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反撃編

カウントダウン 始まり

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おれが自分の感情に気付いてからレオとの距離が物凄く近くなった気がする…これもシャルティから甘えていいと背中を押されて…自分から勇気を出してレオにキスしたいとか抱き締めて欲しいとか言えるようになったからなのか…?

それから皆とも、自分で気付いてなかった無意識に壁を張るって事をせずに本音で話せるようになった



聖女…桃香は相変わらずおれにぶつかる、お茶を掛けるなど事故として危害を加えて来るけど…証拠として怪我を治さないのはやめたし
レオはおれに痛い思いして欲しくないと言うけど…桃香の性格を考えるにおれを悪者にして自らを正当化するのが上手いから、直に怪我は治すけど証拠としてあえて避けない事を伝えると…凄く辛そうな顔をして「わかった」って言うから…

咄嗟に聖女から受けた危害を隠さずに、聖女に何をされたかレオへ見せてその場で影に記録して貰い、すぐ傷を治すようにしている


桃香の反応も、おれとレオの心が通じ合った頃からシャルティの言うように甘えると、かなり変化を見せている

1年生を中心に仲間を増やそうとしている傾向は変わらないが、それが2年、3年生への接触も見られるようになっていた
あと、以前から挑発でキスシーンをあえて見せるって時も、傷付いた様な顔をして直に立ち去るのが主だったのに、最近は恐ろしい程おれを睨見つけ…レオはあたしの物なのにって雰囲気に変わった

おれが憎くて憎くてたまらないっていった顔で睨んでくる…おれが知ってる悪役令嬢と聖女が階段から落ちるエピソードはもう少し先の筈だが、想像以上に早く事を起こしたい…と言った感じだ
生前の自己中な発言を繰り返してきた時の顔にそっくりだな?桃香…

前世のおれはお前と関わり合いたくなかった…
だからひたすら逃げて逃げて…自分だけ愛されたいなら勝手にやってろって気持ちで逃げたのになんでおれの所に来るんだろうな…?


「レオ、おれが想像するより早くあいつが動きそうな気がする…今週は作戦通りおれ1人で行動するよ」

「今のオーガみたいな顔からそんな予想ができるのか?…………本当はさせたくは無いが…でも、ちゃんと守るから安心しろ」


そう言ってレオはおれを強く抱き締めてくれる
時々頭を撫でられ、全身が密着するほどしっかりと腕が回ってくるんだ…体温を分け与えてくれるみたいな…そんな締め付け感が本当に愛おしいよ…レオ

大丈夫…無理はしない、おれは1人でもうやらかしたりしないから




………………………
………………
…………

Side ラッジ



「以前行われた合同魔法演習の結果発表だが、あの事故も踏まえ本日まで会議を行った結界、学園長の意向もあり今年度は優秀者なしと結論が出た、学園掲示板への掲載のみで周知とする
例の事故についても、突発的な魔力暴走による事故…で決着という事になった」

「な、何故ですか!?!合同魔法演習で俺たちが出した課題に対してある程度成績を残した者もいたじゃないですか!?
それにシャルティ嬢の暴走についても、どう考えたっておかしいのは聖女様だ!!」

「口を慎みなさい、ラッジ先生…
聖女様が他人の魔力を暴走させる乙女なわけないでしょう!?麗しく愛らしい聖女様なんですよ?
シャルティ嬢については大勢魔力を使う場面で突発的に魔力コントロールが暴走した、そう考えるのが普通
サングイス公爵家へは学園長の姉君である側妃様が直接説明して下さるとの事、この話は終わりです」


学園主任の言葉で会議は終了となってしまった
足早に立ち去る主任と、一学年の教員達…俺や三学年の教員達は嘘だろ?って感じに席に座ったままだ

明らかにおかしい…前からおかしかったが…これはなんだ?教員として平等に生徒を見ていく筈の教師がやっていい事じゃない…生徒の努力を無かったことにして有耶無耶にしていいのか!?

それにシャルティの事だって!!俺達があの日の状況をまとめて事情聴取した物を…聖女の暴言と思われる内容も提出しているのに、その聖女が愛らしい??馬鹿じゃないのか?
サングイス公爵家への説明に、部外者の側妃が行くのだって…権力でねじ伏せようとしてるって事だろう!?

『聖女の聖光魔法には人の好感度をあげる力がある』
そう、ルディヴィス達が言っていた事を思い出し背筋が凍る
聖女に命を救われた側妃が事を納めに行くという状況…人の行動までも変えてしまうって言うのか…?

俺がここで不服だと、暴れたとしても解雇されて終わりだろう…他の先生も不満や疑問は残るが、学園のトップからの指示に従わざるおえないと皆離席していく…


「まさか事態を無理やり収束させるとは…かなり驚きましたが…ラッジ先生…大丈夫ですか?」

「…………ローダン先生…今晩、時間貰えますか?」


ローダン先生も、煮え切らない顔をしているのがわかる
ルディヴィスが打ち明けたあの日の事をローダン先生とも共有している…この世界が物語なのか現実なのかわからないという話も全て…
夢物語のような…その話を聞いても俺は、一人の大人として自らを犠牲にし周囲を救おうとしたルディヴィスを助けたい…ルディヴィス達の味方をしたいと思っているんだ
だからこそ…こちらからも出来ることをしよう、大切な生徒を守る為に…





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