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闘争か逃走か
5(了)
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かたりと扉が開き、テオドアは即座に目を覚ました。スヴェンのベッドに寝転がり、適当に待っていたら本格的に寝入ってしまったようだ。
「先生? 随分と遅かったな」
部屋の中はすっかり月明かりに沈んでいた。枕元の灯りに火を入れようと手を伸ばした時、胸元にどさりと細身の男が飛び込んできた。がちゃ、とガラス瓶と固い床が触れ合う音が薄闇に響く。
「ちょ、せんせ……い……?」
甘い香りが鼻腔を突いた。出がけの薄甘い匂いなど可愛らしく思えるほどに濃厚で、鋭敏な鼻腔はその奥に汗と雄の性臭がわだかまっているのを嗅ぎ分ける。スヴェンは汚れた眼鏡を脇に投げ捨てると、何かを言いかけたテオドアの厚い唇に噛みつくように口づけた。
「んっ、せん、せ……」
「は、テオ……、ん、ふ……」
口内を舐るスヴェンの舌は熱く、甘かった。むらむらと性欲を掻き立てられ、分厚い身体の上に乗り上げたスヴェンの細い身体を抱き締めると、積極的に舌を絡ませる。ざらつき、ぬめる舌を吸い上げながら、身体に回した手を服の中に侵入させた。
熱く滑らかな皮膚を掌で撫で、ふと気づく。何故既にベストの前が開き、シャツの裾が出ているのか。いつもきっちりと几帳面に着込むスヴェンらしくない。しかし、当のスヴェンは夢中になって舌を絡ませながら、既に熱く張り詰めた股間をせわしなくテオドアの固い腹筋に擦りつけていた。
「ん、ちょ、先生……。どうした。何があった」
すがりつくスヴェンの二の腕を掴み、半身を起こさせる。乱れた前髪の下で、濡れたスヴェンの瞳が烱々と光っていた。スヴェンはかすかに笑みながら腰をいやらしく揺らめかせ、テオドアの股間を薄い尻肉で刺激する。
「欲しいんだ……今すぐ、奥まで、お前が」
熱っぽい囁きとともにスヴェンの細い指がテオドアの腰紐を解き、ズボンの中へと入り込んだ。半ば勃ち上がった巨竿に指を絡ませ、しごき上げる。スヴェンのただならぬ様子に、テオドアは困惑しつつも黙って自ら衣服を脱いだ。
「ああ……」
寝台脇の窓から射し込む月明かりの下、そそり立つテオドアの巨根にうっとりと頬を寄せ、スヴェンが愛おしげに溜息をついた。限界まで口を開くと喉奥まで飲み込み、じゅるじゅるといやらしい音を立てて激しく吸い付く。生い茂る下生えに鼻先を埋めて喉を詰まらせる雄竿を堪能するスヴェンの黒髪を撫でながらテオドアは遠慮がちに問うた。
「なあ、先生、ほんとどうしたんだ。何があったんだよ」
「…………」
スヴェンは何も言わず、完全に勃ち上がった巨竿をずるりと口から吐き出すと、手早く下だけ脱ぎ捨て、テオドアの太い腰に跨った。先端がひたりと蕾にあてがわれる。
「先生、まだ馴らしてねえだろ、潤滑油も仕込んでねえし……。幾ら何でも裂けちまう――」
「……あ、んんっ……!」
テオドアの心配をよそに、柔らかに熟れた肛孔は巨大な先端を容易く飲み込んだ。スヴェンの中は驚くほど熱く、異様にぬめっていた。雄竿を半ばほど飲み込んだスヴェンがテオドアの体側に手をつき、身を屈めて顔を覗き込む。
月明かりに照らされたスヴェンは泣きそうな顔で笑っていた。
「……汚れたままですまない。抱かれたんだが、どうしても物足りなくて」
「――何?」
「私が採取していたメイテイカズラの分泌液が彼らに見つかって、飲まされて――抱いてもらったんだ。……ギルドマスターと、依頼主に」
「――っ!」
テオドアはスヴェンの薄い尻を掴むと腰を叩きつけた。結腸のくびれを突き抜け、スヴェンが望んだ最奥に先端を食い込ませる。熱くとろけた媚肉は歓喜に震え、スヴェンは声を上げることもできないほどの絶頂に身体をびくびくと跳ねさせた。
「……っ、っ……!」
「……そう言うのはな! 犯されたっていうんだ!」
熱い胸板に顔を埋めてすがりつくスヴェンの細い身体を抱きすくめると、テオドアは激しい抽送を開始した。張り出したエラが媚肉をえぐり、肉襞に絡まった余所者の種を掻き出す。ぶちゅぶちゅといやらしい音を立て、大量の白濁液がどろりと竿を伝っていった。
「だが、っ、私は、欲しいと……言ってしまった」
「だから合意の上で抱かれたって言いたいのか!?」
下から突き上げられながら、スヴェンはがくがくと首肯した。テオドアは腹の底からむらむらと湧き上がる感情に任せて腰を叩きつけた。
「だったら、何でそんな泣きそうな顔してんだ! 嫌だったからだろ!?」
「わ、私は……」
その言葉で初めて気づいたようにスヴェンは自分の顔を撫で、途方に暮れた子供の表情でテオドアを見つめた。自分につけられた傷すら分からないのか。頭はいいくせに人としては愚かすぎる。
凌辱者が許せなかった。人道的に? 否、己の所有物に手を出したことにだ。最初はテオドアもスヴェンの不調に付け込んだのだから、その点に関してとやかく言える立場にはない。だが、排他的なスヴェンが己だけに曝け出す、甘え、求める仕種にテオドアは今や完全に陥落していた。腕の中で思う存分甘えさせて、自分だけのものにしたかった。それを他人が勝手に暴き、傷つけたのだ。許せるわけがない。
胸を焦がすほどの独占欲に掻き立てられ、薄い尻肉を掴んで熟れた媚肉を激しく掘り返す。直腸内に残っていた他人の残滓を粗方掻き出すと、テオドアはスヴェンの最奥に身を納め、溜息をついた。
「テオ……、私は……」
「……今は何も言わなくていい。抱いて欲しいんだろ。アンタが満足するまで抱いてやる」
「ん……」
先ほどまでの激しさとうって変わった優しい囁きに、スヴェンは数度目を瞬かせると安心したようにこくりと頷き、逞しい胸板に熱い頬を擦り付けた。互いの心音を感じ取りながら、テオドアはほとんど出し入れ自体はせずに細かく腰を揺すった。激しい抽送よりも、噛み合った最奥を揺すられるのが好きなことをテオドアは知っている。
「は、あ、あっ、あん、あっ……」
か細くとろけた喘ぎ声をあげるスヴェンの髪を無骨な指で梳き、着たままだったベストを取り去る。シャツの中に手を差し入れ、しっとりと濡れた背中を撫でてやると、雄膣がひくひくと巨竿を締め付けた。
「シャツ、脱いで」
「ん……」
テオドアの囁きに、スヴェンは億劫そうに身を起こすと、震える手で皺の寄ったシャツのボタンを外していく。月光に照らされたスヴェンのしっとりとした白い肌がテオドアの目には異様に艶やかに映った。細い脇腹を辿り、ツンと勃ち上がった胸の尖りを指先で優しく撫でる。スヴェンが熱く震える溜息をついた。
「先生、好きなように動いてみなよ」
「あ……、うん……」
とろんと目を潤ませ、テオドアの囁きにスヴェンは素直に頷いた。発達した胸板に手を置き、緩やかに腰を揺すり始める。感じ入るようにうっとりと目を閉じると、結腸のくびれでテオドアの張り出したエラを舐め回し、時折大きく引き出しては最奥に納める動きを繰り返した。
「テオ……、きもちいい、あ、ン、きもちいいよう……」
「俺も気持ちいいぜ、先生……」
鼻にかかった甘い歓喜の声をあげて細い身体をくねらせるスヴェンがひどく愛おしく思えて、テオドアは身を起こして口づけた。それに応えてスヴェンの腕が太い首にすがりつき、燃えるような赤毛を掻き回す。
「テオ、抱き締めてくれ……」
唇を押し付けたままくぐもった声でスヴェンが囁いた。テオドアは一つ口づけると望みどおり強く抱き締める。しばらく甘い舌を互いに求めあった後、腰を揺すりながら姿勢を変え、スヴェンを寝台に押し付けた。
「あぁ……」
感嘆とも安堵ともつかない溜息をつき、スヴェンがかすかに笑う。布団とテオドアの分厚い身体に挟まれると繋ぎ止められているようで安心する、と以前スヴェンが言っていたことを思い出し、テオドアは愛しさに目を細めた。反り返った細い腰を抱き締めながら突き上げるように腰を動かしてやると、何かの予兆を感じてスヴェンが泣き声をあげ始める。
「あ、ン、それ、だめ……また、もれる……」
ぐずるような声音にテオドアはにやりと笑うと、更に媚肉を突き上げた。その度にスヴェンの薄い下腹に乗った屹立がふるふると震えた。
「いいじゃねえか、濡れたって構いやしねえ」
「あ、あ、だめ、もれる……っ!」
ぴゅう、と震える鈴口から透明な液体が何度もほとばしり、二人の胸や腹をしとどに濡らしていく。漏らす度に肉襞が巨竿を締め付け、きゅんきゅんと震えた。頬を紅潮させ、羞恥に身悶えながら絶頂に潮を吹くスヴェンの痴態はテオドアにいつも深い満足感を与えた。
「せんせ、そろそろ俺もイキそうだ……」
そう耳元で囁き、息も絶え絶えなスヴェンを太い腕で抱き締め直した。潮に濡れた皮膚を通して互いの熱が伝わる。細い脚を抱え上げて最奥までずっぽりと巨根を収めると、テオドアは結腸のくびれをめくるように腰を動かし始めた。ぐちゅぐちゅと粘つく音を立てて先端に吸い付く媚肉を小突き、肉の隘路を押し開く。スヴェンの腕が首に巻きつき、口づけをねだった。
「ん、ふ、奥に出して、テオ……、いっぱい欲しい……」
「……言われなくても」
荒い息をつきながら、互いに噛みつくように口づけ合い、腰をぶつけ合う。陰嚢が引き攣れるように迫り上がり、尿道を熱い弾丸が駆け上がっていくのが分かった。ぐちゅりといやらしい音を立てて最奥に巨大な砲身を突き立てると、テオドアは思うさま自らを解き放った。
「あ、ん、ん、んんぅ……っ!」
熱い子種がびゅうびゅうと激しい勢いで最奥を灼き、スヴェンは口づけ合いながら細い身体をびくびくとしならせた。細い足がテオドアの腰にしっかりと巻きつき、余すことなく放出を終えた巨竿に、あたかも次をねだるかのように媚肉が絡みつく。固く抱き締め合ったまま深く口づけ、テオドアはいつの間にかスヴェンの濃厚な甘さが薄れていることに気づいた。愛しげに目を細めると、スヴェンの味のする唾液をすすり、そのまましばらく舌を絡ませ合った。
「……ありがとう、テオ」
口づけの合間にスヴェンが囁いた。細い指がうっすらと生えたテオドアの頬髭を優しく撫でる。
「最後に、お前に抱かれて嬉しかった」
「――最後って何だよ」
物騒な言葉に眉根を寄せたテオドアの顔に一瞬きょとんと目を見開き、意図を察したスヴェンが首を振り、かすかに笑った。
「……明日にも、このギルドを抜けるつもりでな」
「……尻尾巻いて逃げんのかよ」
「――ああ、そうだ。逃げる。金になるなら何でもいいなんて拝金主義には賛同できない」
メイテイカズラがどうやらまだあるらしい、とスヴェンが小さく呟いた。知っている。ギルドマスターにそのことを伝えてしまったのはテオドア自身なのだから。スヴェンにそのことを黙っていたのは多少の罪悪感があったせいでもある。
「彼らは、変異種を確保し、栽培して増やすつもりだと言っていた。そんなのは――許されることではない」
スヴェンはそう言うと、辛そうに柳眉をひそめた。
「それに――ギルドマスターたちと二度と顔を合わせたくない」
固く目を閉じ、細い指が強くシーツを掴んだ。スヴェンはテオドアよりも昔からこのギルドに所属していた。十代の頃から世話になっていると聞いている。そんな男に犯されるなど、心情的には裏切り以外の何物でもないだろう。指先が白くなるほど強く握られたスヴェンの手を目にし、テオドアは腹を括って一つ頷いた。
「俺も抜ける」
その言葉に驚いたようにスヴェンが目を見開いた。どうして、と唇が動く。
「……私たちは別に、恋人でも何でもない。お前が私に付き合う義理なんてどこにも――」
「好きだ、スヴェン」
耳元に囁かれた言葉に、雄膣が挿れっぱなしだった半勃ちの肉竿をきゅう、と締め付けた。腕の中の細い身体の体温が一気に上がる。まるで子供に戻ったかのような飾り気のなさすぎる自分の言葉に照れていたテオドアだったが、言葉などよりもよほど分かりやすいスヴェンの反応に気を良くし、くつくつと喉で笑った。
「ついて来いって言えよ」
ぬちぬちとかすかに腰を揺すりながら囁く。燃える赤毛を細い指が掻き混ぜ、太い首に熱い頬が押し付けられた。
「……あの人たちに犯されている間、ずっと、お前のことを考えていた」
お前のことが恋しくてたまらなかった。スヴェンが囁く。
「――私に、ついて来て欲しい」
「勿論だ」
テオドアは燃えるように熱い痩身を抱き締め、こめかみに柔らかく口づけた。頬を押し当てられた首が熱い雫でかすかに濡れた。
「……けどよ、何もせずに逃げ出すなんて癪だな」
テオドアの固い声にスヴェンが身を離す。我が事のように目に剣呑な光を湛えた不機嫌な顔に愛しさを感じながら、宥めるように細い指で優しく撫でた。
「暴力は駄目だ。……だが、一つ考えがある。時間もないし、難しいと思うが、頼まれてくれるか?」
スヴェンの説明を苦み走った表情で聞き始めたテオドアだったが、終わる頃にはいかにも愉快そうな笑顔に変わっていた。
「いいぜ。頼まれた。アンタが寝てるうちに必ずやってやる。……但し、もっかい抱いてからな」
翌日、組織されたメイテイカズラの捜索隊が森で見つけた物は、切り落とされて散らばった大量の蔦と溶けかけた何かの骨の欠片、それと迷子のヤギだけで、範囲を広げて森の隅々まで探したが、目当てのものは見つからなかった。
そして、部屋にほとんどの荷物を残したまま剣士と薬学者が、いつの間にかギルドから姿を消していた。
(了)
「先生? 随分と遅かったな」
部屋の中はすっかり月明かりに沈んでいた。枕元の灯りに火を入れようと手を伸ばした時、胸元にどさりと細身の男が飛び込んできた。がちゃ、とガラス瓶と固い床が触れ合う音が薄闇に響く。
「ちょ、せんせ……い……?」
甘い香りが鼻腔を突いた。出がけの薄甘い匂いなど可愛らしく思えるほどに濃厚で、鋭敏な鼻腔はその奥に汗と雄の性臭がわだかまっているのを嗅ぎ分ける。スヴェンは汚れた眼鏡を脇に投げ捨てると、何かを言いかけたテオドアの厚い唇に噛みつくように口づけた。
「んっ、せん、せ……」
「は、テオ……、ん、ふ……」
口内を舐るスヴェンの舌は熱く、甘かった。むらむらと性欲を掻き立てられ、分厚い身体の上に乗り上げたスヴェンの細い身体を抱き締めると、積極的に舌を絡ませる。ざらつき、ぬめる舌を吸い上げながら、身体に回した手を服の中に侵入させた。
熱く滑らかな皮膚を掌で撫で、ふと気づく。何故既にベストの前が開き、シャツの裾が出ているのか。いつもきっちりと几帳面に着込むスヴェンらしくない。しかし、当のスヴェンは夢中になって舌を絡ませながら、既に熱く張り詰めた股間をせわしなくテオドアの固い腹筋に擦りつけていた。
「ん、ちょ、先生……。どうした。何があった」
すがりつくスヴェンの二の腕を掴み、半身を起こさせる。乱れた前髪の下で、濡れたスヴェンの瞳が烱々と光っていた。スヴェンはかすかに笑みながら腰をいやらしく揺らめかせ、テオドアの股間を薄い尻肉で刺激する。
「欲しいんだ……今すぐ、奥まで、お前が」
熱っぽい囁きとともにスヴェンの細い指がテオドアの腰紐を解き、ズボンの中へと入り込んだ。半ば勃ち上がった巨竿に指を絡ませ、しごき上げる。スヴェンのただならぬ様子に、テオドアは困惑しつつも黙って自ら衣服を脱いだ。
「ああ……」
寝台脇の窓から射し込む月明かりの下、そそり立つテオドアの巨根にうっとりと頬を寄せ、スヴェンが愛おしげに溜息をついた。限界まで口を開くと喉奥まで飲み込み、じゅるじゅるといやらしい音を立てて激しく吸い付く。生い茂る下生えに鼻先を埋めて喉を詰まらせる雄竿を堪能するスヴェンの黒髪を撫でながらテオドアは遠慮がちに問うた。
「なあ、先生、ほんとどうしたんだ。何があったんだよ」
「…………」
スヴェンは何も言わず、完全に勃ち上がった巨竿をずるりと口から吐き出すと、手早く下だけ脱ぎ捨て、テオドアの太い腰に跨った。先端がひたりと蕾にあてがわれる。
「先生、まだ馴らしてねえだろ、潤滑油も仕込んでねえし……。幾ら何でも裂けちまう――」
「……あ、んんっ……!」
テオドアの心配をよそに、柔らかに熟れた肛孔は巨大な先端を容易く飲み込んだ。スヴェンの中は驚くほど熱く、異様にぬめっていた。雄竿を半ばほど飲み込んだスヴェンがテオドアの体側に手をつき、身を屈めて顔を覗き込む。
月明かりに照らされたスヴェンは泣きそうな顔で笑っていた。
「……汚れたままですまない。抱かれたんだが、どうしても物足りなくて」
「――何?」
「私が採取していたメイテイカズラの分泌液が彼らに見つかって、飲まされて――抱いてもらったんだ。……ギルドマスターと、依頼主に」
「――っ!」
テオドアはスヴェンの薄い尻を掴むと腰を叩きつけた。結腸のくびれを突き抜け、スヴェンが望んだ最奥に先端を食い込ませる。熱くとろけた媚肉は歓喜に震え、スヴェンは声を上げることもできないほどの絶頂に身体をびくびくと跳ねさせた。
「……っ、っ……!」
「……そう言うのはな! 犯されたっていうんだ!」
熱い胸板に顔を埋めてすがりつくスヴェンの細い身体を抱きすくめると、テオドアは激しい抽送を開始した。張り出したエラが媚肉をえぐり、肉襞に絡まった余所者の種を掻き出す。ぶちゅぶちゅといやらしい音を立て、大量の白濁液がどろりと竿を伝っていった。
「だが、っ、私は、欲しいと……言ってしまった」
「だから合意の上で抱かれたって言いたいのか!?」
下から突き上げられながら、スヴェンはがくがくと首肯した。テオドアは腹の底からむらむらと湧き上がる感情に任せて腰を叩きつけた。
「だったら、何でそんな泣きそうな顔してんだ! 嫌だったからだろ!?」
「わ、私は……」
その言葉で初めて気づいたようにスヴェンは自分の顔を撫で、途方に暮れた子供の表情でテオドアを見つめた。自分につけられた傷すら分からないのか。頭はいいくせに人としては愚かすぎる。
凌辱者が許せなかった。人道的に? 否、己の所有物に手を出したことにだ。最初はテオドアもスヴェンの不調に付け込んだのだから、その点に関してとやかく言える立場にはない。だが、排他的なスヴェンが己だけに曝け出す、甘え、求める仕種にテオドアは今や完全に陥落していた。腕の中で思う存分甘えさせて、自分だけのものにしたかった。それを他人が勝手に暴き、傷つけたのだ。許せるわけがない。
胸を焦がすほどの独占欲に掻き立てられ、薄い尻肉を掴んで熟れた媚肉を激しく掘り返す。直腸内に残っていた他人の残滓を粗方掻き出すと、テオドアはスヴェンの最奥に身を納め、溜息をついた。
「テオ……、私は……」
「……今は何も言わなくていい。抱いて欲しいんだろ。アンタが満足するまで抱いてやる」
「ん……」
先ほどまでの激しさとうって変わった優しい囁きに、スヴェンは数度目を瞬かせると安心したようにこくりと頷き、逞しい胸板に熱い頬を擦り付けた。互いの心音を感じ取りながら、テオドアはほとんど出し入れ自体はせずに細かく腰を揺すった。激しい抽送よりも、噛み合った最奥を揺すられるのが好きなことをテオドアは知っている。
「は、あ、あっ、あん、あっ……」
か細くとろけた喘ぎ声をあげるスヴェンの髪を無骨な指で梳き、着たままだったベストを取り去る。シャツの中に手を差し入れ、しっとりと濡れた背中を撫でてやると、雄膣がひくひくと巨竿を締め付けた。
「シャツ、脱いで」
「ん……」
テオドアの囁きに、スヴェンは億劫そうに身を起こすと、震える手で皺の寄ったシャツのボタンを外していく。月光に照らされたスヴェンのしっとりとした白い肌がテオドアの目には異様に艶やかに映った。細い脇腹を辿り、ツンと勃ち上がった胸の尖りを指先で優しく撫でる。スヴェンが熱く震える溜息をついた。
「先生、好きなように動いてみなよ」
「あ……、うん……」
とろんと目を潤ませ、テオドアの囁きにスヴェンは素直に頷いた。発達した胸板に手を置き、緩やかに腰を揺すり始める。感じ入るようにうっとりと目を閉じると、結腸のくびれでテオドアの張り出したエラを舐め回し、時折大きく引き出しては最奥に納める動きを繰り返した。
「テオ……、きもちいい、あ、ン、きもちいいよう……」
「俺も気持ちいいぜ、先生……」
鼻にかかった甘い歓喜の声をあげて細い身体をくねらせるスヴェンがひどく愛おしく思えて、テオドアは身を起こして口づけた。それに応えてスヴェンの腕が太い首にすがりつき、燃えるような赤毛を掻き回す。
「テオ、抱き締めてくれ……」
唇を押し付けたままくぐもった声でスヴェンが囁いた。テオドアは一つ口づけると望みどおり強く抱き締める。しばらく甘い舌を互いに求めあった後、腰を揺すりながら姿勢を変え、スヴェンを寝台に押し付けた。
「あぁ……」
感嘆とも安堵ともつかない溜息をつき、スヴェンがかすかに笑う。布団とテオドアの分厚い身体に挟まれると繋ぎ止められているようで安心する、と以前スヴェンが言っていたことを思い出し、テオドアは愛しさに目を細めた。反り返った細い腰を抱き締めながら突き上げるように腰を動かしてやると、何かの予兆を感じてスヴェンが泣き声をあげ始める。
「あ、ン、それ、だめ……また、もれる……」
ぐずるような声音にテオドアはにやりと笑うと、更に媚肉を突き上げた。その度にスヴェンの薄い下腹に乗った屹立がふるふると震えた。
「いいじゃねえか、濡れたって構いやしねえ」
「あ、あ、だめ、もれる……っ!」
ぴゅう、と震える鈴口から透明な液体が何度もほとばしり、二人の胸や腹をしとどに濡らしていく。漏らす度に肉襞が巨竿を締め付け、きゅんきゅんと震えた。頬を紅潮させ、羞恥に身悶えながら絶頂に潮を吹くスヴェンの痴態はテオドアにいつも深い満足感を与えた。
「せんせ、そろそろ俺もイキそうだ……」
そう耳元で囁き、息も絶え絶えなスヴェンを太い腕で抱き締め直した。潮に濡れた皮膚を通して互いの熱が伝わる。細い脚を抱え上げて最奥までずっぽりと巨根を収めると、テオドアは結腸のくびれをめくるように腰を動かし始めた。ぐちゅぐちゅと粘つく音を立てて先端に吸い付く媚肉を小突き、肉の隘路を押し開く。スヴェンの腕が首に巻きつき、口づけをねだった。
「ん、ふ、奥に出して、テオ……、いっぱい欲しい……」
「……言われなくても」
荒い息をつきながら、互いに噛みつくように口づけ合い、腰をぶつけ合う。陰嚢が引き攣れるように迫り上がり、尿道を熱い弾丸が駆け上がっていくのが分かった。ぐちゅりといやらしい音を立てて最奥に巨大な砲身を突き立てると、テオドアは思うさま自らを解き放った。
「あ、ん、ん、んんぅ……っ!」
熱い子種がびゅうびゅうと激しい勢いで最奥を灼き、スヴェンは口づけ合いながら細い身体をびくびくとしならせた。細い足がテオドアの腰にしっかりと巻きつき、余すことなく放出を終えた巨竿に、あたかも次をねだるかのように媚肉が絡みつく。固く抱き締め合ったまま深く口づけ、テオドアはいつの間にかスヴェンの濃厚な甘さが薄れていることに気づいた。愛しげに目を細めると、スヴェンの味のする唾液をすすり、そのまましばらく舌を絡ませ合った。
「……ありがとう、テオ」
口づけの合間にスヴェンが囁いた。細い指がうっすらと生えたテオドアの頬髭を優しく撫でる。
「最後に、お前に抱かれて嬉しかった」
「――最後って何だよ」
物騒な言葉に眉根を寄せたテオドアの顔に一瞬きょとんと目を見開き、意図を察したスヴェンが首を振り、かすかに笑った。
「……明日にも、このギルドを抜けるつもりでな」
「……尻尾巻いて逃げんのかよ」
「――ああ、そうだ。逃げる。金になるなら何でもいいなんて拝金主義には賛同できない」
メイテイカズラがどうやらまだあるらしい、とスヴェンが小さく呟いた。知っている。ギルドマスターにそのことを伝えてしまったのはテオドア自身なのだから。スヴェンにそのことを黙っていたのは多少の罪悪感があったせいでもある。
「彼らは、変異種を確保し、栽培して増やすつもりだと言っていた。そんなのは――許されることではない」
スヴェンはそう言うと、辛そうに柳眉をひそめた。
「それに――ギルドマスターたちと二度と顔を合わせたくない」
固く目を閉じ、細い指が強くシーツを掴んだ。スヴェンはテオドアよりも昔からこのギルドに所属していた。十代の頃から世話になっていると聞いている。そんな男に犯されるなど、心情的には裏切り以外の何物でもないだろう。指先が白くなるほど強く握られたスヴェンの手を目にし、テオドアは腹を括って一つ頷いた。
「俺も抜ける」
その言葉に驚いたようにスヴェンが目を見開いた。どうして、と唇が動く。
「……私たちは別に、恋人でも何でもない。お前が私に付き合う義理なんてどこにも――」
「好きだ、スヴェン」
耳元に囁かれた言葉に、雄膣が挿れっぱなしだった半勃ちの肉竿をきゅう、と締め付けた。腕の中の細い身体の体温が一気に上がる。まるで子供に戻ったかのような飾り気のなさすぎる自分の言葉に照れていたテオドアだったが、言葉などよりもよほど分かりやすいスヴェンの反応に気を良くし、くつくつと喉で笑った。
「ついて来いって言えよ」
ぬちぬちとかすかに腰を揺すりながら囁く。燃える赤毛を細い指が掻き混ぜ、太い首に熱い頬が押し付けられた。
「……あの人たちに犯されている間、ずっと、お前のことを考えていた」
お前のことが恋しくてたまらなかった。スヴェンが囁く。
「――私に、ついて来て欲しい」
「勿論だ」
テオドアは燃えるように熱い痩身を抱き締め、こめかみに柔らかく口づけた。頬を押し当てられた首が熱い雫でかすかに濡れた。
「……けどよ、何もせずに逃げ出すなんて癪だな」
テオドアの固い声にスヴェンが身を離す。我が事のように目に剣呑な光を湛えた不機嫌な顔に愛しさを感じながら、宥めるように細い指で優しく撫でた。
「暴力は駄目だ。……だが、一つ考えがある。時間もないし、難しいと思うが、頼まれてくれるか?」
スヴェンの説明を苦み走った表情で聞き始めたテオドアだったが、終わる頃にはいかにも愉快そうな笑顔に変わっていた。
「いいぜ。頼まれた。アンタが寝てるうちに必ずやってやる。……但し、もっかい抱いてからな」
翌日、組織されたメイテイカズラの捜索隊が森で見つけた物は、切り落とされて散らばった大量の蔦と溶けかけた何かの骨の欠片、それと迷子のヤギだけで、範囲を広げて森の隅々まで探したが、目当てのものは見つからなかった。
そして、部屋にほとんどの荷物を残したまま剣士と薬学者が、いつの間にかギルドから姿を消していた。
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2022.3.3 タグ追加
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