負けず嫌い

真鉄

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「や、嘘、今のノーカンで、あ、んんっ!」

  弁解する俺の言葉はすぐに喘ぎ声で掻き消えた。コーイチがにやにや笑いながら俺のちんぽを容赦なくしごき始めたのだ。ヤバい。ちんぽもケツも気持ちいい。こんなのすぐイッちまう。

「あっ、コーイチ、だめ、イク、イクイクイクっ……!」

  今度はコーイチの手は止まらない。押し出されるように発射した精子はまた俺の顎先まで飛び出した。二回目なんて物ともせず、大量の精子がまたびゅるびゅると俺のTシャツを白く汚していく。あー、やっぱり大量射精はたまらない。腰が抜けそうなほどの気持ちよさに俺の身体は弛緩した。コーイチが呆れたように笑う。

「早すぎだろ」
「うっせえ、気持ちいいのが悪……い……?」

  くちゅくちゅとちんぽをしごくコーイチの手は止まらない。しかも先端を握りしめて揉みくちゃにするのだからたまらない。俺は思わず制止の声をあげた。

「ちょ、コーイチ、イッたばっかだから、やめ」
「勝手にイクわ、早漏だわ……そんなちんぽにはおしおきしねえとさ」
「ほんと、やめ、やめて、マジでやめて!」

  握り込んだ亀頭を掌に押しあて、まるで磨くかのようにこしゅこしゅと擦られ、俺は身も世もなく悶えた。コーイチの胴体に絡んだ足をぎゅうぎゅうと絡ませ、手が意味もなく布団を搔く。強すぎる快感が脳を灼きつくす。ヤバい。何か、急におしっこしたくなってきた……。

「コーイチ、マジでやめろ、漏れっから……!」
「漏れるって何が?」
「……小便だよ馬鹿!」

  へー、と気のない返事とともに指の動きは更に加速した。腕を伸ばし、コーイチの手を握り締めたがやっぱり指は止まらない。いくら何でも大学生になって人前で漏らすのは如何なものか。漏らすまいと腹に力を込めると、ケツの中のコーイチの巨大ちんぽを食い締めてしまい、俺は強烈な快楽と切羽詰まった排泄欲の間でぼろぼろと泣いた。

「も、やだっ、ほんと漏れるから!  おしっこ漏れるからっ……!」
「バスタオル敷いてるし、ちょっとぐらいへーきへーき」

  俺は平気じゃねえ、と言いかけた時、ぴゅる、と一筋粘度のない熱い液体が腹と押さえ込んだ手を濡らしたのが分かった。ちんぽ自体はもう強すぎる刺激に感覚が麻痺してしまい、自分でも何がどうなっているのか分からない。まるで小便の止め方を忘れてしまったかのように、ぴゅっ、ぴゅっ、とコーイチの指の動きにあわせて透明なしぶきを撒き散らす。少量ずつとは言え、止まらないおもらしがたらたらと腹に沿って垂れ落ち、俺は真っ赤になった顔を濡れた手で隠した。汚ねえなと思う余裕すらなかった。

「……だから、やだって言ったじゃん……!  バカコーイチ……!」

  泣き言をぐずぐず喚く間もおもらしは止まらない。角度を変えたのか、しぶきが高いところからぱらぱらと落ちてくる音がする。きっとちんぽから噴水みたいに噴き出してるんだ。水芸じゃねえんだぞ。情けない。死にたい。

「これ、多分小便じゃねえわ。アンモニア臭くねえもん」

  子供みたいに掌で涙を拭う俺に、コーイチが静かな声で呼びかける。俺はついでに鼻水も拭い、未だに手を止めないコーイチに噛みつくように言った。

「じゃあ、っ、何だってんだよぉ!」
「潮じゃね?」

  潮って、女の子がまんこくちゅくちゅされて噴くアレ……?
  そう認識した途端、ぞわりと背筋を甘いものが駆け抜けていった。女の子みたいにちんぽ突っ込まれて、あんあんよがって、更に潮噴いてるのが他ならぬ大男の俺、という矛盾の塊が――ひどく興奮させたのだ。潮を噴くこと自体は、今のところ気持ちいいとか悪いとかは、ちんぽの感覚が麻痺するほどの強い刺激のせいで全然わからない。けれど、今までにない昂ぶりを覚えていることだけは確かだった。

  コーイチの指は止まらず、俺は泣きながら散々潮を噴かされた。Tシャツを白く汚していた精子を半分がた濯ぎ落としてしまうほどに。へろへろになっている俺に、上気した頬でコーイチが笑う。

「あー……ちんぽ食いちぎられそう。お前、潮噴くたびにぎゅんぎゅん締めつけてくるんだもん」
「し、らねえ……っ、んっ、んっ……!」
「……そろそろ俺も動くぞ」

  そう囁くと、ちんぽを握っていた手を離し、コーイチはがっちりと俺の腰を掴んだ。そしてゆっくりと自分の腰を揺すり始めた。俺の気持ちいいところにしっかりと食い込ませ、ごつごつと突き上げる。基本的には揺する程度、たまにほぼ先端だけを体内に残して引き出したり、食い込ませては「の」の字を描くように腰を回したりするのが小憎らしいぐらいに気持ちがいい。俺はもう口を閉じることも忘れ、身体の奥から湧き上がる快感に我を忘れて喘いだ。

「あっ、あっ、きもちいい、やばい、んっ」
「どうされんのが好きなの」
「ぜんぶ好き……、ぐりぐりきもちいい……!」
「これ?」
「ひ、あっ……!?」

  今まで突いていたよりも少し奥をぐい、とえぐられた瞬間、甘い電撃のような更に強い快感が身体中に流れるとともに、俺のちんぽの先と腹が急にあたたかくなった。俺は信じられない思いで目を見開く。ちんぽが勝手に潮を噴いたのだ。

「すげえ……」
「あっ、あっ、うそ、潮、やだ、とまんね……」

  ごつごつと腹の奥を突き上げられる度に、俺のちんぽはぴゅる、ぴゅる、と透明な雫をこぼした。まるで身体があまりの気持ちよさに泣いているかのようだった。熱く燃える下半身のコントロールがとろけるほどの快楽に暴走しているのだ。

「お前ほんと……エロいな」

  ぱちゅぱちゅと濡れた肌がぶつかりあう音の合間に、興奮に上擦ったコーイチの声が囁く。揺れる視界の中、雄の顔をしたコーイチと目があった。腰を掴んでいた手を離し、俺の足を肩に担ぎ上げる。そして、そのまま俺の脇の辺りに手をついた。

「ひぎっ……!」

  ぎらついたコーイチの目が真上から俺を見下ろしていた。俺の尻は天井を向き、コーイチの巨大ちんぽは今までの比じゃないほどに奥深くへと潜り込んだ。痛いとも気持ちいいともつかない電流のような強い刺激が俺の身体を襲った。俺の顔をまっすぐ見下ろしながら、手前の気持ちいいところと奥のびりびりするところを巨大ちんぽでずこずこと押しつぶす。ずるずると肛門をぶっといのが前後するのも原始的な快感があった。

「あっ、ん、コーイチ、きもちいい、すげ、あっ、あっ、あっ……」

  快楽に全力で身を任せ、涎を垂らして喘ぐ俺の指は無意味に布団を引っ掻いていた。その手をコーイチが取り、俺の股間へと導いた。そして熱っぽい声で囁く。

「俺、そろそろイキそうだから……お前も一緒にイこうぜ」
「ん……」

  俺は逆さまになって腹の辺りで揺れている自分の勃起を握り込んだ。何度かしごくと、すぐに潮とは違うぬめりをあふれさせ始める。ケツとはまたベクトルの違う気持ちよさ。ぬちゅぬちゅと音を立て、俺は夢中になって激しいストロークでちんぽをしごいた。

「……気持ちいいか?」
「きもちい……、ちんぽも、ケツも、やべえ……」

  コーイチの腰の動きも俺の手つきとシンクロするかのように激しくなる。じゅぶじゅぶと肛門を出入りする巨大ちんぽはビジュアルだけでも興奮をひどく掻き立てる。匂い、熱、音――感官の全てが俺の脳に快感を注ぎ込んでいた。張り出した玉が引き攣れる。

「ぐ、う……っ!」

  俺の尻たぶが揺れるほど強く叩きつけた後、コーイチが目を閉じ、低く唸った。ケツの中で巨大ちんぽがびくびくと震えているのがわかる。そして――。

「あっ、あっ、コーイチ、中、出て……っ!  ……イク、イクイクイグぅ……っ!」

  腹の奥で熱い何かが弾けた。コーイチに種付けされた――。その衝撃に押し出されるように、俺は三度目の精子を自らの腹の上にびゅるびゅると放っていた。ぽたりぽたりとコーイチの汗が顎の先から俺の首元に落ちて、垂れた。凄まじいまでの快楽の余韻が指先まで痺れさせていた。部屋の中に二人の荒い息が響く。

「これ、ヤバい……」
「うん……ヤバいな」

  どちらともなく呟き、どちらともなく答えた。ヤバい。この気持ちよさはヤバい。こんな強烈な中出しセックスを味わってしまったら、今までの回数以外はいたって普通なオナニーライフになんて戻れないかもしれない。……いや、しばらくはこのことを思い出してオカズにできるかもしれんけど。

「あ、う……」

  ずちゅり、と俺の中を支配していた巨大ちんぽが抜け出ていく。ほら、もう空っぽのケツの中が物足りなくて、身体の奥が疼いてたまらない。もっかい、ちんぽ挿れてケツの中ずこずこしてくんねえかなあ。俺は半勃ちでぶらんと揺れるコーイチの濡れ濡れちんぽを物欲しげに目で追う。

「ところで――」

  俺の足の間で胡座をかき、額の汗を拭いながら何だかドヤ顔でコーイチが笑った。何だその顔は。

「自分でちんぽしごいてイッたからお前の負けな」
「……あっ!」

  もうそんなこと気持ちよさのせいですっかり忘れてた。思わず俺は顔を覆う。やってしまった。理性をなくした俺のバカ。バカバカ。俺基準ではコーイチの手でイカされるのはノーカンだからいいが、流石に自分の手ではアウトだ。完全敗北だ。覆った指の間からちらりと見ると、コーイチはいつもの冷め切った顔でこっち眺めている。

「……まあでも、どうせお前払う金なんてねえんだろ?」
「ないです!」

  俺は満面の笑みで両手でサムズアップしながら爽やかに答えた。だから諦めろ。そう言いかけた時。

「じゃあ――身体で払えよ」

  俺の目をじっと見ながらコーイチが言った。その顔はいつもと変わらなかったが、低い声は少しだけ震えているような気がした。

「お前、もしかして――」

  俺は神妙な顔でコーイチを見つめた。


「実は天才なんじゃね……?」


  初めてコーイチの提案に感心したわ。これなら俺も楽しみながら借りを返せるしな。一挙両得で素晴らしい。などと俺は言語野を駆使して褒め称えたが、当のコーイチは何だか呆れた顔していた。何だよ褒めてんのに可愛げのないやつだなあ。

  何にせよ、しばらく泊まると母ちゃんには言ってあるから、当面は何の遠慮もなくコーイチとセックス三昧だ。やったぜ。俺は困難な仕事をやり遂げた漢の顔で天井を見上げ、ふと気づいた。

「これで残る問題は一つだけだな……」

 俺は呟いた。一つだけ、大きな難問が残っている。どうするべきか、俺には皆目見当がつかなかった。無傷で解決することはできまい。多少、心に傷は負うだろう。だがなるべくなら小さな被害で済ませたい……。

  何?  と探るようにこちらを見てくるコーイチに、俺は眉を下げて汚れに汚れたびしょびしょの胸元を指差した。

「このTシャツ、どうやって脱いだらいいと思う?」


(了)
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