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陽動編
もう一つの
しおりを挟むおれと親しく、乙女ゲームに関わるキャラクターでもあるみんなにお守りって意味もあるネックレスをプレゼントして…なんだか、釣り餌って事が嘘みたいに喜んでくれた
嬉しそうに笑ってくれるのも、大切にするって抱き締めてこようとしてくれるのも…心が温かくなる
昔、宝石削ってプレゼントした時とはまた違った気持ち…
自分で作ったものが人を幸せにできる事が嬉しいってイグニスの夢の話とか…言ってた事、おれにもわかる気がしたよ
ポチ太郎をモチーフにしたアクセサリーを喜んでくれるって事は、きっとポチ太郎やスキンヘッドなポチ太郎の飼い主さんも元々の世界で喜んでるかもしれない、そんな気持ちにもなる…それくらいみんな喜んでくれて嬉しいんだ
「なぁルディヴィス、これを聖女に見せて釣り上げるんだろ?…………なんか勿体ない気がしてさ、前世の妹云々置いといても見せるの勿体ない」
「………分かります、大切に保管してるものをあの聖女に見せるのは…勿体ないですよね」
うんうんと、みんな頷くのが意外すぎて驚く
「そう言ってくれるのは嬉しいけど!あの聖女に見せないと計画の意味がなくなるから!その辺は割り切ってお願いな!」
計画を始める前に終わる所だった
まだ確定したわけじゃない…一応、もしかしたらおれの前世の妹かもしれないってだけなんだけどな…
既に色々おれ視点でもあの聖女様がやばいってはわかるけど、それ以上に始めから接触して情報を集めていたみんなはもっとやばい所を見てきたのか…あの可愛い見た目と声だけは最高に可愛い乙女ゲームのヒロインなのに、前情報無い頃から好かれるって事が無い
最初、おれは乙女ゲームを邪魔しないでシャルティとフェードアウトするからって…思ってたのに現状は違う方向に進んでいる
乙女ゲームの強制力はあると思うが、起こること全てじゃないのは何となく分かって来たけど
ある日突然、みんながあのヒロインを好きになってとか、そんな強制力があったら怖い…その気持ちはまだある…
このネックレスが本当に守りの力を発揮してくれたら嬉しい…本当に幸せになるならおれは止めないけど、あれが本当に前世の妹なら、経験上関わって幸せになれるとは思えないから
「お義兄様、このもう一つの箱には何が入ってるんですか?」
考え事をしていたらシャルティがおれの横にある箱に興味を示してきた
あ、忘れてた!徹夜で作業のテンションでたぶん明け方に作っていたであろう代物…よく覚えてないけど完成品、手に持ってたんだよな
追加で指輪とか作った最後、用意した金属と宝石の余りで作ったかもしれない物を取り出す
「おれ自身も忘れかけてたけど、徹夜で無意識に?作っててさ、これ使ってみんなでまたお茶したくって…マイズなら通じると思うけど合同魔法演習で一緒だったチームメンバーも一緒に…
最近ずっと色々考えたり、悩んだりする事ばかりで気持ちが一杯になってる気がしてさ…気分転換にどうかな?」
箱を開けつつ、そう言ってみんなに中身を見せる
無意識に作っていた物、それはカトラリーセットだ…!
作ってた記憶は無いが、無意識にみんなの瞳の色を表すために用意した宝石を削り出した残り…多分これを何かに使いたかった気持ちがきっと、朝方の社畜脳を刺激したのだろう…もう一つ!仕事を終わらせられる!みたいな感じで…
中身はスプーン、フォーク、ケーキナイフを始めとする、これとお茶とケーキがあれば即、お茶できる!みたいなセットに仕上がっている
今日、これを持ってきたのはみんなでお茶会をまたしたかったから…プレゼント渡すのに本気で忘れかけてたけど、シャルティのおかげで思い出せた…よかった…!
合同魔法演習の時、最後にチームメンバーでお茶会してたのに中途半端になってしまったのが悲しかった…
現在も演習での結果発表はあの日の調査中って事もあるためまだ発表されていない
けど、あの日チームワークで取り組んだことが事実で…演習翌日から一年生とか聖女が言う噂を教えに来てくれたりするし…ガルロ先輩とも、2年連続一緒のチームって事でイグニスと共同開発試作品類を騎士科でお試ししてもらったりと交流し始めていたし
そんなチームメンバーと、いつもお茶していたメンバーでまた、盛大にお茶会がしたい
本来は暴走なんて絶対しない、シャルティの素晴らしい魔力コントロールで焼き上げるピザを食べて欲しい…そう思ってしまったから
「すごく、いい提案だと思います
またシャルティの焼いてくれたピザも食べたいですし、やりましょうお茶会!ガルロ先輩達を誘うのも任せてくだい、私が誘いに行ってきますよ!」
「いいなー!お茶会したい!自分のチームは聖女様がおられたから全然交流とか出来なかったし、そういうの羨ましいな…!あ、迷惑かけちゃったネオイグニスくん誘っていい?てか一晩でカトラリーセットまで作ってたのは流石に人間離れしてないか!?流石ルディヴィス……!!」
マイズとイグニスが賛同してくれたのをきっかけに、盛大にお茶会をしよう!って話で纏まった
ラッジ先生達を誘ったら来てくれるかどうか…その辺はレオンハルト殿下にお任せする事になり、数日後にある連休で、着飾らない気分転換にピザを食べるカジュアルなお茶会を開催する!
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