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露骨な違和感

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Side バレベナ公爵


なんてことだ、リジェ.カーヴァインが他国の男と婚約するだと!?とんでもない自体だ…!!
まさか本当に我がバレベナ公爵家との婚約をあんな子供のお遊びのような破棄如きで本気にするなんて何を考えているんだカーヴァイン辺境伯!!

ガラド、我が息子ながらなぜあんなにも阿呆なのか…計画がうまく行っていたのに異世界の客人ごときに何を言われた?
くそっ、他国の、しかも王弟に婚約奪われるなど!蛇の化け物だろう?あんな男に!忌々しい獣国に!

そんな場所にあの母体を奪われるなど、そんなことはあってはならない…!リジェは我が家に嫁ぎ孕み腹となる事が既に決まっているのだ!
この国の崇高な思想をなんだと思っている!?

3代前の国王陛下に忌々しき獣人が嫁いでから全てがおかしくなった、この国は高い魔力保持し続け永遠に続く繁栄を約束されていたのに!

今の現状を見てみろ?魔力が高いと言われるものでも全盛期の半分程度、それもこれも魔力が高い者同士の婚約、孕み腹の育成がなっていない為ではないか!!
自由な愛の形を反映?アホらしい、多様性などあってはならない!国王陛下による婚姻の承認が施策されてから孕み腹を囲いにくくなった、崇高な思想は年々力を落としている、貴族の責務だというのに…!!

リジェ.カーヴァイン、あの男は近年稀に見る最高水準の水属性の魔力保持者、ほぼ全ての魔力を受け入れられる治癒魔力の持ち主だぞ?
孕み腹として生まれてきたような素晴らしい母体、男であることも素晴らしい、女はすぐに壊れるが男は丈夫だ、何度でも子を産める魔力崇拝思想の救世主だ!!

幼い頃より唾をつけていたのに、あの辺境伯はまったくわかっていない!側妃殿の協力でやっと婚約を結び、学園卒業と当時に我が家に囲いすぐにでも種付けを行う事で話が着いていたんだぞ!?!

巫山戯ている、こんな事はあってはならない、あの母体は我が家の物だ!



「旦那様、私は悔しいです!あんな化け物に我が家の孕み腹を奪われるなんて…!」

「全くその通りだ!このままあの蛇にくれてやる訳にはいかない、ガラドにはリジェと結ばれて貰わなければ困る、あの2人の子を買うと申し出てくれてる所も多いと言うのに…!
何としても奪うぞ、国王陛下め余計なことをして…!」

「側妃様にもこの事態をお伝えしましょう!きっと崇高なる思想のためにお力をまた貸して下さいますわ!」


妻と今後の計画を練り、公爵家へと戻ると異世界からの客人マナミが出迎えてくる

「公爵様!おかえりなさいませ」

「おお、マナミ殿、どうされたかな?」

我が息子へ変な入れ知恵をした異世界の女、マナミ
この国では異世界からの客人と呼ばれる者達も度々迷い込んでくる、見つけたものは大切に保護することで恩恵を得られる為、マナミも客人として丁重にもてなしているというのに…不幸しか呼んでこない…

「公爵様、お願いがあります!私はガラド様が好きになってしまったんです…この思いは止められなくて…ガラド様とお付き合いを許して頂けないでしょうか…!」

顔を赤らめて何を言い出すかと思えば…
我が息子を好きにだと…?
何を言っているんだこの娘は…たかが異世界の客人如きが………………
いや?これは使えるかもしれない
この娘は確か水属性の魔力持ち、水属性の異世界の客人を妻へ迎えた息子…リジェと一応は同じ属性…

そうか!そういうことか!幸運とはこういうことか…!娘よ素晴らしい提案だ…!



「なんと!我が息子ガラドへ恋を!?異世界の客人から思われる息子は幸せ者だ!二人が愛し合っているなら私達は反論などしませんよマナミ殿」


ガラドとマナミ殿が婚約、婚姻してしまえば、あちらは警戒を解くだろう
そして、リジェ.カーヴァインは隣国の王弟殿下との婚姻中に行方不明となる…
別に婚姻などせず囲ってしまえばいいではないか…
全てはこの国の反映のため、多少の犠牲も仕方ない、素晴らしい筋書きだ


マナミと表向き婚姻し、我が家でリジェを飼う、これで我が家の、崇高な思想は成し遂げられる…
私の答えにうれしそうマナミ殿…


ふむ…
マナミ殿、リジェに比べれば大した魔力ではないが、一般的には多い魔力…流石は異世界の客人といった所か…
孕み腹を表向き飼育するのは人道的ではないと既に禁止されているが、妻として子を何人でも生みたいと願うのは問題ない
ガラドとの間に子を欲しこの国に貢献する異世界の客人…うむ、素晴らしい考えだ

昔のように監禁や飼育などしない、我々は優しいからな、好きなものを買ってあげよう、ガラドと旅行に行くのも出かけるのもいい
好きなだけ愛し合い子を孕みなさいマナミ殿…
隷属の紋を刻んだ後で…


私の意思を組んだのだろう、妻もとても優しくマナミに微笑んだ













Side リジェ

バレベナ公爵家から数日後、再び謝罪があった、様子のおかしいガラド様を問い詰めたところ、異世界の客人マナミ殿を心から愛してしまい、その気持ちが抑えられなかったのだと
僕との婚約を破棄したかったのも2人の愛は運命で、真実の愛だから…だそうだ
息子の気持ちに気づかず暴走し、カーヴァイン辺境伯家にも多大迷惑を掛けてしまって申し訳ない…と今朝再び先触れも無く、押しかけてきたようだ



「もう二度とリジェの前に姿は表さない、そう言って婚約破棄と精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料を、持参し謝罪をしてきた…先日のあの剣幕がうそのように…気味が悪い…」


疲れた顔の父様がため息をつく
マナミ様とガラド様の関係は婚約破棄現場を見てれば分かることだろうに…
バレベナ公爵も認めて2人は婚約したのか…もう僕に関わらないで居てくれたらそれでいい


「余りにも…急な態度の変わりようですね…十中八九裏があるでしょう」


「ああ、その通り、確実に何か裏がある…あそこまで孕み腹に拘る旧思想の家だ…リジェをそう安々と諦めるわけはない」


父様とノイシュ様の顔が曇る…
確かに…腑に落ちないことは多い、マナミ様とガラド様は僕を嫌っていたけど、バレベナ公爵夫妻は僕を手に入れたがっていた…数日でそれが覆るなんてあるのだろうか?違和感しかない、ガラド様とバレベナ公爵夫妻、その温度差が気持ち悪い…
なにか良くないことが起きそうで…



「僕は…引き続き外出を控えます…なんでだろう…嫌な予感がして…怖い…です」



怯える僕の背中をノイシュ様が擦ってくれる
「警戒するに越したことはないよリジェ、怯えるのもわかる、あんな異質な存在怖くて当然だ
大丈夫…リジェが平穏に生活できるよう私が守る、必ず」



まるで自然な事のように胸の中へ僕を抱き寄せ安心を与えてくれる…
ああ、やっぱり僕はノイシュ様が好きなんだ…一緒にいるだけでこんなにも不安が晴れていく…
項の噛み痕が熱い…ノイシュ様から僕にしかわからない、いい匂いがする、吸い込むだけで胸がいっぱいになる…番の契はこんなにも心強いんだ…

守ってくれるノイシュ様の気持ちが嬉しいよ…けど、守られてばかりだな僕
家族もノイシュ様も僕を守ってくれる…嬉しいけど心苦しい…何かお礼できたらいいのに…









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