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僕は見てしまった
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バーのカウンターでその店員は、同僚の女の子のお尻から出る液体を、グラスで受け止めていた。
色はピンク。僕の目の前にあるカクテル、「桜マティーニ」と一緒だ。
その女の子も桜マティーニが好きだというから、さっきまで一緒に楽しく飲み合っていた。
僕が「おいしいね」と言えば、女の子も「おいしいね」と返す。「いつになったら円安が終わるのかな」と言えば、「いつになったら円安が終わるのでしょうね」と返す。オウム返ししかしないから、何か変だなと思った。
整った目鼻立ちで、その愛嬌は僕のストライクゾーンのど真ん中を突くようだったから、ついつい楽しく飲み合っていた。
しかし、彼女は人間ではない。
店員は彼女のお尻から汲んだ桜マティーニを、テーブル席のお客さんに渡した。
僕は精一杯平静を装いながら、店員に向かって挙手をした。
「すみません。やっぱりこのお酒、いりません。このぶんも払うので、お会計いいですか」
色はピンク。僕の目の前にあるカクテル、「桜マティーニ」と一緒だ。
その女の子も桜マティーニが好きだというから、さっきまで一緒に楽しく飲み合っていた。
僕が「おいしいね」と言えば、女の子も「おいしいね」と返す。「いつになったら円安が終わるのかな」と言えば、「いつになったら円安が終わるのでしょうね」と返す。オウム返ししかしないから、何か変だなと思った。
整った目鼻立ちで、その愛嬌は僕のストライクゾーンのど真ん中を突くようだったから、ついつい楽しく飲み合っていた。
しかし、彼女は人間ではない。
店員は彼女のお尻から汲んだ桜マティーニを、テーブル席のお客さんに渡した。
僕は精一杯平静を装いながら、店員に向かって挙手をした。
「すみません。やっぱりこのお酒、いりません。このぶんも払うので、お会計いいですか」
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