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55 ベイビー・ドライバー◇-2

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◇◇◇◇◇◇◇◇
 

『ごめんなさい……あんなこと……言うつもりじゃ……』

 私が泣き止むまで、鯨はじっと待っていた。

『……良いのです、私達は貴方に恨まれても仕方ありません……それだけのことをしたのですから』

『……嬉しくないわけじゃない……だけど……私はどうしたらいいのか……私は』

『……本当に……親失格でした…私も分からないのです。貴女を抱きしめる為の人の体がないのですから。この姿はそう見えているだけで、本来の私は思念のみの存在です、貴女に触れることだって出来ない……』

『いいの……もう、分かったから。私は、一人じゃ無かった……そうなんだよね?』

『……っ、そうです、私はその石と共にずっと貴女の側に……!』

『私、この海の夢は嫌いじゃなかった。……私が海を好きになったのは、この夢のおかげ』

『良かった……本当に……私に出来る事はそれくらいしかなかったので……』

『魔術を使う時も、助けてくれたでしょ?』

『殆どは貴女の力です、私は少し手助けしただけです、本当に何もしてあげられなくて、ごめんなさい』

『いいよ、お母様はいた。それだけで。オードも来れるなら、その方が良かったけど』

『連れて来ないのですか?』

『彼は……捕まってる……』

『そうなのですか?会おうと思えば会えるでしょう?』

 当然のように、鯨はそう言った。
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