途中下車のロマンス

こつぶ

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こんな状況で

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プルルルル…


電車の発車ベルが鳴り、ドアが閉まる。
あいにく電車にはそれなりに人が乗っていて、
座ることは出来ず二人でつり革にぶら下がる。

電車が揺れる度に先輩にぶつからないように力を入れていたため、
なんだか気持ちが悪くなってきてしまった。


「うぅ…先輩、ちょっと私次で降りますね…。」
「どした?気持ち悪い?」

「…ちょっと。」
「あとちょっとだから頑張れ。耐えれなかったら、俺にもたれていいよ?」

「…うぅ。」


優しい早坂先輩に申し訳ない思いでいっぱいの私。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、
無理しなくていいと言いながら私を抱き寄せてくれた。


「…っ、先輩?」
「いいよ、もたれてな。」

「…すみません。」
「気にすんな。」


車内が混みあっていたため、気にする人はいなかったが、
会社の人に見られてたらどうしようといらぬ心配をしていたら
余計頭を使って酔ってしまった。しばらくして、駅に到着。

一人で降りようしたら早坂先輩も一緒に降りてきた。


「先輩、私一人で大丈夫ですよ!」
「いや、お前危なっかしいから家まで送ってくよ。」
「えっ…。」


早坂先輩にお前と呼ばれてトキめいてしまう私。
しかし、それに反してもよおす吐き気。

先輩の前でこんな姿を見せるのは嫌だったけど、どうにも抑えることができず…。
半分涙目の私の背中をさすりながら、優しい顔で先輩が私を見つめてきた。
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