これを逃したらもう会えないと思った

見間違い…？

「そうなんだ。…北駅なんだけど、私もどこかまで行こうか？」
「いや、すれ違いになると嫌だから俺がそっち行くわ。待ってて。」
「うん、じゃあ着いたらまた連絡して。」
「はーい。」


そう言って電話は切れた。まさかこんなことになるなんて。
いつもより気合を入れてきてよかった。

ケイゴが来るまでの間、駅のトイレの鏡とにらめっこの私。
一応化粧もそれなりに直しておく。

ただ二人で会うだけなのにドキドキしてしまう。

しばらくして、再び私の携帯が鳴った。


「着いた。改札前にいるんだけど、どこ？」
「あ、ちょっと待って。行くね。」


そう言って改札を目指す私。
歩いていくと、さっき会ったはずなのに何倍もかっこよく見えるケイゴがいた。


「…あ、いた（笑）」


電話口と肉声でケイゴの声が聞こえた。私たちはお互い携帯を耳から離した。


「…ひさしぶり（笑）」
「さっき会ったばっかだよ（笑）」
「や、なんか…さっきよりもかわいく見えたからなんか緊張したわ（笑）」
「やだな～。お世辞はいいよ！」


照れ隠しにケイゴの腕を少し強く叩いた。

一瞬彼の顔が曇ったのは気のせいだろうか…。

私がハッとしているといつものケイゴの笑顔に戻った。