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乙女ゲーム編

とある作戦

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おれのクラスメイトは皆んな努力家で、向上心があって、心優しい人が多い気がする
学園内で生徒の従者が暴走した事件を受けて先生達が鎮静化図る前にヘルリやおれ、シャルティに気遣いの言葉と他のクラスで誤解している人に対して訂正までしてくれる所とか…


あまりにも感激して、前世のおれ口調でありがとうを伝えたくなってしまうほど嬉しかった

元々時々犬耳生えてたし、人狼化魔法が体内に植え付けられても悲観しないで努力しているのは凄い事だよって、クラス委員長でもあるトルクくんがそう言ってくれるとは…


目撃してしまった生徒には申し訳ないが、本当にヘルリはいい子だから安心してほしいと伝えたい




しかし、そんな中でも予期せぬ噂は立ってしまう、先生がいくら説明しようが噂は噂を呼び誤解したまま周囲に広がるのが人の習性だ…
特に聖女の所属するクラス…いや1年生全体にその傾向はあった

聖女であるルチア様が1週間謹慎の後、復帰したが泣き腫らした顔に救いたかっただけなのという言葉、酷く落ち込んだ姿を見て可哀想と思う人は多いだろう
おれ自身も聖女が本当にヘルリを救いたくて行動し、それがすれ違ってしまったのかと信じたい気持ちもある…たとえ転生者でも、市街から貴族になり右も左もわからない…それも理由の一つだからだ

けどヘルリの宝物を壊し、負荷を掛けて暴走させたのも事実だから現状ではどちらが正しいかなんて言えない

聖女様が悲しんでいて可哀想…それは泣いている聖女を思って言われている言葉、その言葉をうちの従者の方が可哀想だなんて訂正する事は出来なかった…だから…………




「ルティ、今度から何処かに行くときはぼくも一緒に着いていくよ、また不思議な眠気に襲われたら大変だろ?」

「まぁ!嬉しいですわお義兄様!知らない間にご迷惑を掛けてしまうかもしれない事が…少し、不安でしたの…
お手洗いと女子更衣室以外お願いしたいです」


ぶはっと背後でマイケルが噴き出した声が聞こえたが気にしてはいけない、ヘルリがほっこりした顔してるのも気にしたら負けだ、もしも今後も乙女ゲームのシナリオ的な展開が起こった時、接触はしないにしろ見ておいて損は無いと思う…
基本、悪役令嬢を主体にアクシデント的なイベントは起きてた気がする…だからこそ、おれの大切な皆が傷つくような展開が万が一起きてしまったら助けに入れるかもしれない



シャルティの可愛さに兄心が擽られまくってちょっと教室だけど抱き締めて頬ずりしてたらレオンハルト殿下達がなんかずるいと迫ってきて笑った
可愛いシャルティのほっぺは未来の旦那様を除いたら兄であるおれに可愛がる権利があると思う



元の平和な生活に戻る、そう思ってたおれに内緒でレオンハルト殿下達がある計画をしていたなんて事、教えてくれないから知る由もなかった







……………………
………………
…………


Side  イグニス


ルディヴィスとシャルティ嬢が寄り添って兄妹している姿可愛いなと、和んでいたおれは放課後、悪そうな顔をしたレオンハルト殿下とマイズ様に呼び出しされ現在校舎裏にいる

え、おれ…何かしましたでしょうか??全然心当たり無いですやだ怖いです…商人目指すしがないおれと高貴すぎる立場のお二人、普段は仲良しでも呼び出されたら怖いもんは怖い



「そう怯えるな、イグニス…大事な件があってなお前にも一枚噛ませてやろうと呼び出したんだ」

「ええ、そうです、私たちだけ苦痛…………いえ、人数が多いほどより良い効果があると思いましてね?」


今、絶対苦痛って言った!確実に苦痛って言ったよこの未来の大司教候補様!?!ニコニコといい笑みでおれに何をさせようって言うんだよ…!怖い…怖すぎる…ルディヴィスは優しい塊だけどこの二人は癖があるとおれには分かる…!


「え、えっと…い、一体何を一枚噛んだらいいんでしょうか…?苦痛…えっとより効果ってなんでしょうか…?」


おれがそう言うと二人は凄く仲良く同じタイミングで笑ってこう言った、怪しい変な女…聖女について今回の件どう思う?…………と

二人の言う今回の件、それはヘルリが暴走した例の件だろう…
どう考えても聖女がヘルリになんかしたのは明白だが、聖女顔だけは最高に良かったからな…あの顔でこんなはずじゃって言いつつ、涙をボロボロ零して私が悪かったのなんて言われたら聖女可哀想ってなるのも分かる…それを踏まえての今回の件…それはつまり…


「なんか胡散臭いな…って?思います…聖女様は計算し尽くして泣いている…なんかもう商売相手にしたくない無理難題言うような面倒くさい顧客…だと思います…?」


「………………?、いや…うん大体合ってるかな?胡散臭いと計算し尽くしての部分は正解だと俺たちは思ってる
初対面でのあの馴れ馴れしさ…私があなたの全てを知った気で居るような不快感…
それはイグニス、お前も感じたからこそ変な女談義が盛り上がった…そうだろう?」


「ルディヴィスは幸いまだ怪しい女と聖女を同一人物と結びつけていません、いやこれからも結びつけてほしくない…綺麗な心の彼をあんなやばい女の毒気に晒したくない

ふふ、もう何をするかわかりませんか?イグニス」



じりじりと壁際におれを追い詰めニコニコと笑みを浮かべながら同意を求めてくる二人が何をしようとしてるのか、なんとなくおれにもわかってしまった…


「も、もしかして…あの胡散臭い感じの馴れ馴れしさと全て知ってる感じについて調査するとか…?ですか…?
今回のヘルリみたいにルディヴィスやシャルティ嬢が悲しまないように…事前にあの怪しい女の正体を掴むとか…そんな…?」


「「正解」」



ドンッっておれの両サイドの壁に高貴な手が付かれ、逃げ道を塞いでくる、おれ…あのやばい顧客な怪しい女に関わりたくないんですがなんて言えない状況に腹を括るしかなかった






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