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ごっこ遊び
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「い、挿れてほしいですっ! ご主人様のおっきいちんぽ、僕の奥まで挿れてくださいっ!」
悲鳴に似た声で男がねだる。後ろから見える耳から首筋にかけて、赤をとおりこしてどす黒く見えるほどに紅潮していた。ふん、と俺は鼻で笑うと、男の引き締まった細い腰を両手で掴んだ。
「腰持ち上げろ。じゃねえといつまでもちんぽ入んねえぞ」
「あっ……、はい……!」
一瞬の逡巡の後、男の腰がぐいと持ち上がった。ぷるぷると震えている。必死につま先立ちをしているのだ。くく、と俺の喉から笑いが漏れた。健気か貪欲か、今の彼にはどちらの言葉が似合うだろう。膨らんだ肉蕾の上を先端でぬるぬると前後する。掌の中で男の腰がひときわ大きく震えた。
「あっ、あ、入って、くる……! ご主人様のちんぽ、あっ、すご……」
まるで熱したナイフをバターの塊に突き刺すかのような感触だった。だがそれは途中までの話。先端を進めていくうちに、中太りした幹が肉の輪をぎちぎちに広げきり、分厚い入り口の筋肉が否応なくちんぽをしごきたてる。根元まで挿入する頃には俺のちんぽは完全勃起し、子どもの腕ほどもある屹立は男の臍の裏辺りまでみっちりと納まっていた。あたたかい泥のような媚肉が竿に走る太い血管の凹凸の隅々にまで絡みつくかのようだ。
「はっ、ぁ、はっ……」
これだけで既に男の呼吸は荒い。その肌はしっとりと汗で濡れていた。俺はまず、小さな抽送を開始した。入り口の肉がちんぽを引き出すに従って口を尖らせるさまを見るのが俺は好きだった。心持ち男の腹側をえぐるように下方をこそぐように突く。徐々に引き出す長さをあげていく。腫れた尻肉に俺の分厚い腰が打ちつける乾いた音。ときおり長めに引き出して勢いよく突き入れると、面白いほどに男の背がのけぞった。
ぬかるみがきゅうきゅうと断続的に締まる。尻肉が震え、皮膚の下で筋肉がうごめく。俺は赤く腫れた尻に軽く爪を立てた。それだけで男はひとつ身震いをした。
「おい、また勝手にイッたのか」
「ごめ、ごめ、なさ……。きもちくて、ちんぽきもちいから……」
まるで熱に浮かされているかのようにろれつも回らず、舌足らずに男は喘ぐ。俺は腰を掴んでいた片手を離し、ぎちぎちに広がった入口の上、尾骨付近に親指を這わせた。円を描くようにくすぐると、男の尻の筋肉が警戒するようにぎゅっと強く締まる。
「だめ、だめだそれ、も、漏れるから……」
ここは男自身も知らなかったささやかな性感帯のひとつだ。ここを擦り続けると強い尿意を覚えるのだと言う。男は緩く首を振っているが、これが芸人のフリのようなものであることは、俺は既に知っている。
「あぁ? お前が我慢すりゃあいいだけの話だろうが。さっさとガバまん締めろや」
「あっ、ほんとだめ、だめなんだよぅ……」
俺はこの、ご主人様宛の芝居じみたクソみたいな敬語が崩れ、ぐずる子どものように泣き言を言い出す瞬間が好きだ。囁くような早口で、いやいやするように首を振る。それでも俺は容赦なく擦り続けた。
「あー、だめだめだめだめ……っ!」
肉が吸いつく。入り口が強く締まる。きっと男の腹の奥では濃い尿意が渦巻いているのだろう。粗相してはならない、という強い理性。だが、俺は敢えてちんぽの最も太い部分で窄まろうとする肉の輪をこじ開けた。だめ、と男が無音で囁く。俺は無言で擦り続けた。
「あ、あ、あ、あ、あっ……」
ついに、ぶる、と男の身体が強く震えた。瞬間、ぱたぱたと何かが高級なラグを叩く。一条の小便が我慢の甲斐もなく漏れてしまったのだ。壁に腕を突き、深く俯いたまま、男は引き攣るような荒い息を吐いている。襟元から覗く首筋は湯気が出そうなほどに紅潮していた。指を尾骨から離すと、俺はその耳元に唇を寄せた。今、この男の脳髄は羞恥と快感でぐつぐつと煮えたぎっていることだろう。
「あーあ、小便漏らしやがった」
「ちが、僕はっ……だから言ったのに……」
「ほーん、お前がだらしねえお漏らしちんぽしてんのは俺のせいだって言いてえのか」
すん、と男の鼻が鳴った。泣いているのかもしれない。俺は繋がったままの男の身体を優しく抱きしめ――下腹に手を回すと、ちんぽの根元を強く押さえこんだ。腕の中で男が驚いたように身じろぐ。自由な方の手で尾骨さすりながら、俺は喉の奥で笑った。
「なら、こうすりゃ漏らせねえよな?」
「ひっ……!」
壁に額を擦りつけ男が息を呑む。俺はガニ股で腰を突き出す格好で、勢いよく抽送を開始した。もちろん、片手で男の尾骨くすぐり、片手で男のちんぽを塞いだまま。舌足らずなぐずり声が壁に反響し、俺の耳に甘く響いた。
「あ、あ、あ、あ、あ、やだ、やだやだやだ、またもれる、もらすから!」
「だから、俺が押さえてっから漏れねーよ」
感謝しな――そう言って、俺は腰の動きのピッチを早めた。俺が足を広げた分、男の踵はいつの間にか地についていたが、腰に渦巻く強すぎる尿意に集中していて気付いてもいないだろう。煮詰めた尿意と、腹の中の気持ちいいところを全部一気にこそがれる快感とで、腕の中の熱い身体は絶えず筋肉を収縮させ、がくがくと震えていた。
食いちぎりそうな勢いで肉門はちんぽを食い締めてくるが、中のぬかるみは震えわななきながら、真空状態のようにむちゅむちゅと俺に吸いつき、呑みこむ。二種類の痺れるような快感。俺は放出の誘惑に奥歯を噛み締めて耐えながら、男を攻め続けた。そして――。
「――っあ、あーっ、ひっ、あっ、ああっ……!」
ついに男は顎を跳ね上げ、がくがくと身体中を震えさせながら、一際高い泣き声をあげた。精液を搾りとろうとせんばかりに、うねる肉がちんぽに絡みつく。脳の血管がちぎれんばかりの男の絶頂が、粘膜を通して俺にフィードバックする。俺は獰猛に歯を剥き出し、最後の仕上げに取りかかった。
「――っらぁ……っ!」
「っ、っっっ……!!」
俺はまとわりつく媚肉を掻き分け、二度、三度と強く腰を打ちつけると――ちんぽを一気に引き抜いた。同時に男を押さえつけていた手も離す。瞬間、男は声も出せぬままへたりこみ、毛足の長いラグに膝をついた。四つ這いの体勢で呆然としていた男の身体が一瞬、ぶるりと強く震えた。
「……あ、っ……」
しょろ……、と密やかな水音がした。そして、解放の快楽と絶望に濡れた男の声が。男は壁に額をこすりつけるようにして啜り泣いているようだった。あがったままの腰、その谷間には俺に穿たれた肉穴が、赤い肉を覗かせたままぽっかりと開き切っていた。その足の間からは放尿を止められないちんぽが揺れている。それでも、男の尻の筋肉は間歇的に収縮し、ひくひくと揺れた。なお絶頂しているのだ。
「おい」
ようやくお漏らしが止まったのを見計らい、俺は男の腕を取って無理やり立ち上がらせた。目元と鼻先は赤く充血し、負けて尾を巻いた犬のように伏せ目のまま俺を見ようとしない。俺はひとつ鼻を鳴らすと、男の足首に絡みついていた少し濡れたスラックスから、靴が脱げないように足を引き抜かせ、ベッドへと突き倒した。
「っ、あ……!」
「泣いてる場合じゃねえだろ。俺はまだイッてねえんだよ。ひとりでお漏らしアクメキメてよがってんじゃねえぞ」
ベッドに片膝をつくと、俺は男の鼻先にがちがちに勃起したままのちんぽを見せつける。今までぐずっていたくせに、男の目は湯気が立たんばかりにばきばきにそびえ立つ屹立にすぐさま釘づけになっていた。濡れた薄い唇が開き、熱い溜め息が漏れた。
「物欲しげな顔しやがって。いいからさっさとまんこ開け」
「は、はい……」
首筋まで紅潮した男は、恥じらいの表情を見せながら己の脚を抱えこみ、俺に向かってそっと開いた。薄ピンク色の気取ったワイシャツを七部袖に腕まくりし、筋肉のラインが刻まれた腕には高級腕時計が光る。だが、いかにもジムで鍛えたようなしなやかな下半身は靴下と艶やかに光る気取った革靴のみという、アンバランスな姿。意志の強そうな大きな目は、既に先程の涙とは違う潤んだ光をたたえ、張りつめた会陰の下にはやわらかく開いた肉の蕾から、ぬめった赤い粘膜が覗いていた。
「がばがばになってんじゃねえか。挿れてやるからまんこ締めろ」
「あぅ……」
先端をくっつけただけで、入り口が軟体動物のように蠢き、食むように口づけてくる。期待に男の腰が揺れる。俺は男の手から靴を履いたままの脚を引き取ると、ゆっくりと腰を進めた。中太りした幹を飲みこみ皺一本なくなった肉門が、小さく前後する竿にしゃぶりつき、唇を尖らせる。言われたとおり、健気に締めつけているのだ。
ひとつ鼻で笑うと、俺は男の腰を掴み、最奥まで一気に突き上げた。甘い悲鳴とともに男の身体がのけぞる。陰毛の整えられた白く平らかな臍の下を撫でてみると、体内で脈打つ俺の肉槍の硬さがある気がした。
「あっ、は、ああっ、あっ、んんっ……!」
男の尻を自分の腰に乗せ、片手を後ろ手についた。もう片手で細い腰を鷲掴み、一定のリズムで突き上げを始める。下腹を内側から突き刺すように抉り続けると、男の声に艶が増す。彼はこれが好きだ。厳密に言えば、突き上げを続けた後の潮吹きが。
「あ、あ、あ、あ、漏れる、また漏れちゃう……っ!」
男の手が振動でふるふると揺れる自分のちんぽを掴んだ。だがそれはただのポーズでしかないことを俺は知っている。靴を履いたままの足が時折肌をかするが、気にせずに俺は腰を突き上げ続けた。男のちんぽの奥を内側から叩き続ける。
「あーっ、だめ、だめだめだめっ……!」
男が顎をのけぞらせると同時に、押し出されるように透明な液体がほとばしり、ワイシャツに濃いピンクの一条の線を描いた。さっきの失禁時とは違い、媚びるようなアヘ声でしきりに駄目だと言いながら、男は俺の腰の動きに合わせて何度も潮を吹き、その度に腹の中の俺を食い締める。小便を漏らすのは恥ずかしいのに潮を吹くのは好きの方が勝るらしい。俺にはその線引きがよく分からないが、男が気持ちいいのなら、まあそれでもいい。だが――。
「はーっ、はーっ、……?」
ひとりきり男が潮吹きを終えた後、俺はずろりとちんぽを先端まで引き出した。快感にとろけつつも不思議そうな顔をする男に俺は顔を寄せた。顔を傾け口づける。そうしないと体格が合わないからだ。
「――嫌がってんじゃねえよ。これは上下関係をお前に叩き込むためのキスなんだぜ。いいから口を開け」
唇をくっつけたまま俺は強く囁いた。ひそめられた男の眉根から目を逸らし、抵抗するように俺の肩口を押す掌を無視し、俺は男の薄い唇を食んだ。かすかに開いた唇の隙間から舌をねじ入れ、奥に引っこんだままの男の舌に絡ませる。
「んんっ……!」
それは抗議の声だろうか。だが知ったことではない。俺はあんな下手くそな演技じみた声でなく、男の素の声が聞きたいのだ。ぬるつく舌同士を絡ませ合い、上顎の窪みを舐め上げ、舌の裏をくすぐり、唇が腫れぼったくなるまで俺はキスし続けた。
いつしか男の反応に変化が訪れた。自分から舌を突き出し、絡め始めたのだ。目はとろんとした半開きで、俺のタンクトップを握っていた手は背中を撫で、首裏を這い、髪を梳く。先端だけを咥えこんだ肉門が、息づくように亀頭をやわやわとしゃぶっていた。ここだけ見れば、まるで恋人同士の交わりにすら思えるほどの――。
「んっ、っ、う……」
ついに男の喉がごくりと鳴った。どちらのものとも知れない唾液を嚥下している――。俺の胸が充足感でいっぱいになっていく。満足した俺は顔を離すと、男のワイシャツに手をかけ、一気にボタンを引きちぎった。ご褒美だ。
「うあ……っ!」
男の目が驚愕に見開かれ――そして恍惚にとろける。壁に当たったいくつかのボタンが硬い音をたてて転がり落ちていく。膝裏に掌を挿し入れ、男の肩口へと押しやった。相当無理な体勢なのだが、関節が柔軟なのか痛がるような素振りは見せない。むしろこれからのラストスパートへの期待に男の頬は紅潮し、誘うように薄い唇を舐めた。
「だらしねえザーメン便所、俺が躾けてやるよ。俺にしか届かねえところに種付けしてやる」
落ちた俺の影の中、男の目が期待に潤む。俺は肩に男の足首を乗せ、男の顔の横に肘をつくと、天を向いた尻に向かって一直線に肉槍を突き入れた。
「おっ……!」
男の唇から漏れたのは濁った声だった。俺は喜びに歯を剥くと、遠慮もなく、容赦もなく、ただ激しいストロークでぬかるみに切先を突き立て続けた。額を枕に押し当て、荒い息を吐きながら、乾いた音を立てて激しく肉と肉をぶつける。男の顔は俺の胸板に押し潰され、汗臭いタンクトップが恍惚の溜め息に湿っっていく。
「おぉっ、おっ、お、おっ、お……」
ぱんぱんと肉を打つ音と、ぶじゅぶじゅとぬめる肉を掻き回す音。俺の荒い息と、男のくぐもった嬌声。男は今、子供の腕ほどあるちんぽで奥深くを小突き回され、理性をも押し流す絶頂に次ぐ絶頂に震えるただの精液便所でしかない。そして、顔も見ず、男を抱き潰し、腰を打ちつけてただ射精するだけの俺は――。
「――イクぞっ! ザーメンぶちまけてやるからな!」
「ひっ――!」
痛いほど金玉がせりあがる。潰す勢いで腰を押しつけ、俺は震えた。我慢に我慢を重ねた大量の精液が尿道を駆け上がっていくのが分かる。焦げつくような放出の快感。俺の脳裏に、真っ赤な粘膜にぶち撒けられた白濁の幻想がよぎる。それともこれは強く閉じた瞼の裏に散る星なのだろうか。
抱き潰された男は濁った絶頂の声を漏らし続けていた。入ってはいけないところまで突き入れられたちんぽに種付けされた衝撃で、気絶寸前の激しい絶頂を迎えたらしい。だが、裏腹に男のアクメまんこは俺にきゅうきゅうと絡みつき、一滴も残すまいと搾り上げていた。
「――どんだけイクんだよ、このマゾ豚は」
大きな溜め息とともに捨て台詞を吐いた俺に、男はうっとりと満足げに笑った。
悲鳴に似た声で男がねだる。後ろから見える耳から首筋にかけて、赤をとおりこしてどす黒く見えるほどに紅潮していた。ふん、と俺は鼻で笑うと、男の引き締まった細い腰を両手で掴んだ。
「腰持ち上げろ。じゃねえといつまでもちんぽ入んねえぞ」
「あっ……、はい……!」
一瞬の逡巡の後、男の腰がぐいと持ち上がった。ぷるぷると震えている。必死につま先立ちをしているのだ。くく、と俺の喉から笑いが漏れた。健気か貪欲か、今の彼にはどちらの言葉が似合うだろう。膨らんだ肉蕾の上を先端でぬるぬると前後する。掌の中で男の腰がひときわ大きく震えた。
「あっ、あ、入って、くる……! ご主人様のちんぽ、あっ、すご……」
まるで熱したナイフをバターの塊に突き刺すかのような感触だった。だがそれは途中までの話。先端を進めていくうちに、中太りした幹が肉の輪をぎちぎちに広げきり、分厚い入り口の筋肉が否応なくちんぽをしごきたてる。根元まで挿入する頃には俺のちんぽは完全勃起し、子どもの腕ほどもある屹立は男の臍の裏辺りまでみっちりと納まっていた。あたたかい泥のような媚肉が竿に走る太い血管の凹凸の隅々にまで絡みつくかのようだ。
「はっ、ぁ、はっ……」
これだけで既に男の呼吸は荒い。その肌はしっとりと汗で濡れていた。俺はまず、小さな抽送を開始した。入り口の肉がちんぽを引き出すに従って口を尖らせるさまを見るのが俺は好きだった。心持ち男の腹側をえぐるように下方をこそぐように突く。徐々に引き出す長さをあげていく。腫れた尻肉に俺の分厚い腰が打ちつける乾いた音。ときおり長めに引き出して勢いよく突き入れると、面白いほどに男の背がのけぞった。
ぬかるみがきゅうきゅうと断続的に締まる。尻肉が震え、皮膚の下で筋肉がうごめく。俺は赤く腫れた尻に軽く爪を立てた。それだけで男はひとつ身震いをした。
「おい、また勝手にイッたのか」
「ごめ、ごめ、なさ……。きもちくて、ちんぽきもちいから……」
まるで熱に浮かされているかのようにろれつも回らず、舌足らずに男は喘ぐ。俺は腰を掴んでいた片手を離し、ぎちぎちに広がった入口の上、尾骨付近に親指を這わせた。円を描くようにくすぐると、男の尻の筋肉が警戒するようにぎゅっと強く締まる。
「だめ、だめだそれ、も、漏れるから……」
ここは男自身も知らなかったささやかな性感帯のひとつだ。ここを擦り続けると強い尿意を覚えるのだと言う。男は緩く首を振っているが、これが芸人のフリのようなものであることは、俺は既に知っている。
「あぁ? お前が我慢すりゃあいいだけの話だろうが。さっさとガバまん締めろや」
「あっ、ほんとだめ、だめなんだよぅ……」
俺はこの、ご主人様宛の芝居じみたクソみたいな敬語が崩れ、ぐずる子どものように泣き言を言い出す瞬間が好きだ。囁くような早口で、いやいやするように首を振る。それでも俺は容赦なく擦り続けた。
「あー、だめだめだめだめ……っ!」
肉が吸いつく。入り口が強く締まる。きっと男の腹の奥では濃い尿意が渦巻いているのだろう。粗相してはならない、という強い理性。だが、俺は敢えてちんぽの最も太い部分で窄まろうとする肉の輪をこじ開けた。だめ、と男が無音で囁く。俺は無言で擦り続けた。
「あ、あ、あ、あ、あっ……」
ついに、ぶる、と男の身体が強く震えた。瞬間、ぱたぱたと何かが高級なラグを叩く。一条の小便が我慢の甲斐もなく漏れてしまったのだ。壁に腕を突き、深く俯いたまま、男は引き攣るような荒い息を吐いている。襟元から覗く首筋は湯気が出そうなほどに紅潮していた。指を尾骨から離すと、俺はその耳元に唇を寄せた。今、この男の脳髄は羞恥と快感でぐつぐつと煮えたぎっていることだろう。
「あーあ、小便漏らしやがった」
「ちが、僕はっ……だから言ったのに……」
「ほーん、お前がだらしねえお漏らしちんぽしてんのは俺のせいだって言いてえのか」
すん、と男の鼻が鳴った。泣いているのかもしれない。俺は繋がったままの男の身体を優しく抱きしめ――下腹に手を回すと、ちんぽの根元を強く押さえこんだ。腕の中で男が驚いたように身じろぐ。自由な方の手で尾骨さすりながら、俺は喉の奥で笑った。
「なら、こうすりゃ漏らせねえよな?」
「ひっ……!」
壁に額を擦りつけ男が息を呑む。俺はガニ股で腰を突き出す格好で、勢いよく抽送を開始した。もちろん、片手で男の尾骨くすぐり、片手で男のちんぽを塞いだまま。舌足らずなぐずり声が壁に反響し、俺の耳に甘く響いた。
「あ、あ、あ、あ、あ、やだ、やだやだやだ、またもれる、もらすから!」
「だから、俺が押さえてっから漏れねーよ」
感謝しな――そう言って、俺は腰の動きのピッチを早めた。俺が足を広げた分、男の踵はいつの間にか地についていたが、腰に渦巻く強すぎる尿意に集中していて気付いてもいないだろう。煮詰めた尿意と、腹の中の気持ちいいところを全部一気にこそがれる快感とで、腕の中の熱い身体は絶えず筋肉を収縮させ、がくがくと震えていた。
食いちぎりそうな勢いで肉門はちんぽを食い締めてくるが、中のぬかるみは震えわななきながら、真空状態のようにむちゅむちゅと俺に吸いつき、呑みこむ。二種類の痺れるような快感。俺は放出の誘惑に奥歯を噛み締めて耐えながら、男を攻め続けた。そして――。
「――っあ、あーっ、ひっ、あっ、ああっ……!」
ついに男は顎を跳ね上げ、がくがくと身体中を震えさせながら、一際高い泣き声をあげた。精液を搾りとろうとせんばかりに、うねる肉がちんぽに絡みつく。脳の血管がちぎれんばかりの男の絶頂が、粘膜を通して俺にフィードバックする。俺は獰猛に歯を剥き出し、最後の仕上げに取りかかった。
「――っらぁ……っ!」
「っ、っっっ……!!」
俺はまとわりつく媚肉を掻き分け、二度、三度と強く腰を打ちつけると――ちんぽを一気に引き抜いた。同時に男を押さえつけていた手も離す。瞬間、男は声も出せぬままへたりこみ、毛足の長いラグに膝をついた。四つ這いの体勢で呆然としていた男の身体が一瞬、ぶるりと強く震えた。
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「っ、あ……!」
「泣いてる場合じゃねえだろ。俺はまだイッてねえんだよ。ひとりでお漏らしアクメキメてよがってんじゃねえぞ」
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「物欲しげな顔しやがって。いいからさっさとまんこ開け」
「は、はい……」
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「がばがばになってんじゃねえか。挿れてやるからまんこ締めろ」
「あぅ……」
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「あっ、は、ああっ、あっ、んんっ……!」
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「んっ、っ、う……」
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「うあ……っ!」
男の目が驚愕に見開かれ――そして恍惚にとろける。壁に当たったいくつかのボタンが硬い音をたてて転がり落ちていく。膝裏に掌を挿し入れ、男の肩口へと押しやった。相当無理な体勢なのだが、関節が柔軟なのか痛がるような素振りは見せない。むしろこれからのラストスパートへの期待に男の頬は紅潮し、誘うように薄い唇を舐めた。
「だらしねえザーメン便所、俺が躾けてやるよ。俺にしか届かねえところに種付けしてやる」
落ちた俺の影の中、男の目が期待に潤む。俺は肩に男の足首を乗せ、男の顔の横に肘をつくと、天を向いた尻に向かって一直線に肉槍を突き入れた。
「おっ……!」
男の唇から漏れたのは濁った声だった。俺は喜びに歯を剥くと、遠慮もなく、容赦もなく、ただ激しいストロークでぬかるみに切先を突き立て続けた。額を枕に押し当て、荒い息を吐きながら、乾いた音を立てて激しく肉と肉をぶつける。男の顔は俺の胸板に押し潰され、汗臭いタンクトップが恍惚の溜め息に湿っっていく。
「おぉっ、おっ、お、おっ、お……」
ぱんぱんと肉を打つ音と、ぶじゅぶじゅとぬめる肉を掻き回す音。俺の荒い息と、男のくぐもった嬌声。男は今、子供の腕ほどあるちんぽで奥深くを小突き回され、理性をも押し流す絶頂に次ぐ絶頂に震えるただの精液便所でしかない。そして、顔も見ず、男を抱き潰し、腰を打ちつけてただ射精するだけの俺は――。
「――イクぞっ! ザーメンぶちまけてやるからな!」
「ひっ――!」
痛いほど金玉がせりあがる。潰す勢いで腰を押しつけ、俺は震えた。我慢に我慢を重ねた大量の精液が尿道を駆け上がっていくのが分かる。焦げつくような放出の快感。俺の脳裏に、真っ赤な粘膜にぶち撒けられた白濁の幻想がよぎる。それともこれは強く閉じた瞼の裏に散る星なのだろうか。
抱き潰された男は濁った絶頂の声を漏らし続けていた。入ってはいけないところまで突き入れられたちんぽに種付けされた衝撃で、気絶寸前の激しい絶頂を迎えたらしい。だが、裏腹に男のアクメまんこは俺にきゅうきゅうと絡みつき、一滴も残すまいと搾り上げていた。
「――どんだけイクんだよ、このマゾ豚は」
大きな溜め息とともに捨て台詞を吐いた俺に、男はうっとりと満足げに笑った。
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Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
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