幸福と閉鎖

彼にあった

「幸福とは閉鎖だ」
 彼はそうよく言う男だった。
50代でバイトをする。普通に暮らしていたらそれなりの役職について何人も部下がいるくらいの歳頃だろうか。
 この人の話を当時は聞き流していたが、今になって何か中くらいの選択をする時に彼の言葉が響くのだ。冬虫夏草みたいだ。
 そう感じるが僕の脳内言語の声優が彼になったって言う感じかもしれない。
 
 しかし彼は存在しないのだ。彼とは僕がバイトの休憩中にずっと読んでいた文字たちが脳内で人格みたいなものを形成し、バックボーンを形成したものだった。

 人は居ないものを脳内で作る事がある。それは閉鎖的人間の能力だ。良き理解者を形成できたらもう現実に戻る必要はないのだ。


いやそれは違う！！性的快感は得られない！！！！！！！