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第二章 心臓撃ち抜かれたわ
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しおりを挟む「リコ、愛華おつかれー。」
「さとちんじゃん。またサボり?」
「違うよー。
今日日直でいろいろ担任に頼まれて遅くなっちゃったんだよ。」
「そうなの?えらいじゃん。」
「でしょでしょ?…そんなことよか、今日は二人が指導係なんだ。
可愛い一年ちゃん、いじめちゃダメだよ?」
「あたしらがいじめると思ってるの?」
「んー、それはどうかな?(笑)ね、どうなの?一年ちゃん。」
「…え?!あ、ふ、二人とも優しいですよ!」
「返答に困ってんじゃん。(笑)」
「ち、違いますよー!
いきなり話しかけられたんで…びっくりしただけです!」
「そうなのー?あはは~かわいーね!」
「…!!!」
「もう、さとちん後輩で遊びすぎー。新菜顔真っ赤になってんじゃん。」
「えへへ~。俺ってば、魔性の男だからさ☆じゃあね、一年ちゃん♪」
さとち先輩の不意打ちの言葉に私の心臓がギュンとした。
恐るべし阿部慧。
お前は自分の可愛さを悪用して、ライバルである私のハートをも
つかもうとしてくるなんて…。絶対許さないんだからっ。
…けど、あれはマジで反則だわ…
なんて、悶々となっている所にさおちゃんが
ランニングを終えて近づいてきたので一部始終を話したら、
さおちゃんまで悶々となる始末。
さとち先輩の本性を目の当たりにして改めて敵の強さにたじろぎつつ、
先程さおちゃんにもらった優羽先輩のぬくもりがこもった
ピンポン玉(誇張)をぎゅっとポケットの中で握り、
それでも揺らがない優羽先輩への想いを固く心に誓ったのは、
額に汗がにじみ出る初夏の始まり。
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