私の世界

るい

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選択肢のある世界で、選んで生きていく。

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不登校になった1ヶ月ほど経った頃、1年生の時に同じクラスだった子からメッセージが届いた。
 
内容は、学校に来ない私を心配していること、なぜ言ってくれなかったのかとか、そういうこと。
心配してるという言葉があったが、全体的に責められているような雰囲気を感じた。
 
 
一応、友人といっていいのだろうか。
クラスが分かれてから、廊下ですれ違った時に挨拶するくらいで会話をしたわけでもないし、
むしろ問題児クラスであったために、嫌悪されていたと思っていたのだが。
 
 
返信するかどうか悩んで、
「自宅で勉強していて、もう学校に行く事はないよ」と送ったら、
今度は「羨ましい」「いいな~」「私もそうしたい」ということが返ってきた。
 
それに対して、私の踏んだ手続きと、自宅学習の方法と、中卒認定試験の情報を送ったら、返信は来なかった。
 
 
1年の時に同じクラスだったから、交流があっただけで、
特に仲がいいわけではなかったし、おそらく野次馬のような気持ちでメッセージを送ってきただけだろう。
 
 
おそらく、もう彼女からメッセージがくることはない。
 
 
この生活が始まった時、携帯電話の番号を変えるかどうかを両親と相談した。
番号を変えて、メッセージアプリも一新してしまおうとは考えていたのだが、
とりあえず3ヶ月はそのままにしておくことにした。
 
 
この様子であれば、もう全てを一新してしまっていいとは思う。
 
 
未練があるかどうかと聞かれれば、よくわからない。
しかし、こんな内容のメッセージに対応するのも、めんどくさい。
 
彼女たちは、私が不登校になったことをネタにして盛り上がりたいだけだ。
返信しても、無視をしてもネタにされるのであれば、それらを見ないように変えてしまった方がいい。
 
 
しかし、彼女が私のメッセージに返信をせずに無視したことで、
私の方も無視をしていい名目が立った。
 
 
小学校時代も友達を作れなかった。
それなりに付き合いのある学友は作っても、それ以上の関係になりたいと思える相手はいなかった。
 
一緒に遊びに行くことも何度かあったが、疲労の方が大きくて次第に断るようになり、誘われることも無くなり、
教室内でなんとなく付き合いがあるだけになって、少しホッとしたのを覚えている。
 
側から見たら仲間外れにされているのかもしれないが、その方が楽だったのだ。
いじめられているわけではないし、人間関係で辛い思いをしたわけでもない。
 
 
学校に行かなくなってから、理解した。
私が学校という空間で、集団の中にいることに苦痛を感じていたのだ。
 
その集団がどんな人間かなどは関係ない。
ただ、大勢の人の中で何かをすることが、辛かった。
 
 
家にいて、自分の好きなことをしているのに、
送られてきたメッセージに返信しなくてはいけないことが、しんどかった。
 
 
だから、学校に行かず、自宅で勉強をして、充実している自分のことを、それでいいのかと悩んでいる。
 
 
人と関わることは大切だと、教えられた。
 
両親は、「それは学校という集団だからこそ、教えられることだ」と言ってくれたし、
私と同じような性質を持った人たちがたくさんいることを教えてくれて、
自分たちも同じだから、在宅でフリーランスの仕事をしていると言った。
 
 
 
父は、フリーの建築士で打ち合わせ以外は家で仕事をしているし、
母は、フリーの執筆家でブログを運営やコラムなどを書いていて、ほぼ家にいる。
2人とも投資家でもあるので、そこそこ収入も高い。
 
 
同じような形態で仕事をしている、集団が苦手な仲間も大勢いるらしい。
連絡を取り合うことはしないが、SNSで繋がっているとか。
 
 
だから私も、努力次第でなんとでもなると言ってくれたのだ。
 
 
実際に成功している人を見ているからこそ、説得力はあるが、
まだ、不安や迷いはあるのだ。
 
 
これでいいのか。
本当に、努力でなんとでもなるのか。
 
怖い、自分の未来がどうなるか、怖い。
 
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