる自分に気づく、支えてあげたいと思う気持ちもわいてくる。
気づけば彼の背中を包み込むように抱きしめていた。
彼は傷ついた顔をして、だけど暖かさを感じるように私を抱きしめて返した。労るように、慈しむように彼を温めた。気づけば私からキスをしていた。この人を大切にしたい。そう思ったから。　

3ヶ月後、傷もすっかり治り非公式の宮でだきしめあいながら婚約を取り直した。
王族の結婚は少なくとも1年以上は必要になる。あの日、私の気持ちを決めてから他の3人とは距離をとっている。友人以上の距離まで踏み込ませていない。　　
　彼らは大人だった。貴族として矜持を持っていた。各々も半年ほどして婚約者を決めていった。
そして、私は誰よりも不器用でまっすぐなシャルルの王太子妃となり、彼を支え国を支ている。