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乙女ゲーム編

影のつく存在

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放課後、各々サングイス公爵家へと集合するまでに、レオンハルト殿下達は一応聖女へも違和感を持たれない為、出来立ての映像記録魔石を着用し、接触を図ってもらう

これまでのプライバシーギリギリ音声記録からも、聖女はまだおれが前世の記憶を持ち、シャルティを悪役令嬢にしない為に動いていると気付いていない

おれはどこから出てきたかわからないモブでありバグだと思われてるのは都合がよかった






サングイス公爵家の応接室にて


「最初に少しいいか?面倒な事になっているのは変わらないが、ある意味朗報…だ、聖女に会いに行ったら弟に自分が相手するので兄上は居なくていいですと言われてしまったよ
普段から仲が良い訳でもないが、ジェイスが若干、神に見えた…いや、聖女と親密になりそうな事態的には良くないんだがな」


「私も同じような状況に出くわしましたよ?大司教の孫でしか無い存在が聖女と親密になるのはおかしいと…そういえばレオンハルト、あなたの弟って独占欲がかなりある性格してましたよね?」



この国の宰相である父様を交え、力だけは本物の聖女から偽りの罪で断罪されないための話し合いが始まると直ぐ、レオンハルト殿下達は今日あった事を教えてくれた

第二王子ジェイス殿下…おれの乙女ゲームの記憶では全く覚えが無いレオンハルト殿下の腹違いの弟…
そのジェイス殿下はかなり執着と独占欲を持っているらしく、母を救い見た目は本当に可愛らしい聖女を気に入って今日、学園でほぼずっと共にいたらしい…

会いに来てくれたレオンハルト殿下達に聖女は喜んでいたが、ジェイス殿下がそれを許さず…といった感じに聖女と会話もせずに戻ってきたらしい



調査のためとはいえ、聖女へ接触をしたくもないのにしてきた彼らにとっては交流しなくてもいい理由になり朗報だが、聖女の動向をみれなくなるといった点では悲報だ


「ふむ…レオンハルト殿下達と聖女様と接触をする機会が無くなった場合、次はジェイス殿下に聖女は虐められると訴えるのが普通だろうね…
ルディヴィスから聞いたが、映像記録の魔石を各々着用するのだろう?

もしも、聖女様が物を奪われた、虐められたと表現した場合に、その映像はある程度有効な無実の証明となる

必ず複数で行動し、同様の記録内容で時間と場所が証明できるようにすれば万が一の抵抗も可能性だ
私からも国王陛下へ話は入れてある…現状では被害妄想が酷いとしか言えないが、今後聖女様という存在が何をするのか、証拠と共に情報があれば対応をしてくれる」


レオンハルト殿下が国王陛下や王妃様に色々言ってたおかげで父様の話も一応スムーズに進んだと言えるか…
第二王子という自分に強い好意を寄せてくれる存在を手に入れた聖女が考えそうな事も考えないといけない


シャルティを…みんなを守るためにはどうする事が最適か、これから記録魔石を持ち生活しても、おれたちだけの映像記録では捏造したと言われてもおかしくない…それをどうするか…



………………おれがずっと考えていた作戦が実際にできるかどうか…そこで大きくその点は変わる




「……………レオンハルト殿下…王家の影は王家以外の者にも付けることはできますか…?」


「……………?王家以外の存在に影を付けることは出来ない…王家と王家に連なる者に…後は王家に嫁ぐ婚約者には行動や貞操を確認するため付けることもあるが…ルディヴィス…一体何を聞きたいんだ………?…………まさか…」



おれはレオンハルト殿下の返答にコクリと頷く
聖女が言っていた録音の台詞からモブである悪役令嬢の兄がバグとして邪魔をしていると考えている節があった
シャルティが悪役令嬢として仕事をしないのもバグがあるから、それが原因かもしれないと…


そんなバグであるおれに聖女のヘイトが向いてくれれば前世の乙女ゲーム知識を活用して、何かしら作戦を追加で練れるかもしれない
シャルティを非難の目や罵倒から守ってあげれるかもしれない…そして王家の影にも映像記録と目視でおれの行動は決して聖女を害しておらず、無実であることを証明することができるかもしれない…


次期王妃となる立場の存在が示した、王家の影からも無実と言われる確かな証拠であれば…例え聖女がどんな手を使って来ても、こちら側の無実を証明できるのではないかと


「父様…このような場で言うのはおかしいかもしれません、ですがシャルティを確実に守り、サングイス公爵家を…ここに居る皆を守る為にも…王家の影をつけて頂ける存在に…
おれをレオンハルト殿下の婚約者候補から婚約者へと推薦下さいませんか…?レオンハルト殿下、おれをあなたの婚約者に迎え入れてくれませんか…?」



おれの言葉に沈黙が広がる、それは驚きや驚愕からだろう…
レオンハルト殿下の婚約者候補となってから何年経過しているのか…レオンハルト殿下が求めて実現した婚約者候補…しかし、男の王妃の珍しさから話が進まなかった以上に、この話は父様が拒否を示していたから進まなかった事が大きいのを知っている

公爵家の跡取りが居なくなるからじゃない、幼い頃のレオンハルト殿下を知っているからこそ…王家を取り巻く状況におれを差し出したくなかった事も実は知っているんだ



「おれはサングイス公爵家の゙みんなも、レオンハルト殿下達みんなも大切で守りたい……おれは聖女が想定していない存在なんです…聖女様に対抗する確実な証拠を得ることもできる、敵視されるのがおれだけで済むようにもなる

だから……………」






おれは影のつく存在になりたいんだ 












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