悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい

たなぱ

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幼少期編

突然の来訪者

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「ルディヴィス!遊びに………じゃなかった、見聞を広めるために視察に来てやったぞ!」



まるで嵐のように………
レオンハルト殿下は突然やってきた




王妃様とレオンハルト殿下との謁見から1週間、額の傷は抜糸も済み包帯から解放されたり、手紙でしっかりとシャルティとペトラさんに謝罪をしてくれたレオンハルト殿下を少し見直したりと、茶会の記憶は過去の物と忘れかけた時…
それは現れたのだ………


本日もシャルティと一緒にバーク先生の下、座学に勤しみ、終わったらお茶にしようかと楽しく勉強を進めていた…はずだったのに…
座学終了時間直前に、母様がおれたちを呼びに来た事が全ての始まりだろう…父様から手紙と来客が来ていると…その来客がレオンハルト殿下だと誰が想像する…?


応接室に優雅に座り、茶を飲むレオンハルト殿下はおれを見ると嬉しそうに遊びに来たと言う…うん????何故、暇なのか?暇なんですか殿下?
後ろにいたシャルティなんて怯え影に隠れてるじゃないか!おい殿下!なんで来たんだよ!!
そんな事は言えず、少々お待ちくださいと下がり父様からの手紙を母様達と読む…


『ペトラへ、子供達に伝えて欲しい
レオンハルト殿下がルディヴィスをあの件から大層気に入ってしまった、元々性格が自由奔放で王子教育が進んでいないと王妃様が嘆いていたが、ルディヴィスと再び会うことを条件にしてみたら恐ろしいほど勉学が進む効果がでてしまったのだ

王妃様からは来月辺りに週一回、可能であればレオンハルト殿下と公爵家で茶を楽しみながら王宮外の知識を教えてやって欲しいと、依頼は受けていたのだが…トラブルが起きた
まさか本日分の授業を早期に終わらせ、これまでの褒美にルディヴィスに会いたいと王妃様は殿下が泣いて頼むのとは思わなかったと、これまでの頑張りを無下にも出来ず急な来訪になってしまった…殿下が満足するまで相手をしていてくれないだろうか?なるべく早く帰宅する、父より』


父より
じゃないと思います父様………おいおい…殿下?なんてアグレッシブなんでしょうね?殿下……なんで来ちゃったかな………知らない間に、おれ殿下のやる気にされてんの?なんてことでしょう…

…………悩んでいてもしょうがない、我々は王家に仕える宰相を父に持つ公爵家、こんなことでどうじていられるか!
おれは母様と少し怯えたシャルティに目配せし、任せてほしいとアイコンタクトを送る
実際、あの日謁見し、懐かれたのはおれだ…扱いはおれが一番わかる、しかもおれを褒美にご所望だ

意を決して応接室に戻るとレオンハルト殿下はとても嬉しそうに顔を輝かせていた………
しかし殿下、まずはやってもらわなければ行けないことがあるんですよ…ここは公爵家ですよ?、このままだとシャルティが怯え続ける…可哀想だ


「殿下、ようこそいらっしゃいました…歓迎したいのですが、ご覧ください…ぼくの義妹が怯えているのです…」


殿下を見つつ、おれの背に隠れ怯えるシャルティを気遣う、さあ…どうすればいいか1週間前の記憶をどうぞ思い出して下さい?おれは殿下にちょっと期待したんですよ?未来の王がレオンハルト殿下でよかったと…
殿下はおれの視線に気づき、自分が浮かれていたことに気付いたようだった、席を立ち護衛を一度下がらせ、シャルティ達へ向き直る


「そうだな…遅くなって申し訳ない…
シャルティ嬢、そしてペトラ公爵夫人、書面でも謝罪したが…直に会えるこの機会にもう一度伝えたい、俺の…思い込みによる浅はかな行為で傷付けてしまい申し訳なかった…」


………!おっと、しっかりと頭まで下げちゃう!やれば出来るじゃないですか殿下!
ちゃんと謝罪できて偉いと言う気持ちを込めて微笑むと、殿下はキラキラした目で見てくる…生意気な年頃だからかクソガキに思えるけど…やっぱり根はいい子なのかもしれないな

シャルティも母様も殿下からの言葉をしっかりと受け入れ、本当に今回の事は互いに水に流す事ができたのだ







…………………
……………
………



最終的にシャルティとレオンハルト殿下は仲直り?する事ができた、できたのだが…何かがおかしい

ただいまお茶のお時間だ
広い室内、他にもソファがあるのだが、ベンチ式のソファに3人で並んで座っている…右にシャルティ、左にレオンハルト殿下…中央おれ………
おれのポジションおかしくないか………?


「ルディヴィス、護衛は下がらせた!今日まで必死にお前に会うために頑張ってきたのだ、俺を撫でろ」

「殿下ずるいです!ルティもおにいさまになでなでしてほしいです」


両脇に王子殿下と公爵令嬢を侍らせて頭を撫でてあげるおれとは……なんだこの展開…?
互いにスリスリとおれにすり寄ってくる姿は……うん、普通に可愛い、なんだコイツらかわいい
深く考えるのは止めよう、保育士になった気分って事でいいじゃないか
何よりなんか異様におれに懐き、尚且つシャルティと仲良くできるなら本当に断罪イベントを回避できるのではないかと考える…おれという囮、最高か…?


レオンハルト殿下は元々、相当甘えん坊な性格なのかもしれない…その後もおやつを食べさせて欲しいとか普通に言ってくる…あれだな、王子として威厳ある行動をとか言われ王妃様達に甘えられないとかあったのかも知れない
シャルティも真似て食べさせて欲しいとか甘えてくる…かわいいかよ!!
おれの心境は、保育士であり母鳥になった気持ちに昇格した


父様が急いで帰宅する頃には二人ともおれの膝に頭を乗せて夢の世界に行っていたため、そんな場面を見た父様はなんとも言えないが、よかったといった顔をしていた
少年女子の頭を膝枕で支えられるのだから歳の割に身体が大きくてよかったと思う

……………正直に言おう、懐かれたら普通に可愛いし癒される…ここは社畜精神を持ち越して来たおれに心の休息を与えてくれる素晴らしい世界なのかもしれない…


その後、目を覚ましたレオンハルト殿下は大変満足した表情で夕刻前に帰って行った…今度は一緒に座学もしたいと







今度は…???






まさか本当に週一回、ご褒美感覚で我が家に遊びにくる殿下がいるなどこの瞬間は理解していなかった…







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