数十センチの勇気

こつぶ

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二人っきり

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「失礼します。」
「おーい、教材もってきたぞー。」



ガラガラガラ…




「あれ?誰も居ない。」
「ったく、人にもの頼んどいてどこいったんだあの担任は。」



「…あ、なんか机に置き手紙がある。」
「え、どれどれ?」



そう言って私が見つけたメモを覗き込む神山くん。
いちいち距離が近くて緊張してしまう。





【急な来客対応のため、ちょっと出てくる。
 少ししたら戻ってくるからちょっと待っててくれ。】





「なんだよ…来客対応ってことは、いつ戻ってくるか分かんねぇじゃん。」
「そだね…。神山くん先に帰っていいよ。」
「え、なんで?そしたら市村さん一人ぼっちになっちゃうよ?」
「ん、私は大丈夫。
 それにこの教材を運ぶの頼まれたのも私だったし。だから…。」
「いいの。俺がやりたくてやったことだから。
 最後まで責任もってお供します(笑)」

「でも…一緒に帰る友だちとか待ってない?」
「今日は誰とも約束してないから大丈夫なの。
 それとも、市村さん俺と二人なのもしかして嫌?」
「全然嫌じゃないよっ…ただ…。」
「ただ?」


「や、なんでもない。」
「また?さっきもそんなこと言って言おうとしてたことやめたでしょ?」
「ん、本当なんでもないからさ。」



そう言って目線をそらそうとする私を逃がすまいと
神山くんが不意に私との距離を縮める。
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