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4.涙の誓い

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今までの繰り返してきた中で最悪の誕生日だ…なぜぼくに付き纏うんだあの王太子殿下は…

大勢の人の前で、身体を晒すことは貴族の人間として最悪の羞恥…あってはならない侮辱…それをぼくに強要するあのクソ王太子が信じられない…
不敬だと言われればあの場で負けるのは、ぼく達だった…ぼくさえ我慢すれば…そう思ったけど
涙が止まらない…酷い辱めを受けた前の自分よりもダメージが大きい…

今日の日の事が確実にこれから影響してしまう
良くない方へと…怖い、最後に幸せになって存在を…消したいぼくの邪魔をしないでほしいのに…
男になっても変わらない予感しかしないことが絶望なんだ…



ふわりと何処かに降ろされるのを感じた、ああ…ここは、ぼくの部屋だ…悪魔があの場から運んでくれたんだ…
あの場で必死に堪えていた気持ちが爆発してしまう…涙以上の感情が溢れてくる…


「ふぇっ……ううっ…ひっく…やだぁ…もう嫌だ…あの王太子に辱められる人生が嫌だよ…悪魔…悪魔…ぼくを食べて…消えたい…消えたいよぉ…」


性別が変わっても、運命が変わらないなら存在していたくない…ぼくの存在を消して欲しい…泣きじゃくりながら、ぼくをベットへ寝かせて離れようとする悪魔へしがみつき、その服を濡らす


「…………エルヴェート、それはできない相談だ
俺は約束を、契約を必ず守る悪魔だ、今のエルヴェートの感情は悲しみと怒り、絶望…そんなお前を食べても俺は満たされない、幸せなエルヴェートを喰らうと約束したよな?」


そうだ、そう言う約束…でも、それは叶うのか?あの王太子殿下がいる限り叶わない望みとしか思えないよ…
「でも、でも…消えたい、ぼくはいなくなっ………んむっ!?ン゙、ん゙ん゙っーー!んっ、ん゙んっ………んあっ♡」

いなくなりたい、そう最後まで言えなかった
悪魔がぼくに覆いかぶさって唇を奪ったから…
厚くて長い舌が遠慮なく入ってくる、ぼくの口から言葉を奪っていく
上顎を撫でられて舌を吸われると力が抜けてしまうんだ…悪魔にされる幸せを感じるキス…あんなに嫌なことがあったのに…あんなにも消えたかったのに…

気持ちいい…
ぐちゅぐちゅって唾液が混ぜ合わされる音でドキドキしてしまう…もっとぼくを幸せにしてって…舌を伸ばして悪魔に甘えてしまうんだ…


「んあっ♡んんっ…っ♡………ちゅっ…♡あっ、ん゙ん゙ん゙ーーーーー♡」

舌を噛まれて吸われて…
キス以外の事をかんがえられなくなった頃、ぼくは悪魔か開放された

「はぁ…はぁ…っ♡……悪魔のばか…」

「辛いこと幸せで上書きできただろ?坊ちゃま♡
安心しろ、俺が守ってやるから…な?
ちゃんと聞け、あのクソ王太子殿下様は多分、エルヴェートと同じ記憶を保持している
お前が巻き戻りの中核にされていると思ったが…あのクソも覚えているとなると…迂闊に手は出せない、あの日が来るまでに真実も調査しないといけない…」

「だから、ぼくをエリザベートと呼んでいたのか…覚えている記憶と違うと…本当に迷惑な奴だ…」

「俺はお前を、あの記憶を保持している可能性があるクソから確実に守りたい、さぁ問題だ、どうすればいいと思う?」


ニヤリと悪魔は笑う
どうしたらいいか、このあとあのクソ王太子が考えること…それはぼくとの婚約を無理矢理にでも結び、あの日を再現することだろう…
男同士では婚姻できなくとも捻じ曲げてくる…はずだ
正解は一つしかない

「悪魔、ぼくの婚約者になれ…それが正解だ、あのクソ王太子からぼくを守るんだろう?」

「大正解♡あの日を再現させない最高の防衛策だ、俺は愛する婚約者の側を片時も離れない、四六時中幸せにしてやるよ?エルヴェート」


5歳の子供相手に厭らしい舌の動きで唇を舐めるな悪魔…とは言えなかった
隣国の優良貴族な悪魔とぼくの婚約、この国では無く他国基準での、同性婚が認められた国で結ばれた婚姻として王家に提出する…悪魔の記憶改変様々な計画だ


翌朝、さっそく家族と使用人の記憶を改ざんし、隣国まで転移し隣国の筆頭公爵家としてシュライゼル公爵家と国の発展を約束する婚約を結んだ、色々ふわっとしている部分は悪魔の力で本当であるように見せる
こうしてぼくは5歳にして他国への嫁入りが決まり、学園に入学する頃に悪魔は婚約者として転入、ついでにシュライゼル公爵家にお世話になるそんな設定を組み込んだのだ




悪魔とぼくの予測は当たり、悪魔との婚約を結んで2日、王家より王太子殿下との婚約の話が持ち上がったが、父様は笑顔で他国より縁談を頂いているので却下でと断ってくれた
学園を卒業するまでは、ぼくを婚約者にしないとあの日のように断罪できない…さぁ、どうでてくる?王太子殿下…




ぼくと悪魔は守りに徹した
大勢の人の前で…王太子殿下のせいで辱めを受け、領地に引きこもり学園高等部編入までの期間、逃げ続けた…15歳まで徹底的に

9回目の人生をこちらは歩んでいるだよ…学問なんてどうとでもなった、初等部、中等部を首席で通し、クソ王太子殿下による、心の病で出席を免除され、義務とされている高等部に今日編入する

事前の計画通り、ぼくの横には隣国の婚約者役の悪魔を伴って、王太子殿下と聖女が出会う年齢もここだ…ぼくは負けない、絶対に










そんな意気込みをするぼくと、婚約者として異常な距離感で演技する悪魔を、少し遠くから見つめる男がいた事に気づかなかった

その男との出会いが、ぼくの復讐劇の始まりに繫がるなんて今のぼくはまだ知らない






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