63 / 95
第3部
05 期限
しおりを挟む
祖母の部屋には、特にアリアの《制約》に関連しそうな物は特になく、祖母が行っていた領地経営の資料しかない。
手紙と一緒に置いてあった地図には、銀山に関しての資料もまとめてあったけど、それだけ。
修道院の書庫からは数冊持ち出されたように、本を繋ぐ鎖は切られていた。
アルラウネは、持ち出された本の内容については知らず、主に祖母が収集していた過去の邪教に関する本だった事しか知らないらしい。
「……あの子の事を頼んだよ」
アルラウネは最後まで、アリアの事をあの子と、まるで保護者のようにそう、呼んでいた。
「……約束はできません」
私にはそう言う他なかった。
「……君達に残りの時間がそうある訳でもない……仕方ないか」
別れる際に、見せた表情は、それまでのヘラヘラとしたものではなく、なんとも言えない無力感のようなものを感じさせた。
「ああそうだ、クララ。ちょっと耳貸しなよ」
「何ですか?」
「……"その身体"が崩れて無くなる前に、決めることだね」
私だけに聞こえるように、アルラウネはそう言った。
その意味は……問うまでもなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「はー、やっと陰気な森ともおさらばできたの!……いや、外も別に陽気というわけではないか」
森から出たアトラは伸びをしつつ呟くが、暗い空を見て、我に帰ったように言う。
「あのてがみの、とおりなら、めがみのえいきょう、だろうな。おそらく、そらをおおっている、あんうんは、すべて"しょうき"だろう」
「クララ、次の目的地はどうする?銀山とやらに向かうか、それとも……」
「っ……そうですね……」
軽い頭痛と目眩を感じた。
「?」
大したことない、大した事じゃない。
「……財産の方は、全て使い果たしているかも知れませんが、アリアは間違いなくそこに行っているはずです。何か……手掛かりがあるかも知れません。…….ただ、近くの街には大聖堂があった筈なので、恐らくアリアの手の者がいるでしょうが……ですが、行かない理由はありません、幸い、ここからの距離は、ここまでの道のりに比べればまだ近い方です」
私たちが用があるのは山であって、街ではない。用がなければ、入らなければ良い。それだけだ。
私には明確に目的がある、やらなければならない事がある……だから、私は。
◆◆◆◆◆◆◆◆
大聖堂のある街は、古くからイルツカステンと呼ばれる山で採れた銀によって栄え、そこを治めていた公家が途絶えても、衰退することなく発展していたらしい。
本来なら、帝国の直轄地として接収されているはずが、突然現れた公家の甥にあたる者が引き継ぎ、伯爵となったとの事だった。
ここまでは、修道院にあったこの土地の歴史書に書いてあること。
しかし、手紙と一緒になっていた資料によれば、その正体は祖母が手を回した結果の名義だけの存在で。
祖母の代に、聖女へ任されている領地の収入が私の時よりも多かった理由は、銀山と自分の領地の収入を平均化して、銀山の収入を隠していたからだった。
おまけに、銀山が枯れ始めていると報告し、死の直前にはその収入の多くを隣国へ横流ししていた。
恐ろしいことに、その受け取り先すら、隣国に持っている名義だけの存在で、亡命先の身分と財産というのは、こういうことだった。
優しいだけに見えた祖母は、なんだかんだいって強かだったらしい。
200年もの間、権謀術数が渦巻く帝国の中枢にいた人間なのだから、不思議ではないのだけれど……そう考えると、私が自分の無能に甘えて、なにもして来なかった事がよくわかってしまう。
もし仮に、レオンハルトがよく言っていたように、身を守る為の手段を講じようとしていたのなら、この手紙が無くとも、祖母の真意を理解することは出来たはずなのだから。
先代のような老獪ではない私は、周りの人間にしてみては都合のいいカモだったわけだ。
道中で祖母の経営の資料を眺め、ようやくレオンハルトの忠告の意味を理解していた。
……もしや彼は本当に私の身を心配して、ああ言った皮肉や、言葉を口にしていたのだろうか。
最終的には裏切ったというのに。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「入り口には着いたが……」
茂みから覗き込む銀山の入り口を、変異を抱えた鉱夫達が、何度も出入りしていく。
彼らの目は虚ろ、人形のような動きで作業を繰り返す姿は、ひどく不気味で、生き物というよりは、そういう道具のようにしか見えなかった。
「……獣よりも、人間性を失っているような気がするが……これが一般的な帝国民の姿かの?」
アトラは呆れたように言う。
「修道院に来ていた人達はもう少し……え……?」
ひたすら銀鉱石を運ぶ鉱夫の列の中に、いつか見た顔があった。
その顔は忘れるはずも無い。
「アルサメナ……?」
この世で唯一、血を分けた弟。
その中に彼の姿があった。
「知り合いか──」
「アルサメナっ!」
獣の問いかける声が、背後へ流れていく。
気が付けば、駆け出していた。
「……?」
鉱夫の列から引きずり出したアルサメナは、呆然とこちらを見ていた。
「アルサメナ!どうしてこんな……!」
「……どちらさま……ですか……?」
か細い声だった。
違う。全然違う声だった。
全く知らない誰かを見る目だった。
全然違う顔をしていた。
「……離してくれ……我々は銀を掘り続けなければならない……」
動き続けている鉱夫達は私に目もくれない。
「……ごめんなさい……人違いでした」
鉱夫は無言で去り、作業に戻っていった。
私を避けて鉱夫達はただ、歩いて行く。
何も起きていないように。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ここにいるのは、もうじゃ、だな。おそらく、ありあが、しえきしているのだろう」
「近くには居ないはず……」
「たんじゅんな、めいれいだけで、うごいているのだろう、われわれにもはんのうしない」
毛玉は隣を歩いていた鉱夫を突くが、避ける以外の反応は何もない。
彼の言う通り、ここにいる鉱夫達は生きた人間ではないらしい。
拍子抜けだった。侵入するのは酷く簡単だった。
これで情報も容易に……容易に……
「クララ?」
「……間違いないんです……あの子は……私の……人違いなんかじゃない……」
彼の血が吹き上がる瞬間が、目に浮かび上がり、繰り返し、繰り返し──
「大丈夫か……?」
獣さんの声に引き戻される。
「あ、いえ……はい……冷静さを欠いていました」
落ち着いて、私。
こんなところにアルサメナがいる訳ない。
あそこにいたのは別人。
何で私はこんなことを……そんなのわかりきってる。
今の私は、感情が抑えられなくなりつつある。
最近、怒りやすくなったり、獣の相手に焦り過ぎて我を失ったり。
急に力が抜けたり、あの時、魔力が上手く使えなかったのもお酒のせいじゃない。
ずっと不調なのは……そうだ。
私は多分──壊れ始めてるんだ。
手紙と一緒に置いてあった地図には、銀山に関しての資料もまとめてあったけど、それだけ。
修道院の書庫からは数冊持ち出されたように、本を繋ぐ鎖は切られていた。
アルラウネは、持ち出された本の内容については知らず、主に祖母が収集していた過去の邪教に関する本だった事しか知らないらしい。
「……あの子の事を頼んだよ」
アルラウネは最後まで、アリアの事をあの子と、まるで保護者のようにそう、呼んでいた。
「……約束はできません」
私にはそう言う他なかった。
「……君達に残りの時間がそうある訳でもない……仕方ないか」
別れる際に、見せた表情は、それまでのヘラヘラとしたものではなく、なんとも言えない無力感のようなものを感じさせた。
「ああそうだ、クララ。ちょっと耳貸しなよ」
「何ですか?」
「……"その身体"が崩れて無くなる前に、決めることだね」
私だけに聞こえるように、アルラウネはそう言った。
その意味は……問うまでもなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「はー、やっと陰気な森ともおさらばできたの!……いや、外も別に陽気というわけではないか」
森から出たアトラは伸びをしつつ呟くが、暗い空を見て、我に帰ったように言う。
「あのてがみの、とおりなら、めがみのえいきょう、だろうな。おそらく、そらをおおっている、あんうんは、すべて"しょうき"だろう」
「クララ、次の目的地はどうする?銀山とやらに向かうか、それとも……」
「っ……そうですね……」
軽い頭痛と目眩を感じた。
「?」
大したことない、大した事じゃない。
「……財産の方は、全て使い果たしているかも知れませんが、アリアは間違いなくそこに行っているはずです。何か……手掛かりがあるかも知れません。…….ただ、近くの街には大聖堂があった筈なので、恐らくアリアの手の者がいるでしょうが……ですが、行かない理由はありません、幸い、ここからの距離は、ここまでの道のりに比べればまだ近い方です」
私たちが用があるのは山であって、街ではない。用がなければ、入らなければ良い。それだけだ。
私には明確に目的がある、やらなければならない事がある……だから、私は。
◆◆◆◆◆◆◆◆
大聖堂のある街は、古くからイルツカステンと呼ばれる山で採れた銀によって栄え、そこを治めていた公家が途絶えても、衰退することなく発展していたらしい。
本来なら、帝国の直轄地として接収されているはずが、突然現れた公家の甥にあたる者が引き継ぎ、伯爵となったとの事だった。
ここまでは、修道院にあったこの土地の歴史書に書いてあること。
しかし、手紙と一緒になっていた資料によれば、その正体は祖母が手を回した結果の名義だけの存在で。
祖母の代に、聖女へ任されている領地の収入が私の時よりも多かった理由は、銀山と自分の領地の収入を平均化して、銀山の収入を隠していたからだった。
おまけに、銀山が枯れ始めていると報告し、死の直前にはその収入の多くを隣国へ横流ししていた。
恐ろしいことに、その受け取り先すら、隣国に持っている名義だけの存在で、亡命先の身分と財産というのは、こういうことだった。
優しいだけに見えた祖母は、なんだかんだいって強かだったらしい。
200年もの間、権謀術数が渦巻く帝国の中枢にいた人間なのだから、不思議ではないのだけれど……そう考えると、私が自分の無能に甘えて、なにもして来なかった事がよくわかってしまう。
もし仮に、レオンハルトがよく言っていたように、身を守る為の手段を講じようとしていたのなら、この手紙が無くとも、祖母の真意を理解することは出来たはずなのだから。
先代のような老獪ではない私は、周りの人間にしてみては都合のいいカモだったわけだ。
道中で祖母の経営の資料を眺め、ようやくレオンハルトの忠告の意味を理解していた。
……もしや彼は本当に私の身を心配して、ああ言った皮肉や、言葉を口にしていたのだろうか。
最終的には裏切ったというのに。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「入り口には着いたが……」
茂みから覗き込む銀山の入り口を、変異を抱えた鉱夫達が、何度も出入りしていく。
彼らの目は虚ろ、人形のような動きで作業を繰り返す姿は、ひどく不気味で、生き物というよりは、そういう道具のようにしか見えなかった。
「……獣よりも、人間性を失っているような気がするが……これが一般的な帝国民の姿かの?」
アトラは呆れたように言う。
「修道院に来ていた人達はもう少し……え……?」
ひたすら銀鉱石を運ぶ鉱夫の列の中に、いつか見た顔があった。
その顔は忘れるはずも無い。
「アルサメナ……?」
この世で唯一、血を分けた弟。
その中に彼の姿があった。
「知り合いか──」
「アルサメナっ!」
獣の問いかける声が、背後へ流れていく。
気が付けば、駆け出していた。
「……?」
鉱夫の列から引きずり出したアルサメナは、呆然とこちらを見ていた。
「アルサメナ!どうしてこんな……!」
「……どちらさま……ですか……?」
か細い声だった。
違う。全然違う声だった。
全く知らない誰かを見る目だった。
全然違う顔をしていた。
「……離してくれ……我々は銀を掘り続けなければならない……」
動き続けている鉱夫達は私に目もくれない。
「……ごめんなさい……人違いでした」
鉱夫は無言で去り、作業に戻っていった。
私を避けて鉱夫達はただ、歩いて行く。
何も起きていないように。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ここにいるのは、もうじゃ、だな。おそらく、ありあが、しえきしているのだろう」
「近くには居ないはず……」
「たんじゅんな、めいれいだけで、うごいているのだろう、われわれにもはんのうしない」
毛玉は隣を歩いていた鉱夫を突くが、避ける以外の反応は何もない。
彼の言う通り、ここにいる鉱夫達は生きた人間ではないらしい。
拍子抜けだった。侵入するのは酷く簡単だった。
これで情報も容易に……容易に……
「クララ?」
「……間違いないんです……あの子は……私の……人違いなんかじゃない……」
彼の血が吹き上がる瞬間が、目に浮かび上がり、繰り返し、繰り返し──
「大丈夫か……?」
獣さんの声に引き戻される。
「あ、いえ……はい……冷静さを欠いていました」
落ち着いて、私。
こんなところにアルサメナがいる訳ない。
あそこにいたのは別人。
何で私はこんなことを……そんなのわかりきってる。
今の私は、感情が抑えられなくなりつつある。
最近、怒りやすくなったり、獣の相手に焦り過ぎて我を失ったり。
急に力が抜けたり、あの時、魔力が上手く使えなかったのもお酒のせいじゃない。
ずっと不調なのは……そうだ。
私は多分──壊れ始めてるんだ。
0
お気に入りに追加
630
あなたにおすすめの小説
聖人の番である聖女はすでに壊れている~姉を破壊した妹を同じように破壊する~
サイコちゃん
恋愛
聖人ヴィンスの運命の番である聖女ウルティアは発見した時すでに壊れていた。発狂へ導いた犯人は彼女の妹システィアである。天才宮廷魔術師クレイグの手を借り、ヴィンスは復讐を誓う。姉ウルティアが奪われた全てを奪い返し、与えられた苦痛全てを返してやるのだ――
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
妹に裏切られた聖女は娼館で競りにかけられてハーレムに迎えられる~あれ? ハーレムの主人って妹が執心してた相手じゃね?~
サイコちゃん
恋愛
妹に裏切られたアナベルは聖女として娼館で競りにかけられていた。聖女に恨みがある男達は殺気立った様子で競り続ける。そんな中、謎の美青年が驚くべき値段でアナベルを身請けした。彼はアナベルをハーレムへ迎えると言い、船に乗せて隣国へと運んだ。そこで出会ったのは妹が執心してた隣国の王子――彼がこのハーレムの主人だったのだ。外交と称して、隣国の王子を落とそうとやってきた妹は彼の寵姫となった姉を見て、気も狂わんばかりに怒り散らす……それを見詰める王子の目に軽蔑の色が浮かんでいることに気付かぬまま――
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる