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#043 : 誘拐

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※画像と本編に関係が無いような気がしてきました…どうしよう…。


こんにちは!カエデです!
無事に冒険者登録が完了しました!
そして身分証も発行してもらえました!
ギルドマスターさんも凄いって褒めてくれたし、嬉しいなぁ…。

「あッはははッ!あッはははッ!」
私はスキップでパン屋さんに向かっていました。

あ!ガチップは奇行種より動きがヤバイという貴重な意見を賜りましたので、普通のスキップでーすよー♪

ルンルン♪ ルンルン♪ ルンルン♪



私がパン屋さんまでの家路をルンルンとスキップしていると、路地裏から声が聞こえてきました。

「やっと捕まえたぞ!このガキ!おら!大人しくしろ!」

「いやだ!離して!離してよ!誰かー?誰か!助けてー!」

…んん!?
どうやら人相の悪い男が女の子をさらおうとしているようです。
…これはどう見ても誘拐ですよね?

「えぇ…ど、どうしよう?」

私がオロオロしていると、ポケットから声が聞こえて来ました。

「ふふ。カエデ?…困っているのね。私を使いなさい。」

私はポケットから良い形の石を取り出して話しかけました。

「あ!ウィルソンえっと…何世だっけ?まぁいいや!…お願い!力を貸してくれる?」

「カエデ?ふふ。今のはちょっと…心にキタわ…まぁいいわ。もちろん力になるわよカエデ。でも良く聞いてね。私をあの男にまともにぶつけると、多分カエデは殺人を犯す事になるの。その覚悟はある?」

「な、無いよ!そんなの!」
「ふふ。そうよね。そんな優しいカエデだから私たちウィルソン一族は手を貸しているのよ。」

「え?ただの良い形の石だと思ってたら…ウィルソン一族?なんなのその一族?ちょっと待って!そっちのが気になってきた!」

「カエデ?貴女が真の勇者として目覚める時、我らウィルソン一族の真実を知る事になるでしょう。…そう…それはとても悲しい物語…。」

「待ってよ!誘拐とかはもうどうでもいいくらいに気になってるよ!」
「カエデ?ほら!女の子が連れ去られそうよ?」

「ああ!ホントだ!ウィルソン一族の真実に迫っている間に女の子が悪そうな男の人に強引に馬車に載せられそうになっている!」

「カエデ?なぜ解説口調なの?…まぁいいわ。私をあの男の足にぶつけて機動力を奪うのよ。本気で投げてはダメよ?」

「なるほど!そうだね!後頭部にウィルソンをぶつけたら即死だもんね。良い子はマネしちゃダメだよね!」

「ほらほら。カエデ?そうこうしてるうちに、そろそろ周囲がざわついて来たわよ。」

「えっ?」
私は周囲を見渡しました。
すると、私が路地をコソコソ見ている姿を大通りの人たちが見ていました。

ざわ…ざわ…

「お…おいおい!?あのお姉ちゃんだけどさ…さっきからずっと良い形の石と喋ってるんだけど…」
「あぁ…暑くなってきたからね…可哀想に…まだ若いのに…」

「ママー?あのお姉ちゃんはこないだガチップしてた人じゃない?」
「しっ!ダメよッ!坊や!見ちゃいけません!」

「いやぁそれにしても良い形の石だなぁ」

ざわ…ざわ…

 「えぇ…み!見ないでくださーい!」
私は逃げるように路地に入りました。

「ウィルソン………んびゃくぅんせい!行くよ!」
「カエデ?噛んだフリまでするとは…私の心はズタズタよ。でも。良いわ!私を投げなさい!」

「うん!いッけー!ウィルソン……んびゃくぅんせい!」

ビュッ!!! ギュイーーーーーン!!!

(ふふ。カエデ?最後までちゃんと名前を呼んでくれなかったわね。)

…パカーンッ!!!!!

ウィルソンが見事に男の足に命中し、ウィルソンは砕け散りました。

「ぐわっ!痛ッ!?…な、なんだ!?…急に足が…ぐあああああ…」
男は地面に転がり悶えていました。

「えッ!?な、なに?」
女の子は驚いていました。

ウィルソンの声と同時に天の声が聞こえました。
『カエデ?短い間だったけど、私は貴女と戦えて幸せだったわ。先にヴァルハラで待ってるわね…。』

(カエデのスキル : 【ウィルソンを投げつける】のレベルが837に上がりました。)


私はそんな声は無視し、女の子に駆け寄り、その腕を掴みました。
「お嬢ちゃん!大丈夫!?さ、さぁ!早く逃げるわよ!」
「え?え?え?」

私はそのまま女の子とパン屋さんまで走りました。

「ま…待ちやがれ…!」
人相の悪い男の人は足を抱えながら私たちの背中に言いました。



カランカラン♪

勢いよくパン屋さんのドアを開けると、おっソロさんがビックリしていました。
「な!なんだい!どうしたんだい?カエデ!」
「ただいま!…おっソロさん。ち、ちょっと待ってね。ちゃんと説明するね!と、その前に…」

私は肩で息をしながら女の子に話しかけました。

「はぁはぁ…だ、大丈夫だった?…あ、そうそう!私はカエデ!宜しくね!」

そして、女の子は安心したのか、笑顔で言いました。

『はぁはぁ…助かりました!ありがとうございます!…えと…カエデお姉ちゃん?…私は エスト と言います☆』



(つづく)
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